明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(378)かくしてFryingDutchmanは、humanERRORを作った!(対談その1)

2012年01月10日 23時30分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)
守田です。(20120110 23:30)

すでにお知らせしているように、1月6日に、京都の堺町画廊において、ロック
バンド、FryingDutchmanと中村和雄さんとの対談が行われました。今宵はその
全記録を文字起こししたものをお届けします。全体が長いので、何回かにわけ
て掲載します。

今回のハイライトは、FryingDutchmanが、なぜ、どうのようにしてhumanERROR
を作ったのかです。歌詞を書いたボーカルのリーくんの思いを中心に、リーダ
ーのコータくんの思いなどが語られています。
「フライングダッチマンの名前の由来は」「human ERRORをどうして書いたのか」
「リリースして、ブレークして、今、思うことは」という章に分けています。

なおこのパートの文字起こしは、「中村和雄さんを市長にしよう!勝手連」の
田中愛子さんが担当してくださいました。ありがとうございました!

***************

かくしてFryingDutchmanは、humanERRORを作った!
フライングダッチマン・中村和雄対談・・・その1
http://for-kyoto.net/video/fryingdutchman1.html
全体のダイジェスト版(4分)は下をクリック
http://www.youtube.com/watch?v=yJPLoktpB3M

守田) みなさん、こんにちは。私は、「中村和雄さんを市長にしよう!勝手連」
に参加していますフリーライターの守田敏也と言います。今日は、human ERROR
という話題の曲で若者を中心に大変受けているフライングダッチマンの3人の
方が、ぜひ中村和雄さんに、どんな気持ちで、今、京都市政を考えているのか
話を聞きたいということで、この対談を実現することになりました。ぜひ、い
い時間を過ごしていきたいと思います。まず、最初に私の方から紹介をしたいと
思います。

フライングダッチマンの一応の?リーダーの?
コータ) 言い出しっぺです。
守田) 言い出しっぺのコータくんです。コータくんはギタリストなんですけど、
ベースも担当しているのですね。
コータ) はい、そうです。
守田) それから、フライングダッチマンのボーカルのリー・タバスコくんです。
リー) スパイシー(笑)
守田) スパイシー。リー・タバスコくんです。リーくんというのは、さっき聞い
たのですけど、実は、お父さんがブルース・ リーにそっくりなのだそうです。
それで、いつもお父さんが、ブルース・ リーのリー、リーと言われていて、彼
もリーと言われています。本名もリーなのですけども、ブルース・ リーのリー
なのだそうです。彼がhuman ERRORの詞を全部書いて、あの歌を世に出してくれ
ました。

守田) それから、ドラムのタイガ too lateくんです。タイガくんはいちばん若い、
20いくつ?
タイガ) 22です。
守田) 22才ですね。若者の、20代前半の代表です。
タイガ) はい。(笑)
守田) それで、みなさんご存知の中村和雄さん。
中村) こんにちは。よろしくお願いします。
全員) よろしくお願いします。
中村) もういいのかな?
守田) それでは、ここからはざっくばらんにいきましょう。

フライングダッチマンの名前の由来は?

中村) 最初にごめんなさい。フライングダッチマンという名前は、ぼくらには映
画の『パイレーツ・オブ・カリビアン』でのイメージが強いのですが、考えてみ
たら、皆さんの方が先なのですよね。
リー) 『パイレーツ・オブ・カリビアン』よりは先ですね。
中村) だよね。どういう経緯でつけられたのですか?
リー) ノリなのですけど、フライングダッチマンというのは、有名な小説で、
「さまよえる幽霊船」が出てくるものがあるのですけれど、そこから来ています。
ぼくがオランダに感銘を受けて、オランダでバンドをやりたいと思いまして、バ
ンドは海賊やというイメージがあって。(守田注 フライングダッチマンは、
元々はイギリスの伝承で、小説やオベラなどに繰り返し登場している。船長が
オランダ人であったとされることから、ダッチマン=オランダ人の名がついてい
る。「さまよえるオランダ人」などとも言われる)

中村)イメージはあっち?
リー)そうなんです。でも、そっちの方のフライングダッチマンはLなんですよ。
fly「飛んでる」で、ぼくらはRで、fry、直訳するとね、「焦げあがってるオラ
ンダ人」なんです。(笑)
中村) ああ、そうなんだ。気づかなかった。
コータ) 揚げ物なんです。胸焼け注意です。(笑)

human ERRORをどうして書いたのか

中村)human ERRORは10番まであるって聞いたのだけれど?
リー)10番?
中村)10番。1番、2番、3番とあって・・・(笑)
リー)そんなんないですね。
中村)全面的に10回繰り返しているのかな?
リー)いえいえ、ぜんぜん。
中村)全部1番?
リー)はい。全部1番ですね…そうですね。 いや、1番とか考えたことなかっ
た。(笑)

中村)どういうときにこれを作ろうって思ったの?
リー)いや、作ろうと思ったんじゃなくて、3.11以降ものすごい悲しみと怒りに
持ち上げられて、普段、僕はそんなにストレートな曲を書いたりしないのですけ
れど、もう思いっきり吐き出しました。腹が立って吐き出した感じですね。別に
曲にするつもりも最初はなくて、「書いたし、新曲できたよ」って彼(コータく
ん)の携帯にメール送ろうと思ったのですが、彼の携帯、古いから長いので全部
入り切らなくて(笑)それでスタジオ入ってすぐに…。
中村)曲は誰が作ったの?
リー)最終的には僕が作ったのですけど、みんなでアレンジして。
中村)一気に書き上げたの?
リー)そうですね。

中村)読んでて思うのだけど、ず~っと最後まで詞を読んでいくと、原発問題が
すごくよく分かるじゃない。ホントに理解できるのですよね。今の311の問題
から、原子力発電所の問題がどうして起きたのか、どんなにひどいことがされて
きたのか、これからどうしたらよいのいかということが、まさに教科書のごとく
すーっと理解できるから、こういうすごいことを、どこかで一生懸命調べて作っ
たのかなあって思ってたのですよ。
リー)そのへんは意識しました。分かりやすくないとだめだなと思って。3年く
らい前に上関原発の建設を知って、友だちに教えてもらって、そこから原発と向
き合うようになりました。それから何回も通って、反対運動に加わったり、僕な
りに反対を続けてきて、そうすると無関心な人の壁があるじゃないですか。それ
に大分、悔しい思いをしてきたのですけど、そういうのも含めて、今回原発が爆
発して、ホンマ、腹が立ってきて、これを書きました。中途半端に書いたら揚げ
足を取られるから、全部洗いざらい、知っていることを並べて書いたれ、みんな
も言いたいやろうしということを書きました。

中村)僕は事故があってしばらく経ってからなのですけど、20キロのところま
では入れたのですよ。本当はもっとずっと中へ入ろうとしたのだけど、警察に止
められて、これ以上は入ったら犯罪ですよとやられてしまって、そこでストップ
だったのですけれど、20キロから少し行ったところに旅館街があって、そこに
作業している人たちが寝泊りしていました。そこだけ人がいる。男性ばかり、若
い人たちが寝泊りしていて、そのまた南の方をずっと下がって行くと誰もいない。
海岸線はもう津波にやられている。本当に異様な光景でした。
守田)何町から入ったのですか?
中村)もともと入ったのは、福島の方からずっと上がって行ったのです。郡山から。
守田)郡山から。
中村)郡山からずっと海岸線に沿って、20キロまで、Jビレッジ(注 サッカーの
練習施設。日本代表などにも使われてきて有名)までいきました。

リー)当初ですか?
中村)いえ、行ったのは5月ですね。そのときに一番びっくりしたことが、ずっと
また南に下がって来て、原発から65キロぐらいかな?海岸のきれいなところが
あって、ちょっとコーヒー飲もうということになりました。ゴルフ場を兼ねてる
ホテルがあったので、コーヒー飲みに行ったら、ラウンジが閉鎖されていた。何
で閉鎖されているのかなと思ったら、作業している外国の人たちがいっぱいいま
した。10人くらいが一番、見晴らしのいいラウンジのところを机にしてコンピ
ュータを置いている。何かなと思ったら、アレバ社の人たちなのです。フランス
から特別に対策チームとして呼ばれている人たちがそこで作業していたのです。
日本の人たちは20キロくらいのところで作業していて、それでなぜ彼らは60
数キロのところにいるのか、すごいおかしいと思いましたね。本当に危険なこと
が分かっているから離れているのですね。
守田)明らかにそうですよね。
コータ)飛んでいきはりましたもんね。
守田)すぐに逃げ帰りましたよね、フランス人はね。いちばん最初に国外退去し
てね。

リリースして、ブレークして、今、思うことは?

守田)ところでリーくんが歌詞を書き上げたのは3月の末ごろになるのですか?
リー)それぐらいですね。
中村)リリースしたのはいつ?
リー)リリースしたのは7月の七夕辺りです。リリースするつもりも最初はなか
ったのですよ。CDにするつもりもなかって。ただまあそれを書いたし、とりあえ
ずちょっとライブやろうって、スタジオでちょっと合わせて。だから最初はライ
ブから始まったんです。そのライブをやったやつをICレコーダーで録って、僕は
普段は廃品回収をやっているのですけれど、軽トラックに乗って、家電製品を引
き取っているのですけれど、その放送の代わりに、human ERRORを流して・・・。

中村)街の中で流してたの?
リー)街の中でそれを流して、1人でも、1人デモができたらいいなと思って。
守田)聴きたい人が自転車に乗って追っかけてくるんですって。(笑)
中村)へえ~。そこから始まったんだ。
リー)そうなんです。それからまあ、けっこういろいろな反応があって、周りの
人がみんな集まってくれて、それやったらCDにしようかてなって。それでみんな
に相談して、しっかりレコーディングをして、CDにしたのです。
中村)今、youtubeが一番、ヒット回数多いのかな?
リー)そうです。
中村)何10万くらい?
リー)32万件くらい。
中村)CDは?
リー)CDは全部で7千枚刷ってるんですよ。
中村)youtube聞いた人に買ってもらわないといけないね。
リー)そうですね。
守田)(カメラに)ぜひ買ってください。(笑)

中村)どうですか?これだけ、みんなが聴いてくれたことに対して。
リー)嬉しいです。率直にやはり嬉しいし、今回、人とのつながりがめくるめく
巻き起こってくる必然的な出会いに感謝しています。でも、普段から僕は言うて
ることは変わらへんし。同じことを言うてるだけやし。自分たちが打ち出したこ
とに賛同してくれたことはやはり嬉しいし、自分たちになりに音楽の力をあらた
めて実感できたし。これからですけど。
守田)さっきも話してたいたのですけれどね、リーくんの中にこの3年間の悔し
い思いがあって、歌詞の中でも、「ツイッターやネットで原発の反対している人
の揚げ足を取るようなレス多いけど、そんな奴ほど薄っぺらで何にも実態分かっ
てないし」というくだりがあるのだけれど、原発に反対している人にはみんな、
似たりよったりの気持ちがあると思うのですよ。一生懸命反対しても、すごく揚
げ足取るようなこと言われてとかね。その悔しい思い、なかなか届けられない思
いというか、なにかそれが代表としての彼の中に流れ込んだのではないか。それ
を彼が語ってくれたので、みんなが聴いたときに、「おお、これだよ、そうなん
だよ、こう言いたかったんだよ」という思いになっていったのではないかなと思
うのですよね。

守田)コータくんが最初に詞を読んだときは、ちょっと過激なんじゃないかって
思ったそうだけど・・・。
コータ)いや、最初の最初は、もちろん「100パーセント言う通り」みたいな
気持ちやったんです。だけど、僕も僕なりに反対活動してくる中で、家族との壁
ができたりとか、友だちに言ったら変人扱いされたりとか(笑)けっこう参って
きている時期やって。なんか、言うたらリーくんの悲痛な叫びなだけに、僕にも
そのとき痛く感じられてきて、レコーディングした後かな。それでちょっと、一
時、これはきつすぎんのちゃう?ちょっと攻撃的過ぎんのちゃう?みたいに、
悶々とした時期がありました。
守田)そのときどんな話をしたのですか?
リー)いや僕はこんなんなまぬるいと(笑)こんなんぜんぜんやろ、もっといか
んとって・・・。 
コータ)もちろんそう思いましたよ。(リーくんに)そういう時期やってんて言
うたやんか。(爆笑)

続く
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする