守田です。(20110105 17:00)
日刊SPA!に、肥田舜太郎医師のインタビュー記事が掲載されました。
「「年間何ミリシーベルト以下だから大丈夫です」というのは大きなウソ」、
「放射線に対抗する唯一の方法は、生まれつき持っている免疫力を弱めない
こと」、「原爆の長期的な影響は、米国の「軍事機密」として隠されてきた」
というタイトルの3章からなる文章で、肥田さんの主張がコンパクトにまと
められています。ぜひご覧ください。
肥田さんは現在94歳、老齢をおして全国を単身、飛び回って、内部被曝の
脅威を語られています。さまざまな健康不安への相談もされています。その
行動力と、溢れる思いに頭が下がる思いです。僕も今年も肥田さんの背中を
追いかけて、放射線防護のために走り回ろうと思います。
その場合、とくに僕自身が重要だと思うのは、「放射線に対抗する唯一の方
法は、生まれつき持っている免疫力を弱めないこと」という指摘。とくに肥
田さんは早寝・早起きを強調しておられるのですが、昨年、僕はこの点を十
分にはまもれず、ついつい「緊急時だから」と夜中までパソコンに向かうこ
とをたくさんしてしまいました。
そのたびに、これでは肥田さんに怒られてしまうなと思いましたが、今年は
この点を戒め、自分自身の免疫力をもっと高める生活を起こりながら、この
点を強調していこうと思っています。非常時だろうが何だろうが、正しい
生活のリズムを守り通していくこと、ある意味でのタフさが必要なのだと思
っています。
こうした自戒も込めつつ、みなさんに肥田さんの言葉をご紹介します。
****************
― “最後の被曝医師”が語る人体に与える内部被曝の脅威 ―
日刊SPA!2012.01.05ニュース
(肥田舜太郎医師インタビュー)
◆「年間何ミリシーベルト以下だから大丈夫です」というのは大きなウソ
放射線というのは、人間には見えません。色も臭いもない。見た目には認
識できません。
私はこれまでずっと広島・長崎で被曝した患者を診続けてきました。原爆
のときは、火傷をしたり全身の粘膜から血が噴き出したり、頭髪が抜けるな
どの急性症状がありましたが、今回の福島原発の場合は、長期的な「内部被
曝」の影響が心配されます。
よく年間何ミリシーベルトだとか、毎時何マイクロシーベルトまでなら大
丈夫だとか言われていますが、これは外部被曝の場合のことです。内部被曝
というのは外部被曝と違って、放射性物質を体内に取り込んでしまい、1日
24時間ずっと被曝し続けるというものです。
その影響は、その人の年齢や健康状態、生活態度、免疫の状態にもよります
し、その症状がいつでてくるかも、誰にもわからないことだからです。医者
である私にだってわかりません。個人差があるので「必ず危険」だとも限り
ませんが、その人が病気になったり死んだりする可能性をアップすることだ
けは確かです。
日本の政府や学者がついているいちばん大きなウソは、「(外部被曝線量が)
年間何ミリシーベルトなら大丈夫です」ということ。内部被曝のことを全く
考慮していません。体内に入る放射性物質は「それ以下なら大丈夫」という
ことはない。少しでも体内に入ったら、長期的に被曝し続ける。微量な被曝
であれば大丈夫というのは間違いです。
専門家というのは、政府の責任を隠したり、業界の利益を守ったりするた
めに、ときに意識的にウソをつくことがあります。中には知らなくて言って
いる人もいますが。正確には、「今は大丈夫です。でも先々は病気になる可
能性もありますし、何とも言えません」と言うべきでしょう。
福島原発事故後の例で私が実際に報告を受けたもので言えば、多くは放射
線に敏感な子どもに初期の被曝症状が現れています。
下痢が続いて止まらない、しばらくしたら口内炎が出るとか、のどが腫れ
て痛いとか。多くの母親が心配していたのは子どもの鼻血です。鼻血がずっ
と続いて止まらない。そのうちに、両親にもそんな症状が出てくる。これは
福島に限りません。私のところには、東京や神奈川、静岡などからもこうい
った相談が寄せられました。
広島・長崎でも、爆心地近くにいて大量の放射線を浴びたわけではないの
に、時間がたつにつれて被曝の症状が現れてくる人が数多くいました。こう
した長期被曝患者に特徴的だったのは、猛烈な倦怠感があって動けなくなり、
働けなくなるという症状を訴える人が多かったことです。集中力がなくなっ
たり下痢が続いたり。本人もどうすればいいのかわからない。勤め先や家族
の中でも信用されなくなり、社会的な存在価値を失ってしまう。医学的には
どこも悪くないので、医者にかかると「ノイローゼ」(当時は神経衰弱)と
診断されてしまいます。私たちはこれを「原爆ぶらぶら病」と呼んでいます
が、この人たちは生きていくのが本当につらかっただろうと思います。
被曝をできるだけ少なくするために、「原発からとにかく遠く逃げろ」と
か「汚染されてない食べ物を食べろ」などと言われています。でも、そんな
ことは誰にでもできるわけではない。
家も仕事も地元の人間関係も放り投げて逃げられる人が、どれだけいるで
しょうか。事故がおきて9か月以上経っています。これまで1日3食として800
食以上、まったく汚染されていない食べ物を食べ続けている人は少ないでし
ょう。
遠くに逃げても生活できて、汚染されていない食べ物を調達できるという
のはごく一部の人々です。ほとんどの人々は、放射能汚染されたこの日本で
生きざるをえない状況になっています。
http://nikkan-spa.jp/116116
◆放射線に対抗する唯一の方法は、生まれつき持っている免疫力を弱めない
こと
私は、「自分で自分の身体を守るしかない」とはっきり言います。特別な
方法はありません。「放射線に対する免疫力を弱めないように、健康に生き
る」という、この一点につきます。
人間の祖先は40億年前にこの地球上に現れてから、紫外線と放射線でどん
どん死んでいきました。奇形もどんどん生まれていった。しかし、長い年月
を経て進化を続け、放射線に抵抗できる免疫をつくってきました。その結果、
いま紫外線や放射線の影響を受けても、地球上で毎年生まれれる新生児10万
人のうち、1人くらいの奇形が生まれるレベルにまで免疫を高められたんです。
ですから、放射線に対抗する手段は、これまでの「動物としての人間の生
き方」に学ぶしかない。夜更かしして夜遅くまで遊び回るなんて、せいぜい
ここ数十年のもの。その前は太陽とともに寝起きしていました。いちばん大
事なのは「早寝早起き」です。そうしないと、先祖から引き継いできた免疫
力が低下してしまいます。
それから、食べ物の食べ方。日本人の主食はコメですが、よく噛まない人
はその8割9割を便として排出してしまっています。これは、口の中で唾液
中の酵素ジアスターゼとコメが十分交わらずに腸がうまく吸収できないため
です。ですから「食事のときによく噛め」というのは、人間の免疫力を保持
するための鉄則なんです。免疫という意味で言えば、味噌や梅干しなど、日
本の伝統食品である発酵食品が放射線から守ってくれるというのも頷ける話
です。
人間は6つのことしかできません。睡眠、食事、排泄、働く、遊ぶ、セック
スです。この一つ一つに、健康に生きていくための法則がある。これは広島
・長崎の被爆者を長生きさせるために、被爆者と一緒に研究し、実践してき
たことで得た教訓です。誰にどんな影響がでるかわからないからこそ、免疫
力を保持し、健康を守って生きるしかないのです。
多くの学者はそのことを言わない。「年間何ミリシーベルトまでなら安全
です」と言うだけです。内部被曝を受けていれば、先々は安全かどうかなん
て誰にもわからない。彼らは「わからない」ということを認めたくないので
す。
http://nikkan-spa.jp/119088
◆原爆の長期的な影響は、米国の「軍事機密」として隠されてきた
日本の医学界は、被曝の長期的な影響をずっと無視してきました。なぜそ
うなったかと言えば、広島・長崎に原爆が落ちてすぐ、日本が降伏して米国
の軍隊が占領し、総司令官が統治を始めました。そして被曝の実態を、「米
国の軍事機密」だとして、原爆の影響について研究したり論文を書いたり、
学会で論議したりすることを禁じたからです。
その後、日米安保条約が結ばれ、米国の「核の傘」に守ってもらうために
「被曝の実態は軍事機密」としておかなければならない時代がずっと続きま
した。ですから、日本人は広島・長崎の原爆で何人被曝し、どんな症状が出
て、何人死んだのかという長期的なデータを持たずにきたのです。
日本政府は米国が「してはいけない」と命令したから、何もしなかった。
被爆者が苦しんでいるのに、政府はまったくおかまいなしでした。そして占
領軍が帰って5年後の1950年に、原子爆弾被曝者の医療に関する法律をつくり、
本人が申し出た場合だけ「被曝者手帳」を発行するようになりました。
でもこれは、年に1回無料の健康診断をするというだけのものでした。多
くの人にとっては、結婚とか就職とか生命保険に入るときとか、いろいろな
場面で被爆者として差別されるようになってしまった。長期被曝の影響を受
けたと思われる人が、名乗り出づらい風潮ができてしまったのです。そのう
ち、日本人は誰も原爆の問題で騒がなくなりました。
ソ連でも、チェルノブイリの患者を精密に調べた医師(バンダジェフスキ
ー博士)が、「放射能の影響で心筋梗塞になりやすい」ということを論文に
出しました。すると、政府の「放射線は無害」という方針に反したとして、
別の冤罪で捕まって逮捕されるというような時代がありました。ソ連も核兵
器を持ち続ける必要があったからです。
福島原発の事故でも、長期的な被曝の影響が心配されます。私が広島・長
崎で診てきた症状が、先々に出てくる恐れがあります。
きちんと治療と補償が行われるためにも、「軍事機密」として調査を行わ
なかったかつての過ちを繰り返してはならない。私たちは政府や東電に徹底
した情報公開を求めたうえで、正しい知識と効果的な対処法を身につけてい
かなければならないと思います。
http://nikkan-spa.jp/116117
日刊SPA!に、肥田舜太郎医師のインタビュー記事が掲載されました。
「「年間何ミリシーベルト以下だから大丈夫です」というのは大きなウソ」、
「放射線に対抗する唯一の方法は、生まれつき持っている免疫力を弱めない
こと」、「原爆の長期的な影響は、米国の「軍事機密」として隠されてきた」
というタイトルの3章からなる文章で、肥田さんの主張がコンパクトにまと
められています。ぜひご覧ください。
肥田さんは現在94歳、老齢をおして全国を単身、飛び回って、内部被曝の
脅威を語られています。さまざまな健康不安への相談もされています。その
行動力と、溢れる思いに頭が下がる思いです。僕も今年も肥田さんの背中を
追いかけて、放射線防護のために走り回ろうと思います。
その場合、とくに僕自身が重要だと思うのは、「放射線に対抗する唯一の方
法は、生まれつき持っている免疫力を弱めないこと」という指摘。とくに肥
田さんは早寝・早起きを強調しておられるのですが、昨年、僕はこの点を十
分にはまもれず、ついつい「緊急時だから」と夜中までパソコンに向かうこ
とをたくさんしてしまいました。
そのたびに、これでは肥田さんに怒られてしまうなと思いましたが、今年は
この点を戒め、自分自身の免疫力をもっと高める生活を起こりながら、この
点を強調していこうと思っています。非常時だろうが何だろうが、正しい
生活のリズムを守り通していくこと、ある意味でのタフさが必要なのだと思
っています。
こうした自戒も込めつつ、みなさんに肥田さんの言葉をご紹介します。
****************
― “最後の被曝医師”が語る人体に与える内部被曝の脅威 ―
日刊SPA!2012.01.05ニュース
(肥田舜太郎医師インタビュー)
◆「年間何ミリシーベルト以下だから大丈夫です」というのは大きなウソ
放射線というのは、人間には見えません。色も臭いもない。見た目には認
識できません。
私はこれまでずっと広島・長崎で被曝した患者を診続けてきました。原爆
のときは、火傷をしたり全身の粘膜から血が噴き出したり、頭髪が抜けるな
どの急性症状がありましたが、今回の福島原発の場合は、長期的な「内部被
曝」の影響が心配されます。
よく年間何ミリシーベルトだとか、毎時何マイクロシーベルトまでなら大
丈夫だとか言われていますが、これは外部被曝の場合のことです。内部被曝
というのは外部被曝と違って、放射性物質を体内に取り込んでしまい、1日
24時間ずっと被曝し続けるというものです。
その影響は、その人の年齢や健康状態、生活態度、免疫の状態にもよります
し、その症状がいつでてくるかも、誰にもわからないことだからです。医者
である私にだってわかりません。個人差があるので「必ず危険」だとも限り
ませんが、その人が病気になったり死んだりする可能性をアップすることだ
けは確かです。
日本の政府や学者がついているいちばん大きなウソは、「(外部被曝線量が)
年間何ミリシーベルトなら大丈夫です」ということ。内部被曝のことを全く
考慮していません。体内に入る放射性物質は「それ以下なら大丈夫」という
ことはない。少しでも体内に入ったら、長期的に被曝し続ける。微量な被曝
であれば大丈夫というのは間違いです。
専門家というのは、政府の責任を隠したり、業界の利益を守ったりするた
めに、ときに意識的にウソをつくことがあります。中には知らなくて言って
いる人もいますが。正確には、「今は大丈夫です。でも先々は病気になる可
能性もありますし、何とも言えません」と言うべきでしょう。
福島原発事故後の例で私が実際に報告を受けたもので言えば、多くは放射
線に敏感な子どもに初期の被曝症状が現れています。
下痢が続いて止まらない、しばらくしたら口内炎が出るとか、のどが腫れ
て痛いとか。多くの母親が心配していたのは子どもの鼻血です。鼻血がずっ
と続いて止まらない。そのうちに、両親にもそんな症状が出てくる。これは
福島に限りません。私のところには、東京や神奈川、静岡などからもこうい
った相談が寄せられました。
広島・長崎でも、爆心地近くにいて大量の放射線を浴びたわけではないの
に、時間がたつにつれて被曝の症状が現れてくる人が数多くいました。こう
した長期被曝患者に特徴的だったのは、猛烈な倦怠感があって動けなくなり、
働けなくなるという症状を訴える人が多かったことです。集中力がなくなっ
たり下痢が続いたり。本人もどうすればいいのかわからない。勤め先や家族
の中でも信用されなくなり、社会的な存在価値を失ってしまう。医学的には
どこも悪くないので、医者にかかると「ノイローゼ」(当時は神経衰弱)と
診断されてしまいます。私たちはこれを「原爆ぶらぶら病」と呼んでいます
が、この人たちは生きていくのが本当につらかっただろうと思います。
被曝をできるだけ少なくするために、「原発からとにかく遠く逃げろ」と
か「汚染されてない食べ物を食べろ」などと言われています。でも、そんな
ことは誰にでもできるわけではない。
家も仕事も地元の人間関係も放り投げて逃げられる人が、どれだけいるで
しょうか。事故がおきて9か月以上経っています。これまで1日3食として800
食以上、まったく汚染されていない食べ物を食べ続けている人は少ないでし
ょう。
遠くに逃げても生活できて、汚染されていない食べ物を調達できるという
のはごく一部の人々です。ほとんどの人々は、放射能汚染されたこの日本で
生きざるをえない状況になっています。
http://nikkan-spa.jp/116116
◆放射線に対抗する唯一の方法は、生まれつき持っている免疫力を弱めない
こと
私は、「自分で自分の身体を守るしかない」とはっきり言います。特別な
方法はありません。「放射線に対する免疫力を弱めないように、健康に生き
る」という、この一点につきます。
人間の祖先は40億年前にこの地球上に現れてから、紫外線と放射線でどん
どん死んでいきました。奇形もどんどん生まれていった。しかし、長い年月
を経て進化を続け、放射線に抵抗できる免疫をつくってきました。その結果、
いま紫外線や放射線の影響を受けても、地球上で毎年生まれれる新生児10万
人のうち、1人くらいの奇形が生まれるレベルにまで免疫を高められたんです。
ですから、放射線に対抗する手段は、これまでの「動物としての人間の生
き方」に学ぶしかない。夜更かしして夜遅くまで遊び回るなんて、せいぜい
ここ数十年のもの。その前は太陽とともに寝起きしていました。いちばん大
事なのは「早寝早起き」です。そうしないと、先祖から引き継いできた免疫
力が低下してしまいます。
それから、食べ物の食べ方。日本人の主食はコメですが、よく噛まない人
はその8割9割を便として排出してしまっています。これは、口の中で唾液
中の酵素ジアスターゼとコメが十分交わらずに腸がうまく吸収できないため
です。ですから「食事のときによく噛め」というのは、人間の免疫力を保持
するための鉄則なんです。免疫という意味で言えば、味噌や梅干しなど、日
本の伝統食品である発酵食品が放射線から守ってくれるというのも頷ける話
です。
人間は6つのことしかできません。睡眠、食事、排泄、働く、遊ぶ、セック
スです。この一つ一つに、健康に生きていくための法則がある。これは広島
・長崎の被爆者を長生きさせるために、被爆者と一緒に研究し、実践してき
たことで得た教訓です。誰にどんな影響がでるかわからないからこそ、免疫
力を保持し、健康を守って生きるしかないのです。
多くの学者はそのことを言わない。「年間何ミリシーベルトまでなら安全
です」と言うだけです。内部被曝を受けていれば、先々は安全かどうかなん
て誰にもわからない。彼らは「わからない」ということを認めたくないので
す。
http://nikkan-spa.jp/119088
◆原爆の長期的な影響は、米国の「軍事機密」として隠されてきた
日本の医学界は、被曝の長期的な影響をずっと無視してきました。なぜそ
うなったかと言えば、広島・長崎に原爆が落ちてすぐ、日本が降伏して米国
の軍隊が占領し、総司令官が統治を始めました。そして被曝の実態を、「米
国の軍事機密」だとして、原爆の影響について研究したり論文を書いたり、
学会で論議したりすることを禁じたからです。
その後、日米安保条約が結ばれ、米国の「核の傘」に守ってもらうために
「被曝の実態は軍事機密」としておかなければならない時代がずっと続きま
した。ですから、日本人は広島・長崎の原爆で何人被曝し、どんな症状が出
て、何人死んだのかという長期的なデータを持たずにきたのです。
日本政府は米国が「してはいけない」と命令したから、何もしなかった。
被爆者が苦しんでいるのに、政府はまったくおかまいなしでした。そして占
領軍が帰って5年後の1950年に、原子爆弾被曝者の医療に関する法律をつくり、
本人が申し出た場合だけ「被曝者手帳」を発行するようになりました。
でもこれは、年に1回無料の健康診断をするというだけのものでした。多
くの人にとっては、結婚とか就職とか生命保険に入るときとか、いろいろな
場面で被爆者として差別されるようになってしまった。長期被曝の影響を受
けたと思われる人が、名乗り出づらい風潮ができてしまったのです。そのう
ち、日本人は誰も原爆の問題で騒がなくなりました。
ソ連でも、チェルノブイリの患者を精密に調べた医師(バンダジェフスキ
ー博士)が、「放射能の影響で心筋梗塞になりやすい」ということを論文に
出しました。すると、政府の「放射線は無害」という方針に反したとして、
別の冤罪で捕まって逮捕されるというような時代がありました。ソ連も核兵
器を持ち続ける必要があったからです。
福島原発の事故でも、長期的な被曝の影響が心配されます。私が広島・長
崎で診てきた症状が、先々に出てくる恐れがあります。
きちんと治療と補償が行われるためにも、「軍事機密」として調査を行わ
なかったかつての過ちを繰り返してはならない。私たちは政府や東電に徹底
した情報公開を求めたうえで、正しい知識と効果的な対処法を身につけてい
かなければならないと思います。
http://nikkan-spa.jp/116117