お友達から転職祝で頂いたというPEN-Fですが、不動だが外観は良いとお伺いしていたのに・・トップカバーの両肩がへこんでいますね。オーナーさんにお聞きしてみると、やはり、発送時にはへこみは無かったとのことです。私もこの仕事を永くやらせて頂いていますが、過去の輸送事故の経験はそれほど多くは無く、数件でした。事故機の共通点は箱が小さいことです。今回の箱も小さいので「もしや」と思って画像を撮影していたのです。今日のニュースでも、宅配業者は人手不足で困っているとか、どこの業者が丁寧などはないのだと思います。皆さんにお願いですが、お送り頂ける場合は、箱は60サイズでプチプチのパッキンで梱包してください。事故のケースでは、紙や薄い(白い)包装用のシートは緩衝材としての効果は薄く、スペーサーの役割しかしません。
気を取り直して、リカバリーをして行くしかありませんね。アンダーカバーもネジが緩んでカタカタ言ってますよ。
38mmレンズは絞り羽根の油が回って開閉困難な状態です。
PEN-Fの多くの個体がプリズムの腐食があるのです。(黒点)
シャッターを切るとミラーアップで停止すると・・
取りあえず、不具合個所を点検しながら分解をして行きます。巻上げレバーのバネ抑エは設計変更後のタイプになっています。少し前の画像と比較してください。
PEN-Fは古いので、裏蓋のヒンジピンが錆びて固着しています。叩き出すしかありません。
古いモルトカスや汚れを洗浄したところ。では組み立てて行きます。
巻上げ関係は特に問題はありませんね。
シャッターが変ですね。係止爪がネジが緩んでグラグラしています。
地板の取付は、この真鍮ネジ2本です。ここが緩んているケースはあまりありません。
緩んだネジを締め込んでレリーズなどを組み立てたところ。テンション軸に線状痕がありますが、まぁ、使える範囲です。
オーナーさんとの相談で、私が無償で修正して差し上げることにしました。日本郵便め。しかし、金属は一度伸びてしまうと絶対に元には戻りません。あくまでも夜目遠目です。この程度にしておきます。
ではシャッターの続き。もう不具合はないかと思いましたら、スローが全く停止状態。スローガバナーのアンクルが固着しているのです。あ~ぁ。
スローガバナーは清掃注油で何とか復活(;´・ω・)では、前板関係ですが、プリズムは角が欠けてハマグリ状態ですね。破片が見当たりませんので、輸送中の破損ではないですね。
プリズム、スクリーンなどを分解清掃します。
やっとここまで来ましたよ。単体でのシャッターの作動は完璧です。では、前板とドッキング。
調子は良好でシャッターダイヤルを取り付けて、シボ革を貼ろうかとしたところ・・ポロッ。なんとリターンミラーが剥がれて来ました。車のレストアなどでも、長期に寝かした機械は、作動を始めると、あちこち壊れて来るものなんですね。まぁ、お返しした後でなくて良かった。しかし、また分解しなくてはなりません。今日は集中力が切れました。止めた。
シャッターを切った反動で剥がれたのではないのに、下端のメッキ面が剥離していました。ケラレは無いですけどね。しかし、よくアッチコッチが壊れる余程運の無い個体です。
割れた破片が見つかりましたので、一応貼っておきました。本来は交換したほうが良いですけどね。
使われずに保管が悪い個体は圧板に腐食が出ているものが多いです。きれいに研磨をしてから取り付けます。
レンズもひどいですね。カビと絞り羽根の作動不良、古いのでグリスの硬化があって、ヘリコイドが異常に重いです。
まぁ、いろいろありましたが、何とか仕上がりました。今回は、費用を掛けない方針でしたので、交換部品はなしです。#1641XX 1965年1月製。
過去には、紙袋で送って来られた方も数名さんいらっしゃいましたが、カメラは自重が重いので、ちょっとした衝撃でも破損することがありますので、お送り頂く場合は、極端に小さな段ボールは避けて、プチプチを多めに巻いてお送り頂けるようお願い致します。