現行でも逆輸入で流通しているセイコー7S26-3060という自動巻きのミリタリー調モデル。10年前に購入されたとのことで、初めてのO/Hということになりますね。現行のセイコー5逆輸入品は非常に安価で入手することが可能ですので、コストを掛けてのO/Hにはちょっとネックがありますね。しかし、オーナーさんは、この時計に愛着をお持ちですのでO/Hをすることになりました。キャリバーは7S26Aですが、極限までコストダウンをされた部品は、60年代の機械に慣れている私としてはカルチャーショックも感じます。カレンダーの歯車、日車、曜車などはすべて樹脂製になっています。
すべて分解洗浄を済ませたところ。石数は21石と、結構頑張っていますが、部品の材質は、あれれと戸惑うぐらい安い作りですね。
組立は特に問題なく終っています。私が気になったのは、セイコーご自慢のマジックレバー式の自動巻機構。簡略化もここまでするか・・
マジックレバーの心臓部はこれだけ。ここまでしても、正常に作動するのかと驚くばかり。部品のコストは何円の世界でしょうね。
日車、曜車をセットしました。当時の部品は、ちゃんとアルミにアルマイト、それから印刷の工程で作られていました。「スペイン」とプリントされていますので、スペイン語圏向けのモデルなんでしょうね。
針を取り付けて、元気に作動を始めました。文字盤のカレンダー枠は省略。機械への取り付けはビスを使用せす、差し込んであるだけです。
しかし、10年使用しても精度は出ますね。O/H前はテンプの振り角は140°程度で片振りが4.5ぐらいありました。新品の時にちゃんと調整されていないのでは?と思いましたね。
私所有のハミルトンとツーショット。逆輸入であれほど安価に入手が可能の秘密が分かったような気がしましたが、それでも、10年以上、性能を維持しているのはさすがSEIKOです。コストパフォーマンスは驚異的な製品ですね。