日本とアメリカ、賃金・物価を見る
アメリカでは物価の上昇が懸念され、インフレ下景気過熱の予防のために金融引き締め策をといく方向にあるようです。
そのせいでドルが買われこのところ円安傾向で、9月決算でも輸出企業の円高差益が目立つようです。
日本は相変わらず景気低迷で物価も賃金も上らす、アメリかを羨む声もあるようですが、アメリカ経済も相変わらずの双子の赤字で、内実は大変なようです。
そこで、国民生活の現実を見ようという事で、賃金と物価の動きを、日米両国について見てみました。
日本の為替レートが正常化した2013年から2021年(今年はまだ終わっれいないので推計値)までの動きを追ってみました。
先ず、賃金も上っているが物価も上っていると言われるアメリカについて見ました。
アメリカの統計については(日本の毎月勤労統計のような適切な統計がないので)OECDの統計を使いました。
2013年を100としてその後の動きをグラフにしますと下のようになります。
アメリカの賃金・物価の推移(2013年=100、指数)
青い線の賃金も結構上がっているのですが、赤い線の物価(消費者物価:CPI)も結構上がっていて、年によって交差しますが、だいたい同じ程度の上昇です。
ということは、賃金が上がっても、物価も同じぐらい上がるので、実質生活のレベルはあまり変わらないということになるようです。
では、日本の場合はどうかといいますと、これは毎勤統計と総務省の消費者物価ですが、下の通りです。
残念ながら、青い線の賃金より赤い線の物価の方が大分余計に上がっているので、生活レベルは下がっているということになります。
日本の賃金・物価の推移(2013年=100、指数)
消費者物価はずっと上がり続けていて、その上がり方は賃金よりも大分大きく、しかも2019年以降は賃金は下がっています。2020年、21年の予想で見ると4%ポイント以上消費者物価の方が上がっているので、その分実質生活レベルは下がっていると読めることになります。
しかし、ここで気が付いて頂きたいのは、消費者物価の上昇には消費税の増税分が入っていることです2014年の4月に5%から8%に引き上げ、2019年の10月から現行の10%です。
つまり、この間消費税率の上昇で5%程度の消費者物価上昇があっただろうという事です。
という事でこの分の上昇を差し引いたのが緑色の線(-消費税)で、これで見ますと、賃金上昇率は消費者物価の上昇率を上回ってその分実質生活は改善ということになります。
但しこれは、消費増税分が全て消費生活の改善のための政府の支出(例えば幼児教育の無償化)になっていると仮定した場合です。
そう願いながらグラフを見ていただくということでしょうが、もっと問題は2019年から2021年にかけて賃金が2%ほど下がっている点でしょう。
勿論これはコロナのせいですが、コロナに関わらず上っているアメリカとは対照的です。
この辺りの背景を見るという意味で、次回は実質GDPの動きとの関係を見てみたいと思います。
アメリカでは物価の上昇が懸念され、インフレ下景気過熱の予防のために金融引き締め策をといく方向にあるようです。
そのせいでドルが買われこのところ円安傾向で、9月決算でも輸出企業の円高差益が目立つようです。
日本は相変わらず景気低迷で物価も賃金も上らす、アメリかを羨む声もあるようですが、アメリカ経済も相変わらずの双子の赤字で、内実は大変なようです。
そこで、国民生活の現実を見ようという事で、賃金と物価の動きを、日米両国について見てみました。
日本の為替レートが正常化した2013年から2021年(今年はまだ終わっれいないので推計値)までの動きを追ってみました。
先ず、賃金も上っているが物価も上っていると言われるアメリカについて見ました。
アメリカの統計については(日本の毎月勤労統計のような適切な統計がないので)OECDの統計を使いました。
2013年を100としてその後の動きをグラフにしますと下のようになります。
アメリカの賃金・物価の推移(2013年=100、指数)
青い線の賃金も結構上がっているのですが、赤い線の物価(消費者物価:CPI)も結構上がっていて、年によって交差しますが、だいたい同じ程度の上昇です。
ということは、賃金が上がっても、物価も同じぐらい上がるので、実質生活のレベルはあまり変わらないということになるようです。
では、日本の場合はどうかといいますと、これは毎勤統計と総務省の消費者物価ですが、下の通りです。
残念ながら、青い線の賃金より赤い線の物価の方が大分余計に上がっているので、生活レベルは下がっているということになります。
日本の賃金・物価の推移(2013年=100、指数)
消費者物価はずっと上がり続けていて、その上がり方は賃金よりも大分大きく、しかも2019年以降は賃金は下がっています。2020年、21年の予想で見ると4%ポイント以上消費者物価の方が上がっているので、その分実質生活レベルは下がっていると読めることになります。
しかし、ここで気が付いて頂きたいのは、消費者物価の上昇には消費税の増税分が入っていることです2014年の4月に5%から8%に引き上げ、2019年の10月から現行の10%です。
つまり、この間消費税率の上昇で5%程度の消費者物価上昇があっただろうという事です。
という事でこの分の上昇を差し引いたのが緑色の線(-消費税)で、これで見ますと、賃金上昇率は消費者物価の上昇率を上回ってその分実質生活は改善ということになります。
但しこれは、消費増税分が全て消費生活の改善のための政府の支出(例えば幼児教育の無償化)になっていると仮定した場合です。
そう願いながらグラフを見ていただくということでしょうが、もっと問題は2019年から2021年にかけて賃金が2%ほど下がっている点でしょう。
勿論これはコロナのせいですが、コロナに関わらず上っているアメリカとは対照的です。
この辺りの背景を見るという意味で、次回は実質GDPの動きとの関係を見てみたいと思います。