昨日、厚生労働省から2024年6月の毎月勤労統計が発表になりました。
マスコミを賑わせた25か月連続の、実質賃金の対前年度月比低下のあと、26か月はあるかという事でしたが、26か月には成らなかったという事になりました。
今年の春闘賃上げ率は5%を超え33年ぶりの大幅賃上げといわれました。その成果は如何にと注目を集めたところですが、現実は今後に問題を残しながら、一応、2024年5月をもって連続低下の記録は終わり、26か月にはならなかったという事に
なりました。
数字を見ますと
毎月勤労統計の2024年6月の賃金指数の対前年同月上昇率は
・賃金給与総額 4.5%
・決まって支給する給与 2.3%
・特別に支払われた給与 7.6%
という事になっています。
消費者物価指数は、「総合」が2.8%の上昇、「持ち家の帰属家賃と除く総合」(注)が3.3%の上昇です。
このブログでは、7月12日の「実質賃金の上昇に必要な条件は?」で見てきましたように実質賃金は「現金給与総額」を取り、消費者物価指数は「総合」を使っていますので、それに従えば
・4.5%-2.8=1.7%(正確には1.045/1.033≒1.0165)という事で実質賃金は1.7%上昇したことになります。
一方、決まって支給する給与(所定内賃金+残業代等)で見ますと
・2.3%-2.8%=-0.5%(同1.023/1.028≒0.995)という事で0.5%のマイナスという事になります。
結局、6月はボーナス月で、ボーナスが7.6%も伸びたのでボーナスの入っている現金給与総額で見ればマイナス脱出という事です。
ボーナスは年2回です。これまでも6月と12月はボーナス月でしたがボーナスの伸びがそれほど大きくなかったので総額人件費で見てもマイナスでしたが今回はプラスになったという事です。これで実質賃金低下の連続記録は25か月で終わりました。
それでは「良かったですね」と言えるかといいますと、そうはいかないだろうという可能性が大きいのです。6月もボーナスを別にすれば0.5%のマイナスでした。7月からはボーナスがない月になります。それでもプラス維持のためには、賃金が上がるか消費者物価の上昇率が下がるかですが、その可能性はそれほど大きくありません。
結論を言えば、やはりもう少し(2~3%)高い賃上げが必要だったということのようです。(連合と経団連で相談してほしいですねぇ・・・)
(注)「持ち家の帰属家賃と除く総合」:消費者物価指数は、自宅に住んでいる人もその家を借りていて家賃を払っていると仮定した場合の家賃も含んで計算しています。「持ち家の帰属家賃と除く総合」では、実生活では払っていないその仮定の分は除いた方が現実の支出と動きを反映するという考え方で計算したものです。
こちらを使って実質賃金の計算をしているケースもありますが、結果はもう少し厳しくなります。