見にくい画像ですみません。PEN-F の初期型#1374XXです。外観は非常にきれいな個体ですがシャッターが突然作動途中で停止しています。シャッター幕は開いており、ハンマーがスローガバナーを叩いたところで↗停止しています。とすると原因はスローガバナーにあります。
生前の米谷さんから「ユニットは直せないから交換ユニットを用意しておくように」と言われましたが、このカメラのスローガバナーは非常に過酷な動きをしているのでPEN-FとPEN-FTの前期型に使われているユニット(以後は材質変更)は歯車の損傷摩耗が発生して低速止まりのような症状になります。特にPEN-Fの初期ユニット(2種類あり)で良品を集めることは簡単ではありません。不動だからジャンクなのですし・・みなさん現役で使われるのでどんどん機械の状態は悪くなっています。
しかし、ルーペでの点検では明らかな歯車の損傷などは見当たらないので洗浄注油の上、再組立でも何度かシャッターを切るうち同様な症状に陥りました。これは全体的な摩耗による作動の信頼性不足で交換するしかありません。ストックから同時期のユニットを探して来ましたが、過去に分解を受けていじられているユニットです。点検のところ痛みやすい低速用歯車の損傷は無く、なんとか修復できるかもしれません。ガンギ車とアンクルをいじられていて、画像ではすでに大きく開かれていた調整用ストッパーを適正な位置に戻してあります。しかし、それでもスムーズに動きません。観察すると・・あっこれだ。アンクル復帰用バネの係り位置が違います。ここではアンクルと干渉してしまいます。
分かり難い画像ですが、こちらが正規の係り位置です。その他アンクルの軸の垂直度も狂っていました。これでユニット単体では正常に作動するようになりました。
シャッターユニットに組み込んで本体に取付け、1秒で作動テストをしているところ。ハンマーが正常に回転(反時計方向)して作動を完了しています。
今回は無事修復することが出来ました。しかし、メーカーのライフ予想をはるかに超えて現役で使用され続けている訳ですから、年々機械は消耗し安定性・信頼性は落ちて行きます。昔は良品のユニットに交換で対応していましたが、現在は貴重なユニットですから修理して生かしていく対応となっています。永く使いたい方は米谷さんのおっしゃる通り、予備の部品取り機を用意しておいて頂けると修理する方としては大変助かります。特に今回のような初期型はね。