今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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後期型ユニットのPEN-FVの巻

2016年01月22日 19時39分36秒 | ブログ

PEN-FVは、FTで言うと前期型のユニットで組まれている個体が多いのですが、この個体#1273XXはダイカスト本体と中身のユニットも全て後期型で組まれている個体です。製造は1969年8月ですから、FTではおよそ28万台付近になります。分解歴はありますが、特に問題のない素晴らしい個体です。

シャッターユニットを洗浄組立したところ。メインバネは条数の多い後期型です。チャージギヤは最後期のナット式ではなく、その前のカシメ仕様です。

 

メカは殆ど問題はありません。光学系に手が入っていますが、残念ながらプリズムのコーティングは全て剥がされています。プリズムホルダーに隠れる部分は残っていますので、ホルダーを分離せずにゴシゴシやっちゃった・・

 

ルーペのモルトは貼られていない状態でした。清掃をして貼っておきます。

 

 

接眼プリズムの奥側のコーティングは健在。FTで言う28万台なら生きていて当然。接眼側はフキフキするので仕方がないです。

 

メカ完成でいつもの画像。全反射ミラーは交換しています。過去に調整された形跡はないのに、ファインダーのピントがかなり行き過ぎてましたね。

 

FTのように露出計ユニットが無いため、ダストカバーの形状は異なります。再接着をします。

 

ダイカストの洗浄をしても、長期保管でカビが発生している個体は頑固に落ちませんね。塗装面が粗面なので拭いてもダメなんですね。

 

裏技でここまでが限界ですね。

 

 

FT本体は完成。付属の42mmですが、絞り羽根と駆動系が大径のため、油が付着すると作動が非常に重くなって、復帰も緩慢な動きとなります。悪化するとカメラ側がフリーズします。

 

絞り羽根の油が付着していますね。

 

 

42mmとしては程度は良いのですが、砂を噛んでいますね。バヨネットマウントの作動も非常の重いです。

 

流化したヘリコイドグリスが付着しています。すべて清掃をしてグリスを入れ換えます。レンズはコーティングなどはきれいですが、若干、持病の曇りが始まって来ているかなぁ??

 

繰り出しの最後付近でスコッと抜けていたのですが、新しいグリスで改善しています。現存の個体の中では状態は良い方でしょう。

 

 

次は70mmです。この個体はかなり分解でいじられています。内部はホコリの混入とヘリコイドグリスが完全に抜けた状態でスカスカです。

 

ネジ頭を見ると、複数回の分解ですね。真鍮のスリ割ネジは絞りクリック用ですが、ここも分解されています。

 

幸い、レンズにカビや拭きキズは無いので、きれいに拭き上げて鏡胴内も清掃しておきます。マウントの絞り機構がスムーズに作動するか。。

 

ヘリコイドグリスは自然に抜けたものではないようです。適正なフィーリングとなるように粘度を調整しておきます。外観の清掃で、絞りリングの彫刻文字の色が抜けているところが多いです。

 

このように補修をしておきます。

 

 

オーナーさんはOM使いさんですが、先祖返りでPENにも興味を持たれて機材を収集中とか。逆のケースは多いですけどね。この他に60mmも来ていましたが、良好なため今回は作業はしていません。しかし、羨ましいセットではあります。基本的にオークション購入ではなく、FVは近くのカメラ屋さんなど、ご自身で確認をされて入手されたそうです。選択眼が確かな証拠ですね。

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