最近来ないよねぇ。ご常連さんが入手をされたPEN-FTブラックの35万台という良い頃の個体ですね。フィルムの圧板の留め部が2点に簡略化されています。露出計不動であればFV化とのご依頼でしたが、露出計は生きていますね。最後期に近い個体は殆ど大丈夫です。
一見、未分解機かな?と思いましたが分解はされていますね。ファインダーのピント調整もされています。後期の個体の多い、巻き上げフィーリングの悪化。「ガクガクガクッ」という例のやつです。
後期なので特に問題はないと思ったのですが、テンションハンマーの留めネジがいけません。不用意な分解はお勧めしたくないので書かないことが多いのですが、このネジは左ネジですが、緩めるつもりで締め込んだような形跡があり、ドライバーで緩めようとすると、ポロッと頭が折れてしまいました。軸の中に残ったネジを取り去ることはまず不可能なので、交換すことにします。しかし、後期型ですので、メインスプリングが長いタイプですので、スプリングを入れ替えて使用することにします。しかし、スェーデン鋼で硬い熱処理が入っていますから、不用意に曲げると折れてしまいますので注意が必要です。
スプリングを入れ替えたところ。
前板関係を中心にいじられていますね。リターンミラーの奥端にカケがありますね。スクリーンの同一個所にも傷があります。
M接片が変に曲げられていますね。意味不明。余計なことはしなくてよい。
オリジナルに修正をしておきます。
それでは光学系も清掃をして組み立てますよ。接眼プリズム部のモルト。古いモルトを完全に清掃して貼り直してある個体を見たことがない。オリジナルと同じに作業をしていきます。
露出計ユニットの点検清掃。情報窓用の光路を丁寧に清掃します。この個体は#3563XXで1970年6月の製造ですが、露出計ユニットも同月に製造されたもので、この頃になると、先行での生産はあまり多くなかったようです。尚、製造は二社購買の可能性もありますが、自動車電装などで有名なスタンレー電気も担当したようです。
この個体はシャッターダイヤルのガタが多く出ています。この個体の場合は、カム軸とのジョイントの嵌合にガタが大きめが原因ですが、他に多いのはツマミを留めるビスの緩みです。
改良型のセルフタイマーユニットで不具合は、タイマーレバーがロックしないという現象。これはクラッチの3つのコロがスムーズに動かない(油付着)のが原因。その他、アンクル不調につき止まりもあるので、すべて分解して組み直してあります。
で、いつものようにお決まりの画像。
外装を取り付けて完成です。巻上げのギヤ鳴りは完全に補正できませんでしたが、スムーズにはなったと思います。シャッターユニットの動きは非常にスムーズで、ミラーユニットのギヤが良くないのです。
おまけ画像。あら懐かしや、水銀電池のH-Dが入っていました。これも懐かしい東芝のロゴです。
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