本物のミリタリーとセイコーミリタリー風が来ています。まずは本物から。WESTCLOXというメーカーがアメリカ軍に1970年に納入したMIL-W-46374Aとうモデルですね。プラ製のワンピースケースで使い捨てという感じの兵隊用の腕時計でしょうか。風防は爪で外れる状態で文字盤と針の状態は非常によろしくないです。この頃は放射性物質が塗布されているので、あまり触りたくないです。
ムーブメントは地板と受けは表面処理もされていない状態。D-407 (7石)となっています。
すべて分解をして洗浄をしたところ。手巻きでカレンダー機構もありませんので、部品点数は少ないです。分解前の測定では、片振りがあり得ない状態です。
幸い、致命的な欠点はありませんので、サクサクと組み立てて行きます。アンクルをセットして、最後にテンプを載せます。
表側です。カレンダー機構がないので、非常にシンプルです。軍用の装備品ですから壊れないのが大前提ですからね。
あら、液晶画面が見えませんね。+10秒程度で安定しています。
針はクネクネ(お隣の大統領ではありません)状態で接触をするので修正をしながら取り付けます。秒針は、穴が拡大して固定されない状態ですので、締めてあります。表示の時間は合っていますよ。
ケースは汚れていましたので、変質に注意をして中性洗剤で超音波洗浄しました。しかし、表面は少し白っぽくなりましたね。拭き上げて艶を復活させます。裏面の表示。
当時、グリーンベレーっていう映画も見たけど、とてもこの時計で川の中を進軍するような時計ではないと思うのですけどね。風防は、新品の組立の1回だけは防水効果はあるのかもしれないけど、リュウズにはOリングさえ入っていない。風防の圧入部分は、すでに樹脂が荒れていて全く防水能力はないですね。
この風防は新しいのでオリジナル部品ではないでしょう。良く観察すると、サイズが大きいので、熱ゴテのようなもので凹ませています。サイズぐらい合わせればよいと思いますけど・・
付属の新品ベルトを装着して完成。良く見るとチープですね。兵隊も消耗品扱いというわけですかね? 兵役が2年で、戦地は1年とすれば、その期間耐てばよいということでしょうか? ベトコンにも武器と一緒に略奪されたのでしょう。アメリカ軍の撤退が73年でサイゴンの陥落が75年ですね。この手のミリタリーは、本国アメリカにもファンが多いようですが、私も嫌いではないのですが、ベトナム戦争を知っている世代なので複雑な気持ちもありますね。
次は現在でも逆輸入品として安価に入手が出来るセイコーAUTOMATIC 21石でセイコー5として売られている製品と同じ7S26を搭載しています。ベルトを外しますが、バネ棒が錆ついて外れません。新品当時からのベルトでバネ棒も純正のはずですが、こんな腐食するバネ棒も少ないです。
どちらにしても再使用はできないので破壊しました。ミリタリー調のデザインは、中々良い雰囲気で私も欲しいと思っていました。ガラス風防(6時に5文字入り)やケースは、高級感があります。
機械の基礎は70年代のキャリバーですが、カレンダー機構などは全く別の設計です。曜車には「スペイン」と記載されていますからスペイン語圏向けに作られたのでしょう。しかし、曜車、日車や駆動歯車はみごとにプラ製で、部品はタミヤが作ったのか? という印象。じつは、これでがっかりして組立意欲が減退してしまうのです。
あっ、順番を間違えてた。暑いので直さないで行きます。機械を取り出すのに裏蓋を開けようとしましたが、固着をしていて非常に困難でした。一部、錆ついていました。裏蓋がスケルトンのモデルは、回転錘にも化粧文字などが入って高級感を出していますが、このモデルは見えないので極簡素です。
確かに基本は70年代の機械と同じなのですけど、ここまで部品のコストを下げられるとね。しかし、精度と耐久性はクリアーしているのですから、ある意味恐ろしいです。一つ一つの部品単価を推測していくと、あ~、これなら数千円で売れるわなぁとも思いますね。結局、機械のコストで極限まで下げて、外観は高級感を出している戦略のように見えます。
差し込んであるだけの文字盤に針をつけます。7~8年前に新品で購入したままとのことですが、精度はこれが意外に出るのです。
クリーニングをしたケースに収めて完成。6振動ですからね。精度も比較的優秀で、手巻きとそれほどサイズも違わないのに自動巻きは魅力です。60年代の機械を見ていると残念な部分も多いですが、実用としてはコストパフォーマンスは最高のモデルでしょうね。私も、そのうち1つ欲しいと思っています。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/