明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(384)笠間市のこと、内部被曝問題研究会のこと

2012年01月16日 23時30分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)
守田です。(20120116 23:30)

深く心に残る旅を続けています。1月14日、僕は笠間市を訪れました。2回目の
訪問でした。午前中に笠間芸術の森公園にいって、放射線測定会を開催。集
まった方たちと、ガイガーカウンター5台を持って、各所を測定しました。線
量は公園全体的に0.2マイクロシーベルト以上あり、特定の遊具の下や、駐車場
の壁面の下などで0.5~0.6マイクロシーベルトが計測される高い地点もみつけ
ました。

その後、午後になって近くの会場で講演会を開催。60名ぐらいの方が参加され
たでしょうか。およそ1時間少し話させてもらったのち、質疑応答に移りました
が、切れ目なく質問が続きました。それも「自分は杉の木に囲まれて暮らして
いる。こういう場では放射性物質がついているかもしれない花粉にはどう対処
したらいいか」「友人の家は、屋根からの放射線が高いようで部屋の中が0.2
マイクロシーベルト以上ある。葺き替えに助成を得られるそうだが進めるべき
きかどうか」などなど、中身の濃い具体的な話が続きました。

僕は「花粉がそんなに多く、放射性物質が付着している可能性があるのなら
せめてその時期だけでも避難してはどうか」「健康の問題から考えるなら、
葺き替えたほうがいい。でもそれを行う業者の被曝や、葺き替えたかわらが
どこにいくのかを考えると、悩ましい面もある」と答えました。とにかく
始終、会場が熱気あふれていて、とても印象に残る場でした。

その後、笠間市で、産廃問題などで長く活躍されてきた方の家にお邪魔になり
歓談しました。ここでもとても印象的な話がたくさんあったのですが、今日の
ところは割愛して次に進みます。


さて、この日の夜、僕は笠間のホテルに泊まったのですが、エアコンで暖を
とっているとのどが痛くなったため、エアコンを切って寝たところ、体がか
なり冷え切ってしまい、その日の夜から激しい下痢に襲われました。翌朝も
たっていられないほどで、なおかつ体が寒くてガタガタ震えてしまいます。
ひょっとしたら、放射線の影響ではないかという思いが頭をかすめます。

しかしこの日は脱原発国際会議での内部被曝問題研究会の会合に出ると決め
てあったので、這うようにして電車にのり、横浜に向かいました。途中で
何度もトイレに入ることに。とにかく何も食べることができず、また食べる
気にもならず、ほうほうの態で会場につきました。

午前中は、高橋博子さんと、澤田昭二さんの講演がありましたが、部屋に
入ったら物凄い熱気。僕はいすに座っているのがやっとで、途中からは
耐え切れずにフロアーにあぐらをかいてしまいましたが、なんとか講演を
拝聴しました。すでに何度か学んできている内容でしたが、多くの人たちと
こうして聞くことに意義を感じました。

その後、昼の休憩時間に矢ヶ崎さんとお会いし、お昼を誘ってくださった
のですが、とても食べれる状態になかったので、部屋に残り、体を休める
ことにしました。その後、午後になって「内部被曝なんでも相談会」がはじ
まりました。登壇したのは、澤田昭二さん(名古屋大学名誉教授)松井英介
さん(医師)大石又七(第五福竜丸元乗組員)、矢ヶ崎克馬(琉球大学名誉
教授)、高橋博子(広島平和研究所)、西尾正道(北海道がんセンター院長)
という豪華メンバー。

会場からは自己体験に基づく切実な質問が相次ぎましたが、ややもすると、
これまでの「学者」総体に対する怒りが、目の前にいる方々にむけられて
しまう面も。そうしたときに、大石さんが、被爆者の立場から発言。自分も
学者はまったく信頼していない。あのビキニのことからきちんと学んでい
れば今日の事態はなかったと発言。会場は拍手に沸きました。

これをうけて澤田さんが、「僕は大石さんに信頼されている学者だと思う
のですよね」と発話。大石さんのうなずきに会場から笑いが漏れます。そ
うなのです。ここにいる方は、「御用学者」のあり方に怒りをいだき、市
民の側から科学を再構築しようとしている科学者の方たちなのです。

僕もフロアから発言しました。「問題は、放射線による被害が、急性症状と
晩発性障害の二つに二元論的に分かれてしまっていて、その間にあるのでは
ないかと思われるもの、まさに多くの人が感じている健康被害に当てはまる
ものが、放射線の影響として語られていないことになるのではないか。そう
した可能性にもっと目を向けることが必要ではないか」というのが僕の発言
の趣旨でした。

すると矢ヶ崎さんが、「科学を考える限り、あらゆる可能性を否定せず、
一つ一つを検討していくことが重要だ。その意味で、みなさんが語られてい
るいろいろなことを、可能性を否定せずに、一緒に研究していきたい」とい
う趣旨の発言で答えてくださいました。僕としてはとても納得のいく回答
でした。

さて、セッションが終わって、発言者の方々と挨拶していると、参加者の
多くの方が、声をかけてきてくださり、名刺交換することになりました。
「こども福島」から参加している方もいれば、北海道に避難している方、
産廃問題を深めている方等々、実に多彩な方でした。本当に貴重なひと時
でした。


さて、その後も僕の下痢は治らず、企画全体が終わった後に、研究会の方たち
の歓談の場があるかもとのお誘いもあったのですが、会場を後にしてホテルに
直行しました。そして部屋を暖め、いったんは寝て、少し体調を整えてから
外にでて、必要と思われる漢方薬を買ってきました。気功師の友人に電話で
治療もしてもらい、あとはひたすら寝て直すと決意。なんともいえない一晩の
格闘を経て、朝にかなりましに。コンビニで、白桃の入ったゼリーを買って
きて食べたら、おいしくて嬉しくなりました。

それで予定通り、朝、7時半にホテルをでて、福島へ。10時過ぎに福島駅に
つき、福島訪問が始まりました。ここでの出会いと体験がまた非常に濃かった
のですが、それはまた次の通信で書こうと思います。

とまれ今、僕は福島市のホテルに滞在中。旅はまだまだ続きます!



コメント (2)
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