今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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シボ革交換をするの巻

2013年11月14日 21時07分45秒 | インポート

Img_300413 カメラが3台来ましてね。シボ革を交換せよとのことです。まずは、ライカM4の裏窓部分の交換です。オリジナルは、角部分が大きく欠損している状態でした。欠損している部分を、ジグソーパズルのように、うめて修正する方法もありますが、今回は、オーナーさんがジャパンホビーツールさんのビニックスレザー#4034をヨドバシで購入されて付けて頂いていますので、それを使います。グッタベルカ自体はM3などと同じようですが、接着剤が異なって両面テープ貼りのようです。まずは、グッタベルカを剥がして、きれいに清掃をしておきます。

Img_300525 この材料はガラス繊維入りではありますが、昔ありましたバルナック用と違ってビニールが軟らかなため、穴明けやカットが不正確になり易いですね。もう少し硬い材質の方がベターでしょう。まぁ、パターンは似ているような似ていないような・・

Img_300655 次は、ヤシカのFX-3というカメラ。困ったのは、オーナーさんがオリジナルのシボ革を剥離されていて、剥がしたシボ革が同梱されていないこと。微妙な形状は、オリジナルのシボ革を参考にカットするため、無いとなると、型紙から製作することになって、非常に時間が掛かります。で、やっと作った型紙からシボ革を切り出して寸法を見ているところ。セルフタイマーの穴と外形との位置関係に神経を使います。

Img_300785 裏蓋は比較的簡単ですね。横幅を決めたら、後は現物合わせで長さを決めて行くだけ。

Img_300842 オリジナルはセルフタイマー部分に残って(残して)いますが、オリジナルよりちょっと大柄なパターンですね。保持する感覚は大変良いと思います。

Img_301666 次はコンタックスです。オリジナルのシボ革は捨てちゃったとのことです。あちぁ~、錠前にオリジナルキーがある場合は、5分でスペアキーは出来るわけですけど、全て紛失となるとさぁ大変。シリンダーとすり合わせながら時間を掛けて作るしかありませんが、カメラのシボ革作りも一緒ですね。無いとなれば仕方がありません。型紙に写し取りながら修正を加えていって、完全な型紙を作ります。

Img_301758 出来上がった型紙を元に、シボ革を切り出しました。このカメラは、2つの円があって、微妙に位置がずれているので厄介な事例です。

Img_302177 こんなところですかね。シボ革交換の場合は、オリジナルが非常に大事な手掛かりとなりますから、ご自分で作業される場合も捨てないようにしてくださいね。

Img_302322 裏蓋ですが、フィルム箱ベロのポケットがあるので丁度良い寸法を割り出して行きます。

Img_302458 製作した型紙からシボ革を切り出しました。オリジナルのシボ革は、今回使用のものより若干厚さが薄いのでしょうね。ポケットの隙間にきれいに収まってくれませんので、カッターナイフでそぎ落としをしておきます。

Img_302557 このように収まりましたね。

Img_302764 このカメラにはシボ革は似合っていて、ホールド感も大変よろしいと思います。シボ革交換は技術というよりは手間ですから、時間を掛ければどなたでも出来る作業ですが、なるべく効率的に作業をしたいのですね。

Img_302855_2 おまけでついて来たのはM42のKONICA 35mm f2.8で、距離リングの固定が緩んで、鏡銅が回ってしまったようです。

Img_302925_2 案の定、ネジが緩んでいましたね。組み直して終了。

Img_303131 おまけの2つ目はキヤノンA-1です。懐かしいなぁというよりは、私も当時新品で購入して今もピカピカで所有しています。旧F-1とニューF-1の間を繋いだリリーフみたいなもの。カメラロボットのコマーシャルがカッコよかった。で、この個体はかなり使い込まれた汚れ放題ですが、ファインダーの接眼レンズがカビる持病がありますね。それの清掃です。購入してから、トップカバーが真鍮ではないのが分かってガッカリした思いがあります。私は新品のトップカバーを予備で持っていますけどね。

Img_303324 別の機種ですが、私も当時、製造で接眼レンズのエポキシ接着をした記憶があります。キヤノンの定番の設計。1日の作業終了前に接着して帰るのです。

Img_303466 キヤノンなので、当時支給されたキヤノン指定のドライバーで組立てましょう。FTbなどと違って、ペンタプリズムの上に劣化したフィルム基板が載っていますので、無理な力を掛けることは危険です。

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清掃完了でトップカバーを閉めます。隙間に汚れが多く付着していましたので、清掃をしてあります。

Img_303644 電池蓋が破損していますね。私の個体も丁寧に扱っていたのに割れてしまって、新品に交換したことがありました。開閉用のフックを開けようとすると無理が掛かるようです。付属していたガングリップは無くしたようですね。

Img_303877 だいぶきれいになりましたね。レリーズボタン横の電池用LEDのカバーリングが無くなっていますね。A-1のサイズは、小型で手に馴染んで使い易いです。ファインダー内の赤いデータ表示が大好きでした。ただし、巻き戻しダイヤル下のASAダイヤルは、ここだけガタガタで精密感がなく、何とかならないのかなぁと思った記憶があります。いつまで動いてくれるか分かりませんが、無事でいて欲しいカメラです。

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