tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

賃上げ、金融政策と物価の関係 2

2014年03月16日 15時35分04秒 | 経済
賃上げ、金融政策と物価の関係 2
 まず、日本という一国経済を中心に賃上げ、金融政策、物価の問題を考えてみましょう。インフレはどういう場合に発生するのでしょうか。

 伝統的な経済理論には貨幣数量説があります単純に貨幣の流通量が増えれば「モノと貨幣のバランス」が変わるからインフレになるというのが貨幣数量説です。数量は変わらなくても貨幣の流通速度が速くなればインフレが強まるといった具合に理論は進化してきます。

 原油やLNGなど輸入品の値段が上がれば日本国内の物価も上がります。これは、いわゆる輸入インフレです。日本国内で起きた原因ではありませんが、それらはエネルギー価格の上昇を通じて日本中に広がります。
 輸入大豆の値段が上がれば豆腐の値段が上がり、輸入小麦の値段が上がればパンの値段が上がることはすでに経験済みです。

 ただしこの場合は、輸入物価、企業物価、消費者物価などは上がりますが、日本国内に原因がないので、「GDPデフレーター(国内総合物価)」は上がりません。
 円安になっても、円表示の輸入価格が上がりますから、同じことが起こります。今日ただいま問題になっていることです。

 賃金が上がっても物価が上がります。賃金インフレです。厳密に言えば、国民経済生産性(就業者一人当た有のGDP)より賃金水準の上昇が大きければ、コストアップインフレになります。これは賃金インフレとも言われます。
 この物価上昇分を翌年の賃上げに組み込むと、賃金・物価のスパイラルになり、際限のないインフレになります。

 消費税を上げても物価が上がります。この4月から、日本の消費者物価は2~3パーセントの上昇になるだろうと予想されています。これは解り易いと思われます。

 政府・日銀が言っている物価上昇の中に、どれが含まれ、どれが含まれないかは明示されていません。2パーセントインフレターゲットというのは多分に腰だめで、外国が納得すればそれでいいのでしょう。国民に対しては、これで「デフレは脱出した」という証拠になればいいのでしょう。

 こう見て来ますと、現在の日本経済はインフレ要因が目白押しで、こんなことをしていたら、インフレターゲットの2パーセントどころではなくて、もっともっとインフレになりそうですが、何かその割に物価上昇が遅々としているような感じを受ける方も多いのではないでしょうか。
 まだデフレから完全に抜け切っていないといった感じを持っておられる方もいらっしゃると思います。

 何故でしょうか。此処で最後に最も強力な物価水準の決定要因が登場することになります。次回はこの点を見ていきたいと思います。