ベテランのご常連PENファンさんから素晴らしいコンディションのPEN-FT(B)が来ました。やっと入手をされたそうです。ブラックは元々現存数が少ないのですが、塗装のコンディションは完璧で、塗装面の磨滅も少なく、新品の艶消し状態を維持している個体です。へぇ~、こんなのが残っていましたね。残っていたのには理由があったのでした。作動は不動状態で、例によってFT使いが皆やってしまう苦し紛れのセルフタイマー攻撃もしてありますね。応急復帰もしませんので、これはシャッターの中心で何かのトラブルを抱えているということです。
ほんと、デジカメが悪いのでニュアンスが表現できませんが、塗膜の磨滅がないのが分かりますかね。セルフタイマーレバーの裏と艶が変わらないことで磨滅がないことが分かります。
トップ面はこんな感じ。きれいですね。私も塗装の見本として所有したいぐらいです。傷や当たりもありません。
おぉ、分解歴は無しですね。このような個体は工場での組立標準を知る上で貴重な資料となります。リード線の配線方法など、細かなところもチェックをしておきます。
で、故障の原因は目鼻がついていました。完全に固着をしている場合はブレーキリングの留めナットの緩み。緩んだナットが飛び出して来てハンマーと接触をするためです。この部分の緩みは初期から対策に追われて、緩み止めのポンチを打ったり、ナットを真鍮製に変更するなどの対策が行われましたが、根本的な解決策は最後まで無かったようです。この個体は、たぶんフィルムを通した本数は少ないと思いますので、新品のかなり早い時期にナットが緩んで使用出来なくなったと推測します。保証期間なのに何故サービスに出さなかったのでしょう? まぁ、それが原因で、殆ど未使用の状態で残ったとも言えますが。今回はここでUPを止めても後は同じなんですけどね。続き、やりますかね?
この個体#3209XX(1969-11月製)はチャージギヤはカシメのため地板から分離が出来ません。前回の#3581XXは薄リングナットでの組立で分解が可能です。シャッターユニットでは、これが最後の変更ですね。
ブレーキリングを組み立てます。ブレーキナットはご覧のように薄いですからふた山程度しか掛かりませんのでゆるみ易いのは当然です。強い慣性が働く部分の設計としては厳しいところです。
巻き上げレバーユニット。巻き上げレバーのガタが大きいので点検すると、地板の留めネジが緩んでいました。普通はねじロックが塗布されていて簡単には緩まない部分です。殆ど使われていないカメラですしね。シャッターユニットと巻上げレバーユニットは別々に製造された部品ですが、二つの不具合が重なった不運な個体です。疲労が溜まった明日がお休みの土曜日に製造されたんですかね?。
TTLナンバーの表示の光路を清掃してから遮光カバーを接着します。
メカ部分の組立完成。
リペイントをした時のように気を使いますね。しかし、底蓋の角(前面にも)には塗装ブツがあります。この程度は良品ということです。電池蓋も塗装はげがなく良い状態です。電池はたぶん1回しか装填されていないのでしょう。で、電池。SONY MR-9 消耗した古い電池かと電圧を測定してみると・・1.35Vぴったりです。こんなの売っているのですか? 露出計も補正なしでばっちりです。
使用開始の初期に故障をしたことが今となっては幸いをした個体ではないかと思いますね。さすが、ベテランのペンマニアさん。良い個体をGETされました。付属の38mmもマウント部にはすり傷がありませんので、最初にセットしたままではないかと思います。絞り羽根に油が回っていますので清掃をします。
いけね、今日の更新忘れてた。と言っても僅かですが。付属の38mmもマウントはすり傷なしの新品状態。シリアル№も近いですからセット販売ですね。絞り羽根の油付着は仕方ないですから、全て分解洗浄をします。
レンズを装着して完成。きれいな革ケースは付属していましたが、これで取説や保証書、元箱があったら完璧なんですけどね。明日、病院の定期検査のために新宿へ行くので、帰りに中古屋さんを覗いてみましょうか。