明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(296)母乳から放射性物質(セシウム)・・・広島

2011年10月15日 11時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111016 11:30)

このところ、市民団体からの活発な報告が続いていますが、11日に広島で、県内在住の
お母さんの母乳から、セシウムが検出されたという発表が行われていたことをキャッチ
しました。2人の方からで、1人は東京から避難されている方、もう1人はもともと広島
に住んでいた方だそうです。計測を行った広島大学大学院の静間教授は、広島に住んで
いた方の場合、「食材からの摂取の可能性がある」と指摘しています。

検出量はお2人の意向で明らかにされていませんが、厚労省の暫定規制値(1キログラム
200ベクレル)は、「大幅に下回っている」と記事には書かれています。ともあれ、東京
から避難してきた方だけでなく、広島在住の方からも検出されたことから、やはり食材
を通じて、放射性物質が、国中に蔓延してしまっていることが推測されます。残念ながら
放射性物質がもはや私たちの多くの体内に入ってきていることに対して、腹をくくり、
最大限の防護とともに、免疫力を上げていくことが大事だと思います。

またますます重要性を増すのは、市民放射能測定室をよりたくさん立ち上げることですね。
ともあれ、中国新聞の記事を紹介しておきます。

*****************

母乳から放射性物質 広島
中国新聞 2011/10/12

内部被曝(ひばく)防止に取り組む市民団体「繋(つな)がろう広島」は11日、広島県
内在住の母親2人の母乳から微量の放射性物質が検出されたと発表した。東日本大震災
後に東京から避難した1人と以前から県内に住む1人。測定に協力した広島大は「授乳
には問題ない値」としている。

検査は10月上旬、震災後に関東地方から広島県内に避難してきた4人と、震災前から同
県内に住む2人の計6人を対象に実施。それぞれ100ccの母乳を採り、同大大学院
工学研究院の静間清教授が検出器で調べた。

その結果、いずれも30代の2人から微量の放射性セシウムを検出した。厚生労働省は、
牛乳・乳製品の放射性セシウムの暫定規制値(1キログラム当たり200ベクレル)を
母乳の指標とする。同団体は2人の意向で具体的数値を明らかにしていないが、厚労省
の指標は大幅に下回っているという。

静間教授は「以前から県内に住む1人は食材からの摂取の可能性がある」とみて継続検査
する。

同団体の三田拓代表は「行政には母乳や尿の検査態勢を整え、食品の放射線量の測定場所
を設けるよう求めていく」としている。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201110120021.html
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(295)過去のウソを暴くよりも、今のウソと闘うことが大事!

2011年10月15日 08時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111016 08:00)

読売新聞に「チャイナ・シンドローム、ひそかに試算・・・保安院」という
記事が出ました。保安院が3月25日以降、核燃料が格納容器の底部を大きく
溶かして漏れ出てしまう事態の想定を「ひそかに試算」していたという記事
です。保安院批判の記事であり、確かに批判されるべきことではありますが、
しかしなにかしらじらしい気もします。

そんなこと(チャイナ・シンドロームの可能性)はとっくの前に分かって
いたことで、すでにメルトスルーを起している可能性も認められているから
です。むしろここには、今になって、自分たちは保安院に批判的なのだと
いうアピールをしたい読売新聞の姿勢が見え隠れします。マスコミ各社が
この記事に追従するとしたらそれも同じことです。

あの時期、原発の危険性を指摘してきた在野の多くの人々が、事故のさらなる
拡大の可能性に警鐘をならしていた。そしてそれが取り上げられれば、もっと
有効な被曝対策を講じることができました。しかしマスコミは政府の安全宣言
だけを垂れ流し続けて、その可能性を広げることをしませんでした。このため
自主避難・自主回避などでしか、被曝対策は進みませんでした。

読売新聞はじめ各社はそのことを点検すべきなのです。保安院が「ひそかに
試算」していたというのなら、何故、各社はそれと同じ試算ができなかったの
か。何度も言いますが可能性は指摘されていたのです。ささやかですが僕も
危険性を繰り返し訴えました。しかしマスコミは動かなかった。政府の危険の
隠ぺいに手を貸したのです。保安院を叩く前にそのことを「叩く」べきです。


さらに大事なのは、このように過去のウソを暴くことよりも、今のウソと闘う
ことの方が100倍も大切だということです。今のウソとは、放射線の危険性の
隠ぺいです。現在、私たちの国は野菜、魚、肉など1キログラム500ベクレル
以下という基準を設けている。これは若者・子どもを4ベクレル以下としてい
るドイツと比べてあまりにも緩い値です。

しかもこれがあたかも安全ラインであるかのように受け取られている。ドイツ
とて4ベクレルを安全ラインとしているのではありません。止むを得ない値と
しているのが4ベクレルなのです。そのことがまったく報道されていない。あた
かも500ベクレルを越えたら危険なのかのような報道になっています。500ベク
レルを越えたらさわぐ。だから人々は500ベクレル以下は安全と思いかねない。

もちろん、人々はそれほど愚かではありません。多くの人が政府の基準値に
疑問も持っている。それで自主避難と同じように、自主的に放射能汚染が酷い
地域で生産されたものを避けようとしている。しかし人々が市場で避けて
も法的に売るのが合法化されているので、それらは容易に外食産業や加工業者
に流れてしまいます。そこからの混入を個人が避けるのはとても難しい。

しかし今、このように進行している危機を相変わらずマスコミは暴かない。
立ち向かわない。闘わない。そうして何カ月、あるいは何年もたってから、
「○○○が500ベクレルの危険性をひそかに試算」などという暴露記事が出る
可能性が非常に高い。しかしそのとき人々はたくさんの汚染食品を体内に
取り入れてしまっています。

そうなってからでは遅い。今、現に行われているウソを暴く必要があります。
今さら3月の時点で、本当はチャイナ・シンドロームになりそうだった。密かに
試算が行われていたと騒いでも、すでに多くの人々があのとき原発から出された
高濃度の放射能を浴びてしまった後なのです。その被害を暴き、東電に賠償請求
することは大事ですが、「ひそかな試算」ごときを暴いても大した位置はない。

マスコミ各社がすべきことは、まさに今、大規模な形で進行しつつある内部被曝
の実相を明らかにすること、その危険性を読者にむけてアピールすることです。
それで事故発生直後に放射能から人々を守れなかったあやまりを克服すること
です。政府の広報になり下がった自らを真剣に反省して欲しい。とくに現場の
若い記者さんがこれを先導して欲しいと思います。


その点で、記者さんたちには、今、私たちの国の危機を、先頭にたって明らかにし
暴いているのが市民の側であることに本当に注目してほしい。これまで偉そうに
してきた霞が関の官僚の誰が、危機を伝えてくれているでしょうか。新聞社の
内部も同じです。本社で偉そうにしている人たちの誰がまともな取材方針を出した
のでしょうか。これを覆す可能性を持っているのは現場の記者さんたちです。

もちろんこうした事実も新聞によって報道されているわけで、そこにはすでにこう
した事実の重要性をつかみとって動いている記者さんたちの存在がうかがえます。
さらに新聞をみていて救いを感じるのは、現場の記者さんたちが、各地で被災者に
より沿い、痛みを分かち合おうと、中に入りこんだ素晴らしい記事を書いていること
です。おそらくこれが人々を新聞につなぎとめているのだと思います。

そうした心ある記事を書いている記者さんたちに、さらにぜひ本社の変革に立ち
上がって欲しいと思います。そうして今ある危機を記者さんたちの力で暴いて欲しい。
ペンは剣よりも強し。だからペンは、権力と立ち向かう時にこそ、その本来の力を
発揮するのです。市民の側からの独自調査の重なりと、現場の記者さんたちの奮闘
との結合で、危機を越える可能性を切り拓いていきたいものです。

************

チャイナ・シンドローム、ひそかに試算…保安院
読売新聞 2011年10月15日03時05分

経済産業省原子力安全・保安院が、東京電力福島第一原子力発電所1~3号機で
核燃料が完全に溶け落ちて、格納容器の底部を大きく侵食する最悪のケース
(チャイナ・シンドローム)を想定した試算を、事故発生から2週間後の3月
25日以降、ひそかに行っていたことが14日わかった。

注水できなくなった場合、2、3号機は、厚さ約3メートルのコンクリートへの
侵食が10日以上続き、1号機の侵食は8日間で1・8メートル進んで収まると
した。保安院や東電は当時、燃料の状態について「一部損傷した程度」と説明し
ていた。

保安院が試算を指示した独立行政法人の原子力安全基盤機構が同日公開した。炉心
が溶融して、圧力容器底部の制御棒貫通部などから格納容器にすべて落下し、その
底部にあるコンクリート製の床「ペデスタル」をどの程度まで侵食するかを試算
した。全炉心が一瞬で落下する場合や溶融燃料がジェット状に噴出する場合なども
想定した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20111014-OYT1T01458.htm
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(294)東京都葛飾区56地点で、市民が1μS/h以上を計測

2011年10月15日 01時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111015 01:00)

今度は東京葛飾区56地点で、市民測定により1μS/hの計測が発表されました。
計測を行ったのは市民団体「葛飾青空の会」。区内の231か所を測り、うち
8か所では3μS/h以上だったそうです。最高値は区内農業施設で計測された
5.47μS/hという値。もの凄く高いです。

この結果は同会により葛飾区に伝えられ、行政による調査が開始されることに
なりました。成り行きを注目したいと思います。こうした値が出るたびに胸が
痛くなりますが、しかし各地で市民が積極的に測定を行い、行政を動かしてい
ることには、胸が熱くなります。

なお横浜市のストロンチウム発見に関する続報も出てきました。その後、市側
の3カ所の計測で、やはりストロンチウムが計測されたそうです。ちなみに新た
に計測した2地点は、もともと高濃度のセシウムが計測された地点。それぞれに、
約4万ベクレルが計測されていたのだそうです。横浜の汚染も深刻です。

また横浜市はこのストロンチウムの「発見」により、従来の「ストロンチウム
は重いので遠くまで飛ばない」という市の見解をあらためたそうです。横浜市
までがそんなことを言っていたことを、このニュースで初めて知りました。
放射性核種のあるものが「重いので飛ばない」という行政のデマへの用心を呼び
かけましょう・・・。

*****

葛飾の市民団体 231カ所線量調査 56地点で高濃度
東京新聞 2011年10月14日

葛飾区の市民団体「葛飾青空の会」が区内の民間施設など二百三十一カ所で、
独自に放射線量を調査した結果、五十六カ所で毎時一マイクロシーベルト
(マイクロはミリの千分の一)以上が測定された。このうち八カ所は同三マイ
クロシーベルト以上だった。区は学校の砂場などで測定や除染を進めているが、
同会は「民間建物の除染も必要」とし、調査対象の拡大と、その調査結果を
踏まえた除染を区に要請する。 (伊東浩一)

同区は福島第一原発事故後、子どもが出入りする学校のプールや砂場などを
調査、放射線量が高い砂場の除染を進めている。

同会は区の調査対象に含まれていない場所で、雨どいの排水口付近の空間放射
線量を調査。都が市区町村に貸与しているのと同機種の簡易測定器を使って、
道路や民家、アパート、工場敷地など、区東部を中心に二百三十一カ所を測定
した。調査期間は七月三十日~八月二十日。

その結果、最も高かったのは区東部の農業施設で測定された毎時五・四七マイ
クロシーベルト。放射線汚染区域は北東部を中心に区内全域に分布しており、
特に工場やアパートなど規模の大きい建物の排水口付近で高い傾向が出た。

同会は十八日、青木克徳区長に調査結果を説明する予定。吉川方章代表は「放射
性物質が付着する屋根が広い建物ほど測定結果が高く、屋根の除染が必要。われ
われのは簡易測定なので、区に合同で再調査してもらいたい」と話す。

同区の鈴木雄祐危機管理担当課長は「事実とすれば、高いという印象だ。民地も
含めてくまなく測定するのは現実的に困難だが、道路など、多くの方が利用する
公共施設から優先的に測定していきたい」とコメントした。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20111014/CK2011101402000022.html?ref=rank

*****

横浜市検査でもストロンチウム検出 港北区の側溝
朝日新聞2011年10月14日20時30分

横浜市は14日夜、港北区大倉山の道路の側溝から1キロあたり129ベクレル
のストロンチウムが検出されたと発表した。ストロンチウム89と90を合計し
た値。同じ場所では、セシウムも3万9012ベクレル検出されている。

市民の独自調査で同区内のマンション屋上の堆積(たいせき)物から195ベク
レルのストロンチウム90が検出された問題を受け、市がマンションの周辺から
堆積物を採取し、鶴見区の分析機関「同位体研究所」に測定を依頼していた。

港北区は東京電力福島第一原発から約250キロ離れている。
http://www.asahi.com/national/update/1014/TKY201110140533.html

*****

「ストロンチウム飛来ない」見解修正
朝日新聞 2011年10月14日

横浜市港北区のマンション屋上からストロンチウム90が検出された問題で、
山田正人副市長は13日、「ストロンチウムは重いから横浜に飛んでこない」
と言い続けた市の見解について、「必ずしも放射能の知識を十分に習得して
いたわけではない」と説明し、遠回しに修正した。この日の市議会決算特別
委員会で答弁した。

豊沢隆弘保健所長が11日の同委で「ストロンチウム90は半減期が長く、核
実験の影響で1960年代には高い濃度で出た。最近でもわずかに検出されて
いる」と原発事故との因果関係を否定するような答弁をしたこともやり玉に。
「築7年のマンションに、30年以上前の核実験の影響はあり得ない。根拠の
ない無責任な発言だ」との批判を受けた。

山田副市長は「我々の知見は十分ではない。保健所長もその時点におけるベスト
を尽くした答弁をしている」とあいまいな答弁で締めくくった。
(佐藤善一)
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001110140003

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする