守田です。(20120103 17:00)
今年2月に京都市長選が行われますが、その争点の一つとなっているのが教育の
行く末です。現市長のもとで、京都では一部の学校にのみ予算配分をしてエリー
ト校を作ろうする極端な格差教育が進められ、重点校とそうではない学校の間で
かなりのゆがんだ開きができてしまっています。
教育のあり方をめぐるこうした傾向は、すべてを市場の弱肉強食の論理に任せよ
と述べてきた、小泉政権以来の全国的な流れにも沿うもので、子どもたちは共に
いきることよりも、他者に打ち勝つことばかりを教え込まれようとしています。
教育の場が実に殺伐とした場に変わりつつあります。
僕はこうした方向性はまったく間違ったものだと思っています。とくに被災した
東北の痛みをシェアしあい、放射能の被害と全国民・住民が一緒になってたち
むかうべきことを考えるとき、教育の場で、暖かい心を育てることが何よりも
重要であり、そのためには、学校の間に格差があり、設備が極端に違うような
あり方を是正することが必要です。すべての人が平等・対等に扱われてこそ
子どもたちの心に届く教育が可能になるからです。
このように考えているときに、京都市教組が、京都市の格差教育を告発するビデ
オと作って流していることを知りました。この内容を多くの人に知っていただき
たいと考え、内容を文字起こししましたのでどうかお読みください。これは京都
で起こっていることですが、全国で似たような状況が生まれていると思われます。
子どもたちに明るい未来を贈るために、格差教育に歯止めをかけ、教育の場を
豊かなものにしていきましょう!
****************
告発!京都市の格差教育
作成:京都市教組 2011年12月13日アップロード
http://www.youtube.com/watch?v=5hpXkolkQbI
来年2月に京都市長選が行われます。京都市では2代続けて教育委員会出身の市長
が誕生していることもあり、市長選では教育問題が大きな争点となってきました。
今日は京都市の教育の現状をスライドを交えながらお話し、みなさんで今後の学
校教育について考えたいと思います。
前回の市長選挙の際、地元新聞は、「一転豪華主義という批判を免れない」と一
部のモデル校に対する予算投入を批判しましたが、その姿勢は変わっていません。
この4月に小中一貫校の東山開晴館が開校しました。この学校は独自の教員配置を
行って、中学校は一クラス29人以下の少人数学級で授業が行われています。
また全市で、僻地校をのぞけば唯一のあたたかい自校方式の中学校給食を行い、
食器はアルマイトではなく、ペン食器です。また東山三条付近から学校まで、市
バスを特別に運行し、行き帰りの送迎を行っています。通常の学校建設費の二倍
以上の69億円の巨費が投入された、まさに特別な学校です。しかし小学校低学年
の子どもが遊ぶ中庭の遊具も貧弱で、土の部分はありません。さらに突貫工事の
影響下、水漏がおこるなど、巨費を投じた割には問題点も噴出しています。
こんな学校がある一方で、いまだに雨漏りする校舎、何度要求しても改善されな
い汚れたトイレ、飲料水として使えない錆びた水道管の学校、水泳指導中に足を
擦りむくプール、穴のあいた教室の床などが放置されたままの学校もあります。
また伏見区の運転免許所の近くに神川中学校があります。この地域は、住宅建設
が進み、生徒数は1160人で、全国ワースト5のマンモス校です。3年生はなんと
13クラスもあり、今後も生徒増が予想されています。
その学校の理科の教員は、「36学級なのに理科室は二つしかなく、教材費も前任
校より少ない。これでは一人ひとりの子どもに十分な教育はできない。なぜこう
いう学校にお金をかけないのか」と憤慨しています。さらに休み時間に保健室を
訪れる生徒は50人を越え、とても対応しきれない状況です。
また南区の小学校では、保護者から「家庭科教室はガス管が腐食し、さらにひき
出しはカビだらけだった。それでもなかなか改修してもらえなかった」と声があ
がり、上京区のある小学校の保護者からは「校舎の3階にトイレが無く、毎時間
下の階までいくが、いつも長い列ができている。子どもは学校のトイレにいきた
がらない」との声が上がっています。
さらに学校給食は全国的には当たり前の完全給食ではなく、業者弁当のままです。
選択制のため思春期の中学生の中には、頼むのを躊躇し、コンビに弁当や菓子パ
ンにならざるをえない状況が生まれています。使用している食器も、全国的には
10%程度しかないアルマイト食器のままです。さらに京都市には給食の運搬リフ
トがないため、1年生の児童までが、重い熱い給食の食管を手で運び、子どもが
やけどすることもあります。
障がいのある子どもの通う総合支援学校の実態も深刻です。京都市内の総合支援
学校では、ここ数年、子どもの数が増え続けています。とりわけ上京区にある北
総合支援学校は、児童・生徒数150人を想定していましたが、開校8年目で230人
に達しています。そのため教室が足りないので、一クラスあたりの生徒の数を
増やして対応せざるをえない状況です。
美術室や、子どもの体の訓練に必要な部屋も確保できていません。さらに障がい
児学校としては全国的に例のない5階建ての校舎で、開校以来、一度も構造上の問題
と人手不足のため、子どもたちを外に出す避難訓練は行われていません。子ども
の安全に関わる要求に対して、市教委はお金がないと拒み続けてきました。門川
市長は、教育と福祉は後退させないと公約しながら、学校運営費と人件費などを
毎年削減しています。全体の予算を減らし、特定の学校に重点配分する教育予算
の使い方は明らかに間違っています。
前回の選挙でも話題になり、市教委がモデル校としてきた学校に、中京区の御所
南小学校があります。市内中心部のマンション建設ラッシュと、学力日本一など
の宣伝、NHKのテレビ放映もあり、児童数は統合時の2倍近くの1183人、その結果
6年生は教室不足で、京都御池中学校へ通学、グランドへのプレハブ建設、新た
な運動場整備などが行われています。小学校1年生は運動場が狭く、危険で十分
に遊べない状況です。
その京都御池中学校でも教室が足りなくなり、市役所の分室部分などがあった、
6階、7階部分を教室として使う工事が行われています。ともに教育条件の急激
な悪化で、一人ひとりを大切にする教育は難しいという悲鳴が上がっています。
これが特定の学校のみを優遇する格差教育の末路です。
もう一つの京都市教育の特徴は、トップダウンです。門川教育長時代の2006年か
ら、すべての学校で二期制への変更を強行しました。10月中旬に前期の終業式で
通知表をもらう学校もあります。土日休んで次の日から後期といわれても、子ど
も教師も気分転換は無理です。「夏休みの始まりや終わりがばらばらで困る」
「夏休み前に、学習の到達がわかる通知表がほしい」など、保護者や地域でも
大変不評でした。
さらに猛暑の8月下旬に授業が始まり、クーラーをかけても、教室が暑くて子ど
もがぐったり、給食も食べれないなど、教育効果への疑問もあがっていました。
これを何の反省もなしに、今年度から通年制すると市教委は発表しました。こ
れが教育改革の目玉とされた、二期制の最後です。振り回された子ども、保護者、
学校現場はたまったものではありません。
また教育委員会の不祥事は目に余るものがあります。タウンミーティングで、教
育委員会に異を唱える人を意図的に排除したり、祇園で宴会をした後の帰宅に
公費のタクシーチケットを使ったり、前回市長選挙直前に、門川市長自らを宣伝
するために、公費で本を購入し、学校や教育関係者に配布するなど、税金の無駄
使いを繰り返し、裁判所などから厳しい指摘と税金の返還を求められています。
東日本大震災は、学校や教育のあり方の再検討を提起しています。子どもの命と
安全を最優先にする学校。競争ではなく助け合い、学びあいながら成長する子ど
もたちの育成、地域の安全と住民の絆を作る拠点としての学校づくりが問われて
います。効率優先で多くの学校を統廃合し、格差教育を推進してきたトップダウン
ンの教育行政を一刻も早く転換しなければなりません。
中村和雄さんは、市民ウォッチャー京都の事務局長として京都市教委の不正を
先頭にたって追求してきた人です。京都市制の改革には最適の人です。中村和雄
さんは、格差教育を是正し、すべての学校で子どもたちが安心して通える学校
作りを進めます。すべての学校での30人学級の実現、完全中学校給食の実施、
就学援助制度の充実と、学用品などのリサイクルを進め、教育費の保護者負担
を軽減します。
またトップダウンではなく、子ども、保護者、教職員の声が反映される、地域に
開かれた学校作りを進めます。中村和雄さんとともに力を合わせて、京都市の
教育を刷新しましょう。
終わり
今年2月に京都市長選が行われますが、その争点の一つとなっているのが教育の
行く末です。現市長のもとで、京都では一部の学校にのみ予算配分をしてエリー
ト校を作ろうする極端な格差教育が進められ、重点校とそうではない学校の間で
かなりのゆがんだ開きができてしまっています。
教育のあり方をめぐるこうした傾向は、すべてを市場の弱肉強食の論理に任せよ
と述べてきた、小泉政権以来の全国的な流れにも沿うもので、子どもたちは共に
いきることよりも、他者に打ち勝つことばかりを教え込まれようとしています。
教育の場が実に殺伐とした場に変わりつつあります。
僕はこうした方向性はまったく間違ったものだと思っています。とくに被災した
東北の痛みをシェアしあい、放射能の被害と全国民・住民が一緒になってたち
むかうべきことを考えるとき、教育の場で、暖かい心を育てることが何よりも
重要であり、そのためには、学校の間に格差があり、設備が極端に違うような
あり方を是正することが必要です。すべての人が平等・対等に扱われてこそ
子どもたちの心に届く教育が可能になるからです。
このように考えているときに、京都市教組が、京都市の格差教育を告発するビデ
オと作って流していることを知りました。この内容を多くの人に知っていただき
たいと考え、内容を文字起こししましたのでどうかお読みください。これは京都
で起こっていることですが、全国で似たような状況が生まれていると思われます。
子どもたちに明るい未来を贈るために、格差教育に歯止めをかけ、教育の場を
豊かなものにしていきましょう!
****************
告発!京都市の格差教育
作成:京都市教組 2011年12月13日アップロード
http://www.youtube.com/watch?v=5hpXkolkQbI
来年2月に京都市長選が行われます。京都市では2代続けて教育委員会出身の市長
が誕生していることもあり、市長選では教育問題が大きな争点となってきました。
今日は京都市の教育の現状をスライドを交えながらお話し、みなさんで今後の学
校教育について考えたいと思います。
前回の市長選挙の際、地元新聞は、「一転豪華主義という批判を免れない」と一
部のモデル校に対する予算投入を批判しましたが、その姿勢は変わっていません。
この4月に小中一貫校の東山開晴館が開校しました。この学校は独自の教員配置を
行って、中学校は一クラス29人以下の少人数学級で授業が行われています。
また全市で、僻地校をのぞけば唯一のあたたかい自校方式の中学校給食を行い、
食器はアルマイトではなく、ペン食器です。また東山三条付近から学校まで、市
バスを特別に運行し、行き帰りの送迎を行っています。通常の学校建設費の二倍
以上の69億円の巨費が投入された、まさに特別な学校です。しかし小学校低学年
の子どもが遊ぶ中庭の遊具も貧弱で、土の部分はありません。さらに突貫工事の
影響下、水漏がおこるなど、巨費を投じた割には問題点も噴出しています。
こんな学校がある一方で、いまだに雨漏りする校舎、何度要求しても改善されな
い汚れたトイレ、飲料水として使えない錆びた水道管の学校、水泳指導中に足を
擦りむくプール、穴のあいた教室の床などが放置されたままの学校もあります。
また伏見区の運転免許所の近くに神川中学校があります。この地域は、住宅建設
が進み、生徒数は1160人で、全国ワースト5のマンモス校です。3年生はなんと
13クラスもあり、今後も生徒増が予想されています。
その学校の理科の教員は、「36学級なのに理科室は二つしかなく、教材費も前任
校より少ない。これでは一人ひとりの子どもに十分な教育はできない。なぜこう
いう学校にお金をかけないのか」と憤慨しています。さらに休み時間に保健室を
訪れる生徒は50人を越え、とても対応しきれない状況です。
また南区の小学校では、保護者から「家庭科教室はガス管が腐食し、さらにひき
出しはカビだらけだった。それでもなかなか改修してもらえなかった」と声があ
がり、上京区のある小学校の保護者からは「校舎の3階にトイレが無く、毎時間
下の階までいくが、いつも長い列ができている。子どもは学校のトイレにいきた
がらない」との声が上がっています。
さらに学校給食は全国的には当たり前の完全給食ではなく、業者弁当のままです。
選択制のため思春期の中学生の中には、頼むのを躊躇し、コンビに弁当や菓子パ
ンにならざるをえない状況が生まれています。使用している食器も、全国的には
10%程度しかないアルマイト食器のままです。さらに京都市には給食の運搬リフ
トがないため、1年生の児童までが、重い熱い給食の食管を手で運び、子どもが
やけどすることもあります。
障がいのある子どもの通う総合支援学校の実態も深刻です。京都市内の総合支援
学校では、ここ数年、子どもの数が増え続けています。とりわけ上京区にある北
総合支援学校は、児童・生徒数150人を想定していましたが、開校8年目で230人
に達しています。そのため教室が足りないので、一クラスあたりの生徒の数を
増やして対応せざるをえない状況です。
美術室や、子どもの体の訓練に必要な部屋も確保できていません。さらに障がい
児学校としては全国的に例のない5階建ての校舎で、開校以来、一度も構造上の問題
と人手不足のため、子どもたちを外に出す避難訓練は行われていません。子ども
の安全に関わる要求に対して、市教委はお金がないと拒み続けてきました。門川
市長は、教育と福祉は後退させないと公約しながら、学校運営費と人件費などを
毎年削減しています。全体の予算を減らし、特定の学校に重点配分する教育予算
の使い方は明らかに間違っています。
前回の選挙でも話題になり、市教委がモデル校としてきた学校に、中京区の御所
南小学校があります。市内中心部のマンション建設ラッシュと、学力日本一など
の宣伝、NHKのテレビ放映もあり、児童数は統合時の2倍近くの1183人、その結果
6年生は教室不足で、京都御池中学校へ通学、グランドへのプレハブ建設、新た
な運動場整備などが行われています。小学校1年生は運動場が狭く、危険で十分
に遊べない状況です。
その京都御池中学校でも教室が足りなくなり、市役所の分室部分などがあった、
6階、7階部分を教室として使う工事が行われています。ともに教育条件の急激
な悪化で、一人ひとりを大切にする教育は難しいという悲鳴が上がっています。
これが特定の学校のみを優遇する格差教育の末路です。
もう一つの京都市教育の特徴は、トップダウンです。門川教育長時代の2006年か
ら、すべての学校で二期制への変更を強行しました。10月中旬に前期の終業式で
通知表をもらう学校もあります。土日休んで次の日から後期といわれても、子ど
も教師も気分転換は無理です。「夏休みの始まりや終わりがばらばらで困る」
「夏休み前に、学習の到達がわかる通知表がほしい」など、保護者や地域でも
大変不評でした。
さらに猛暑の8月下旬に授業が始まり、クーラーをかけても、教室が暑くて子ど
もがぐったり、給食も食べれないなど、教育効果への疑問もあがっていました。
これを何の反省もなしに、今年度から通年制すると市教委は発表しました。こ
れが教育改革の目玉とされた、二期制の最後です。振り回された子ども、保護者、
学校現場はたまったものではありません。
また教育委員会の不祥事は目に余るものがあります。タウンミーティングで、教
育委員会に異を唱える人を意図的に排除したり、祇園で宴会をした後の帰宅に
公費のタクシーチケットを使ったり、前回市長選挙直前に、門川市長自らを宣伝
するために、公費で本を購入し、学校や教育関係者に配布するなど、税金の無駄
使いを繰り返し、裁判所などから厳しい指摘と税金の返還を求められています。
東日本大震災は、学校や教育のあり方の再検討を提起しています。子どもの命と
安全を最優先にする学校。競争ではなく助け合い、学びあいながら成長する子ど
もたちの育成、地域の安全と住民の絆を作る拠点としての学校づくりが問われて
います。効率優先で多くの学校を統廃合し、格差教育を推進してきたトップダウン
ンの教育行政を一刻も早く転換しなければなりません。
中村和雄さんは、市民ウォッチャー京都の事務局長として京都市教委の不正を
先頭にたって追求してきた人です。京都市制の改革には最適の人です。中村和雄
さんは、格差教育を是正し、すべての学校で子どもたちが安心して通える学校
作りを進めます。すべての学校での30人学級の実現、完全中学校給食の実施、
就学援助制度の充実と、学用品などのリサイクルを進め、教育費の保護者負担
を軽減します。
またトップダウンではなく、子ども、保護者、教職員の声が反映される、地域に
開かれた学校作りを進めます。中村和雄さんとともに力を合わせて、京都市の
教育を刷新しましょう。
終わり