こちら関東地方も寒波が続いていますが、もっと寒い札幌から来たPEN-FT #2191XXという中前期の個体ですね。製造は1968年4月。非常にきれいな個体ですが、とにかく古い生産なので、改良前のユニットであることと光学系の劣化が進んでいることが懸念されます。露出計は不動とのことでFV仕様をご依頼ですが・・
この頃の個体は電池室からのリード線が腐食している頃です。ピンセットでつまんでみると・・ほらね。
テストで露出メーターに通電してみると、動きますねぇ。精度については不明ですが、オリジナルのハーフミラー仕様とします。
ハーフミラーにも劣化が見られます。
プリズムのコーティングにもカビが・・
となると、接眼プリズムのコーティングにも劣化があるはずです。
本体の分解洗浄を終えてモルト貼りと電池室のリード線を新しいものに交換しておきます。
モルトを貼ってから電池室を組み立てて行きます。
シャッターユニットはテンションスプリングは改良前の条数の少ないタイプで、スローガバナーは改良後のタイプとなっている過渡期的なユニット。作動は特に問題はありません。
プリズムのコーティングは清掃で剥離しましたが、実用に問題はありません。古いモルトを清掃して組み立てて行きます。
前板関係は完成で、本体にセットします。
接眼枠を壊してこられる方が続きますね。ご希望で交換をします。
露出計は作動しますので、オリジナル通りハーフミラーを選択します。
セルフタイマーユニットは改良後の仕様ですが、途中で止まってしまいます。これから洗浄、注油をして調整をして行きます。
セルフタイマーユニットも設計変更を受けている部分です。初期型は巻き上げはジッジッジッとした感触の爪によってレバーの逆転を止めるタイプで、変更後は3つのコロが軸を固定するワンウェイクラッチ式になりました。巻上げはスムーズになりましたが、コロの1つでも作動不良となると軸の戻りを止められない新たな故障が発生するようになりました。この個体は変更後のタイプになっています。
メンテナンス後はスムーズに作動しています。ファインダーのピントチェックと露出計の調整をして行きます。
裏蓋の開閉ラッチの飛越があります。裏蓋側のラッチが、本体側のラッチを飛び越していた形跡があります。これも多い不具合ですが、原因は巻き戻し軸の上下の動きが重くなっているためです。調整をしておきます。
付属の38mmは#3251xxですから、本体とセットで販売されたものではありませんね。ずっと後の製品です。38mmは互換の無い設計変更を受けていまして、この個体は変更後の製品です。カビ、ヘリコイド不良、絞り羽根不良などがあります。
レンズはすべて分解洗浄のうえ組み立てて本体に取り付けました。基本的に消耗の少ない良い個体でしたが、23万台と比較的古い製造のため、光学系や露出計などのダメージが進んでいましたね。