今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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セイコー・ベルマチック+PEN-EE-2のメンテナンス

2013年07月25日 15時53分10秒 | インポート

Img_2318 北海道のINOBOOさんから時計とEE-2が届いています。まず、時計は、セイコー・ベルマチック4006-7010の27石ですから、国内用として販売されたものです。何が特徴かというと、目覚まし時計のように、セットした時間でベルが鳴るのですね。ビジネスマンの出張用などに重宝されたようで、長期間、製造されていました。今なら、電子的に簡単に実現できる機能ですが、機械式で実現していたという点で高度な技術で作られていて、部品点数も普通の腕時計の倍ぐらいじゃないかと思います。ベルと言っても、今で言う携帯のマナーモードのような振動音ですけどね。ヨーロッパなとでは、きれいな音色で鳴る高級な時計もあるようですね。

で、風防の痛みが大きいので、新品と交換をご希望です。しかし、純正の風防は入手が出来ず、社外新品を調達してありますが、特に、防水型のリング付き風防は、寸法が合わずにケースに圧入できないことが多いので心配です。ついでに、小傷の多いケースとベゼルを研磨しておきます。

Img_232054 ケースから取り出したムーブメント。ブラック文字盤が精悍ですね。劣化も少ないです。外周のインナーベゼルがリューズによって回転して、ベルを鳴らす時間をセットします。

Img_231962 機械裏側。自動巻きの回転錘を取り外したところ。自動巻きの地板部分に、回転錘が接触をしていたスリ傷がありますね。しかし、ベアリングの磨耗はそれほどでもなく、回転錘の取り付けが緩んでいたようです。

Img_232344 各部の分解注油をしています。普通の腕時計と違うところは、ピンセット先のハンマーが振動してゴングを叩く機構があることです。

Img_232118 画像が前後しました。研磨をしたケースに風防をセットしてありますが、懸念したとおり、純正風防より0.1mmほど大きくて、圧入が不可能でしたので、先端を研磨をして寸法を合わせてから圧入しています。画像は、ベゼルも圧入した状態。ボタンは2ボタン式。ボタンの収まる部分は、手垢がゴッテリ入っていましたので、超音波洗浄をしてあります。この時計は、時計用とベル用の2つのゼンマイが入っていて、3時のリュウズはベル用ゼンマイの巻上げと針回し、2時のボタンは、押すとカレンダーの切り替え、引くとベルがONになります。時計のゼンマイは自動巻き。

Img_232666 歩度調整をしています。機械は5.5振動ですから、並みの精度ですね。完了後、新しいパッキンを付けて裏蓋を締めます。

Img_2329021 仮にベルトをセットしてみました。新品の風防と研磨をしたケースで、かなり良いコンディションになりましたね。ブラック文字盤が精悍です。このモデルは、国内より海外の方が根強い人気があるようです。会議中に「ジリシ゜リシリッ」と鳴ったら注目されますね。

Img_233224 PEN-EE-2です。特に故障はありませんが、コレクションとしてメンテナンスをしてから保管したいとのことです。シャッターの作動を確認して注油。ファインダーの清掃などを行います。

Img_233335 モルトの交換をしますが、殆どの場合、古い接着剤が残ったままで、上からモルトを貼ってあるのを見ますね。私は、完全に清掃しないと気がすみません。

Img_233466 上下カバーですが、画像のように化粧プレートにへこみがあります。底カバーには三脚取付け時の円周上のすり傷が目立ちます。よって、程度の良いカバーをセットで交換することにします。

Img_233661 カバーを交換して完成です。社外のレンズキャップに、ご自身でOLYMPUSのマークをレーザー彫刻されています。