tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

連合の「要求基準」は健全の範囲

2014年10月27日 12時08分12秒 | 経済
連合の「要求基準」は健全の範囲
 連合は、去る10月17日の中央執行委員会で、2015年春闘のベースアップとして2パーセント以上を要求するという基本線を決めたようです。
 ベースアップというのは、賃金テーブルの一律書き替えですから、正規従業員の賃金が一律に2パーセント上がるというのが原則です。

 非正規従業員の賃金も多分金額で 〇〇円以上ということになるのでしょうが、これも、上記の2パーセントを基準にし、格差是正その他の諸事情を勘案したものになるでしょう。

 円安、海外資源価格上昇、消費税増税などによって、消費者物価が3パーセント以上上昇している中で、2パーセント以上という要求基準は、弱腰だとか、遠慮し過ぎなどといった評価もあるでしょう。しかし、日本の労使がその長い経験から学び、ともに理解している「日本経済と賃金決定の整合性」という視点からすると、この要求基準は「合理的」、「健全」という評価の範囲内にあると考えていいのではないでしょうか。

 賃金、ボーナスなどの現金給与と社会保障費などの企業負担を合計したものが、総額人件費になるわけで、ベースアップ2パーセント+定期昇給で、総額人件費がどのくらい増加するか正確な計算は不可能ですが、多く見ても、3~4パーセントの間でしょう。

 定期昇給分のコストは1~2パーセント程度でしょう。このほか、非正規の正規化や格差是正などを自主的におやりになる企業もあるでしょう。
 新卒採用の増加、55歳あるいは60歳での賃金の別体系化など、企業は多様な要因を勘案して総額人件費を計画します。

 一方日本経済(実質GDP)の方はどうでしょうか。年末には政府経済見通しが出ますが、国際機関などでは1パーセント台半ばといった見通しを出しています。
 不評のアベノミクスのお蔭で日本人は何となく萎縮していますが、雇用の安定、格差の是正なども含め、もう少し国民が先行きに期待し元気が出るような「社会的雰囲気」を醸成していけば、真面目で勤勉な日本人は、2パーセント超の成長を達成するでしょう。

 多分そんなところで、コスト上昇(ホームメイド・インフレ)は日銀の見通しのように1.5パーセント前後で健全経済の範囲になるのでしょう。
 問題は、日本が元気で、その能力を十分に発揮する環境をどう作るかにあるようです。

 政府の政策に頼りすぎずに、企業も消費者も元気一杯の活動をしていけば、もともと健全な日本経済にとって安定成長実現はそう難しいことではないと思います。