日産自動車の完成車検査問題は悲劇か喜劇か
夏目漱石がその著「虞美人草」の終わりの部分でこう書いています。
「問題は無数にある、粟か米か、これは喜劇である。工か商か、これも喜劇である。あの女かこの女か、これも喜劇である。綴織か繻珍か、これも喜劇である。英語かドイツ語か、これも喜劇である。すべてが喜劇である。最後に一つ問題が残る。生か死か。これが悲劇である。」
今回の日産自動車の完成車検査の報道を見て、なぜか、この一節を思い出しました。
自動車を走らせるという事は、故障すれば、生死にかかわる問題です。ですから、自動車のメーカーは出来るだけ安全な車を作り、国はその自動車が安全だという確認をするという責任を持ち、そのために車検制度があるのでしょう。
もともとは国が1台1台検査して、OKを出さなければならないのですが、そんなことをしていたら大変なので、「型式」を決めて、その型式のものは同じものと認めて、国はいちいち検査はしない、しかし、国の検査を代行する「みなし公務員」の資格を持つ検査員という制度を設け、その人たちが国の検査を代行する、という事になっているようです。
工場ラインオフの完成車(新車)の検査員と、中古車の検査員には違いがあるようで、詳細の違いは解りませんが、完成車の場合も、検査員の資格を持った人が実地に検査をして、ハンコを押さないと車検証の有る市販車としては認められないという事でしょう。
日産自動車の問題は、検査員の資格を持っていない人が検査をしていたという事が問題になり、届け出にはハンコが必要なので、資格を持った人のハンコを押していたというので、これは当然届け出書類の偽装という事になります。
確かに法律に違反することは良くありません。しかし、考えてみれば、この制度は、本来、自動車が安全なものであることを確実にするために出来ている制度でしょう。
無資格者が検査したから、日産の車の品質が落ちたという話は聞きません。故障の統計で無資格者検査の場合は有意の差があると調べたわけでもないようです。
担当官庁の方が激怒したという報道もありましたが、無資格者が検査した車は、判明した時点で「公道で運転してはいけない」という事でもないようです。法律には違反したけれども、安全性に問題はないと認識しているという事なのでしょうか。
日本車は世界で最も故障しないと言われています。生産技術が進んで安全性が高まったが、、法律・制度が、それに追い付いていないという面もありそうです。
こんな問題が起きても、それが悲劇でなく漱石流に言えば、喜劇で済んでいるという所に、日本のモノづくり技術の水準の高さが見えているように思うところです。
夏目漱石がその著「虞美人草」の終わりの部分でこう書いています。
「問題は無数にある、粟か米か、これは喜劇である。工か商か、これも喜劇である。あの女かこの女か、これも喜劇である。綴織か繻珍か、これも喜劇である。英語かドイツ語か、これも喜劇である。すべてが喜劇である。最後に一つ問題が残る。生か死か。これが悲劇である。」
今回の日産自動車の完成車検査の報道を見て、なぜか、この一節を思い出しました。
自動車を走らせるという事は、故障すれば、生死にかかわる問題です。ですから、自動車のメーカーは出来るだけ安全な車を作り、国はその自動車が安全だという確認をするという責任を持ち、そのために車検制度があるのでしょう。
もともとは国が1台1台検査して、OKを出さなければならないのですが、そんなことをしていたら大変なので、「型式」を決めて、その型式のものは同じものと認めて、国はいちいち検査はしない、しかし、国の検査を代行する「みなし公務員」の資格を持つ検査員という制度を設け、その人たちが国の検査を代行する、という事になっているようです。
工場ラインオフの完成車(新車)の検査員と、中古車の検査員には違いがあるようで、詳細の違いは解りませんが、完成車の場合も、検査員の資格を持った人が実地に検査をして、ハンコを押さないと車検証の有る市販車としては認められないという事でしょう。
日産自動車の問題は、検査員の資格を持っていない人が検査をしていたという事が問題になり、届け出にはハンコが必要なので、資格を持った人のハンコを押していたというので、これは当然届け出書類の偽装という事になります。
確かに法律に違反することは良くありません。しかし、考えてみれば、この制度は、本来、自動車が安全なものであることを確実にするために出来ている制度でしょう。
無資格者が検査したから、日産の車の品質が落ちたという話は聞きません。故障の統計で無資格者検査の場合は有意の差があると調べたわけでもないようです。
担当官庁の方が激怒したという報道もありましたが、無資格者が検査した車は、判明した時点で「公道で運転してはいけない」という事でもないようです。法律には違反したけれども、安全性に問題はないと認識しているという事なのでしょうか。
日本車は世界で最も故障しないと言われています。生産技術が進んで安全性が高まったが、、法律・制度が、それに追い付いていないという面もありそうです。
こんな問題が起きても、それが悲劇でなく漱石流に言えば、喜劇で済んでいるという所に、日本のモノづくり技術の水準の高さが見えているように思うところです。