tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

レバレッジとデリバティブ、金融資本主義の行方

2008年10月25日 13時48分45秒 | 経済
レバレッジとデリバティブ、金融資本主義の行方
 レバレッジについて、種々の側面を見てきましたが、もう1つヘッジファンドの問題があります。正直言って、これは非公開なものですから、その中身はわかりません。レバレッジは大して大きくないといった説明がされたりしていますが、集めた金だけ運用していたのでは、かつてのアジア金融危機を演出などといわれるほどの力を持つはずはありません。何かあるのでしょう。

 ところで、レバレッジを利かすといっても、金融が、実体経済と対応するものであれば、健全経営という立場から必然的に「節度」が生まれるはずです。日本の土地バブルのような、地価上昇と金融が対応する場合には、異常な地価の上昇が警告を発してくれます(関係者がバブルに浮かされ、それに気付かないだけです)。
 しかし、デリバティブという形で、金融商品が、実体経済から切り離されたとき、金融資本主義はアンカー(錨)を失うようです。

 レバレッジは異常に大きくなり、差額決済が通常になって、本来いくらの投資をして(想定元本)いくら儲けたかもわからなくなります。しかしデリバティブはもともと「派生商品」で「原資産」があるわけですから、原資産に異常(価格低下など)が起これば、レバレッジの倍率に比例して、大きな損失が生じます。そして、金融市場そのものの収縮が起きます。

 こうした金融取引の儲けや損失はすべて「 キャピタルゲイン」「キャピタルロス」ですから、それ自体はGDPの増減には関係ありません。しかし、当然、金融機関の取引態度の変更、消費者の行動変化、為替の変動、・・・などによって、実体経済に深刻な打撃を与えます。

 繰り返し述べてきた、実体経済の活動の潤滑油として機能すべき「金融」 が、実体経済を壊してしまうという深刻な問題、これは資本主義が発展過程で犯した大きな誤りでしょう。この点を震源地のアメリカを始め、被害を受けた主要国、そして日本の政治、経済の責任者たちが、今回の大事故を教訓として、改めて、確り自覚して欲しいと思いますが、残念ながらそれは難しいような気がなんとなくしています。