tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

自己資本比率とレバレッジ

2008年10月15日 15時50分03秒 | 経営
自己資本比率とレバレッジ
 自己資本比率というのは会社を経営するために使っている資本全体、つまり総資本(=総資産)のうちで、何パーセントが自己資本かという比率です。自己資本以外は他人資本ですから、自己資本と他人資本を足せば総資本になります。

 今年3月のこのブログ、「 自己資本比率を見よう」でも書きましたように、会計学者は自己資本比率は50パーセント以上が望ましいとか50パーセントが標準とか言います。

 この意味を「レバレッジ」という視点から見ますと、自己資本比率が50パーセントということは、レバレッジが2倍ということで、健全な企業経営はあまり大きなレバレッジはかけないということでしょう。

 自己資本比率が90パーセント前後で有名なヒロセ電機とかファナックの場合には全くレバレッジをほとんど利かせていない経営ということになります。実はこれが最も堅実経営です。
 そういう経営に対しては、利益率がいいのだから、レバレッジを利かせて(借入金を多くして)仕事を拡大すればもっと儲かるのに、資本を有効に使っていない、といった批判があったりします。

 こういう批判は、投資ファンドなどが経営に介入するときに多いようですが、その辺りが、マネー経営学と実体経営学の違いで、マネーなら短期で勝負すればいいのですが、実体経済の経営では、借金を工場や店舗などの現物資本に投資しなければ売り上げは増えません。勝負は長期になり、リスクは高まります。

 自己資本比率50パーセントというのは、長い経験の中で生まれた知恵でしょう。
 レバレッジが大きくなれば、勝ち負け(利益、損失)の振幅が大きくなります。レバレッジを利かせたマネーゲームが大きくなると、景気の振幅が大きくなります。日本の土地バブル、今回のアメリカ発の世界不況の例は典型的です。