tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカ、ドイツ、日本:変動相場制の中で

2016年08月22日 12時38分01秒 | 経済
アメリカ、ドイツ、日本:変動相場制の中で
 今日は月曜日、月曜はマネーマーケットでは参考指標が乏しいので気迷いの事が多いようですが、今日も、FRBのイエレン発言待ちの様子見といった状態のようです。為替も東証も小動きです。
 9号台風で、外は大雨、狭い庭は水浸しといった中で書いています。

 しかし、日本経済にとっては100円がらみの円レートは些か厳しいと思われますし、先週あたりのように、日銀のFTI関連の買いを期待しての日経平均の小幅上げなどはあっても、証券・金融市場の先行き不透明感は消えないようです。

 マネーマーケットの短期の動きは別として、実体経済を翻弄する為替レートと、その国の経済体質とを見てみますと、主要国は各国各様で、よく見るとどうも日本は一番難しい立場にあるような気がします。

 通常、為替レートに影響を与える2大要因と言われる「経常収支」と「財政収支」について、アメリカ、ドイツ、日本の3国を比べてみますと、特徴がよく出ています。
・アメリカはずっと昔から双子の赤字で、経常収支も財政収支も赤字です。
・ドイツは経常収支は大幅黒字国で、財政収支もこのところ数年黒字続きです。
・日本は経常収支は万年黒字ですが、財政収支は毎年大幅赤字です。

 こうした状況の下で、アメリカは時に強いドルなどと言いながら、ドル高は避けたいのが本音でしょう。(基軸通貨国が双子の赤字を続けているというのが、現在の為替不安定の元凶だと思っています。)

 ドイツの場合はマルクがあれば、正に世界最強の通貨なのかもしれませんが、今はユーロです。ドイツがいかに健全経済であっても、ユーロ圏には色々な国があり、ギリシャ、スペイン、イタリアなどの問題が取り上げられるたびにユーロ安となります。
 ドイツの生産性は変わりませんから、例えばドイツ車の競争力はどんどん強くなります。
 ただ、ドイツの黒字はユーロ圏の経済を支えるために使わなければならないという宿命があります。

 日本は経常収支は万年黒字ですが、財政は毎年大幅赤字、政府の借金は世界最大規模と言われます。経常黒字と財政赤字が交錯しているので、判断が難しい国なのでしょう。
 しかしマネーマーケットでは、かつての「有事のドル」に似て、今は「さしあたって円」という形で円が買われ、何となく円高になっていくようです。これが日本経済を苦しめます。

 我々生活者には、実体経済の今後の見通しが一番切実なのですが、この辺のことを巧く理論的に説明してくれるエコノミストもいませんし、マネー評論家も、今日・明日か、せいぜい来週は・・・ぐらいで、実体経済面の事は苦手のようです。

 勿論日銀が先行きの「戦略」の公表などは出来ないでしょうし、政府の財政収支予測などはだれも信用しないようです。
 確かに、経常黒字を前提にすれば、投機筋の動きのように「さしあたって円」なのでしょうが、財政収支に注目すれば、「近い将来国債は紙屑、超インフレ来襲」というエコノミストや評論家も後を絶ちません。

 日本の政府も消費増税延期、28兆円出して景気下支えと続けながら、本当は、今後どうするか (どうなるかカナ?) は、良く解っていないのでしょう。ならば当然マネートレーダーたちも、良く解らなくて円を買っているのでしょう。だから「さしあたって」という形容句がつくのでしょう。

 経常黒字+財政赤字という組み合わせは、結局は、問題は国内にあるということです。国民は、政府に金を貸すのは良いが、税金で納めるのは嫌だと考えているわけです。
 政府の税金の使い方を国民が信用しないからこういう事になるのでしょう。しかし貸したつもりが返ってこないということも世間にはよくあります。

 そんなこんなで将来不安は強くなるばかり、国民は生活防衛で、若い人も貯蓄に専心、これは経常黒字の拡大効果を持ちます。投機資本はますます「さしあたって」経常黒字の円を買うので為替レートは円高に、
 こんな特殊な立場にある日本経済、そこで暮らす国民は、本当に大変ですね。