今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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これも美品のPEN-D3ですよ

2011年01月20日 20時01分46秒 | インポート

Dscf184654ご常連さんから 外観は美品のPEN-D3 #2511XXが来ています。気になる点をイラスト入りで書いて頂いていますね。しかし、みなさん、お上手ですね。ご指摘は、駒数板と窓のセンターがずれているということ。ほんとだ。これは同じ設計の他機種でもあるのですが、やはりD系に多いでしょうね。ダイカスト本体のスプール軸の位置は変わりませんので、トップカバーの仕上がりということになります。D系は真ん中にファインダーの切り欠きが大きく、形状としての強度がありません。その辺りの事情も寸法安定性に影響を及ぼしているかも知れませんね。露出計は不動ですが、黄ばんだ透明テープは、窓の左側に位置するメーターの指針を調整する小窓を塞いでいるテープ。長い間に糊が剥れたのです。

Dscf184715 駒数ノブを外してみました。ははぁ、駒数ガラスの孔と中心軸がずれているのが分かりますね。左に1mm寄っている(右に0.5mm寄せれば良いことになります)のです。しかし、工場での組立段階では修正は出来ませんので、そのまま良品として組んだものでしょう。果たして、どの程度を不良としていたのか? まぁ、駒数ノブがガラスと接触しない場合は良品としていたぐらいでしょう。駒数ガラスは正確に接着されていますから、やはりトップカバーの仕上がり寸法で出ていないということです。

Dscf184864 ダイカスト本体などを洗浄したところ。これから不動のシャッターをオーバーホールしますが、消耗は少なく未分解の個体ですから、問題なく回復すると思います。そうなると露出計は動かしたいですよね。最近、このパターンが増えてストック部品が・・・

Dscf184952 シャッターユニットは昨夜完成させていました。未分解のユニットで消耗劣化もなく最高の状態として本体に組み込んであります。露出計を作動させることを念頭に電池室の配線を作っておきます。無駄にならなければ良いですが・・

Dscf185179 こんな感じね。良いでしょう。圧板の状態から見て、おそらくこの個体は殆ど使用されなかったものと思います。使用されてその後放置(保管)されたものは、人の手汗でレンズ周りがかならず腐食しているものです。この個体には全くそれがありません。ヘリコイドが重いとのご指摘がありましたが、D系の場合は口径が大きいため、どうしても回転は抵抗感があります。軽いグリスと交換してみましたが、あまり変化はありません。使い込まれてグリス切れを起こしている個体は磨耗もあって軽くなる傾向にありますね。

Dscf1854941 まぁ、こんなところですね。結果的に露出計はCdsとメーターは生きていて基板とスイッチの不良でした。使用されなくとも電気素子や部品は劣化をするのです。駒数窓は多少は改善して見えますでしょうか? これで一杯です。ごまかしですけどね。

Dscf185657 折角きれいな個体なので頑張っちゃいました。シャッター、レンズ、露出メーター全て完璧になっています。最近では珍しい美品と思います。D3は重いので落とさないように大切にしてくださいね。


PEN-EE系のお兄さんだよなぁ

2011年01月20日 19時37分10秒 | インポート

Dscf183865 珍しくTRIP 35の美品が来ていますよ。機能は問題ないのでモルトやファインダー、レンズの曇りやカビ跡を中心にオーバーホールして行きます。このモデルは販売好調のPEN-EEの基本設計そのままに35mmフルサイズとしたカメラですが、よくご質問で、EEとの共通部品はどのくらいありますか? と言うのがあります。残念ながら、基本的なレイアウトは同じでも、共通部品は殆ど無いと思います。ハーフを35mm化したために、巻上げダイヤルを巻く回数は、ハーフは約2回に対してTRIP 35では私の手で3回必要と、ちょっと機動性は落ちています。

Dscf184051 内部もきれいですよ。カメラマニアさんが購入したカメラではなくて、家族旅行などの撮影用でしょうから、意外に使用期間が少なくて美品がありますね。しかし、長期保管でレンズにはカビが発生した跡が確認できます。ご覧のように、絞り羽根ユニットはハーフと瓜二つのデザインながらちょっと大きくなっていますね。レンズ周辺は全く部品構成は異なります。

Dscf184248 フィルムのスプロケット部の設計は全く異なっています。モルトは画像部分だけの設計で、やり直すのには手間が掛からず有り難いところ。

Dscf184584 EEと並べてみるとやはり大きいですね。ハーフから35mmへと市場が変化した頃に、短期間で安価なカメラを製品化をするためには良い方法だったのでしょう。