今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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貴重なMAITANI-FTの巻

2021年07月19日 17時30分00秒 | ブログ

この後期型になるPEN-FT #3628XXは今となっては貴重な個体となりました。状態は後期型としてはあまり良好ではなく、巻上げのゴリツキ、ハーフミラーの劣化などが顕著です。

 

設計者のオリンパス米谷氏は晩年精力的に講演会を開催していましたが、この個体は1998年7月12日に東京・カメラ博物館で開催されました講演会のおり、オーナーさんが直接サインを頂いたものです。じつはその会場に私とMazKenさんも居たのでした。講演前にカメラ博物館さんのご配慮により米谷氏に対して取材をさせて頂いていました。トップカバーにサインをすることが多かったと思いますが、この個体は内部にしてありますね。クローム面は超硬ペンでも硬いですからね。では、完璧に仕上げないと・・

最終号機は何番台かは確認していませんが40万台の個体は存在します。36万台も最終に近い頃ですので新しいので未分解と思い込んでいましたが分解修理を受けていました。ファインダーハウジングの遮光テープが剥がされている。露出計の基板を改造されている。ストロボリード線が潰されている。などが確認出来ます。


電池室からのリード線が断線したようで、別のリード線と半田付けしてあります。これは新製します。

 

後期型には珍しい駒数ガラスの劣化(ワレ)。交換ご希望です。

 

 

ダイカスト単体にしました。上下のレール部にモルトを貼る方がいらっしゃいますが必要ありません。返って裏蓋のスムーズな開閉を阻害します。

 

では、洗浄後にモルト貼りから組み立てて行きます。

 

 

電池室のリード線を新製しておきます。

 

新しいのでシャッターユニットやチャージギヤなどには摩耗はありません。しかし、巻上げの感触はあまり良くない個体です。逆止爪用バネが外れています。

 

リターンミラーユニットも摩耗は少ないのですが、何故かギヤ鳴りがします。FTのシャッターユニットとミラーユニットは個体によって作動の滑らかさに差があるので厄介です。

 

ファインダーハウジングのレンズ清掃とモルト貼り。

 

 

今日はメカを完成させて露出計などの調整をしただけでした。じつは、梅雨明け以降の猛暑ですが車のエアコンが利かなくて修理工場に行ってました。冷媒ガスR134aが1缶(150g)抜けていて補充したら復活しました。本来は回収が原則ですけど、物理的に抜けてしまう分は致し方ないですね。そこで最近の新車には新しい冷媒ガスのR1234yfが使われています。環境問題に対して有効なガスのようです。

で、ハーフミラーを交換します。36万台としては劣化が進んでいる状態です。30万台以降でもこんなになって来たかなぁ・・因みに露出計ユニットは従来のタイプですが、この少し後から基板別体タイプに変更されます。生産完了間近で何故変更したのでしょうね。米谷さんにお尋ねしましたら「そんなのは無い」と言われましたけど。だってあるもん。多分、米谷さんには変更の報告は無かったのでしょう。

すでにオリンピックの予選が始まっていますね。色々なお考えはあろうかと思いますが、多分若い世代の方でも人生最初で最後の国内オリンピックです。みなさんで応援しましょう。今日、自衛隊のブルーインパルス機が開会式の予行で大空に五輪の輪を描いたようです。前回大会の再現をやるんですね。あの時は台風一過の秋空に86セイバーで描きましたが、今回は夏空にT-4で描きます。いままで晴天なので金曜日の天候が気になりますが上手く描けますように・・

それと開会式で短時間でも良いので開会式の入場行進で演奏された「東京オリンピックマーチ」を演奏して欲しいです。感動です。

(180) 東京 ・ オリンピック ・マーチ ( 1964 )  作曲 ・ 古関 裕而 - YouTube

 

メカの組立は完成。

 

 

あとは駒数ガラスどうするか・・


 

オリンピックの音楽は一度使用した曲は使えないみたいですね。しかし、福島復興オリンピックと言うなら、福島県が生んだ作曲家、古関裕而氏の名曲を使うべきだと思いますけどね。リンクの音源が当時私が聞いたオリジナルに近い演奏です。行進曲軍艦でも、最近の自衛隊音楽隊も良いけど、やはり当時の海軍軍楽隊の演奏が一番迫力があります。

で、駒数ガラスですが、オリジナルの中古を使おうかと思いましたが、接着がゴム系とエポキシ系の二種類で接着されていて、材質的に溶剤は使えないので剥離が困難なんです。アルコールでも樹脂が劣化をしていて溶けてしまう状態ですからね。そこで、以前に製作した当方オリジナルを塗装しました。このオレンジ色の再現も難しいのです。もうストックが殆んどありませんので以後は対応出来ません。

上が私のサイン入りグレーFVで駒数ガラスは今回と同じく当方オリジナルを使用しています。アクリル製なので純正より透明度が高くすっきりと見え傷もつきにくいです。

米谷さんの葬儀にもPENが飾られていました。

 

 

前回のオリンピックの方がシンボルマークやポスターのセンスが良いと思いませんか? 全く古さを感じませんね。

サイン入りの個体は1回の講演会で100台ぐらいはされていたのではないかと思いますが、現在どのくらい現存しているのでしょうね。所有されている方は大切にされてください。

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高くなったフジカミニの巻

2021年07月19日 15時10分00秒 | ブログ

関東地方は梅雨明け三日で暑いです。でもまだエアコンは入れないで頑張るよ。で、いつの間にかフジカミニの相場が上がっていたんですね。1964年9月の発売とのことですから前回の東京オリンピック開催の前月です。あの時は日本中が熱気に包まれていましたが、今回のオリンピックはコロナに包まれて残念です。女性向けとして焦点固定シャッタースピードは単速1/125として撮影の簡便さを狙っていますが、意外にフィルムり装填や巻上げダイヤル、巻き戻しボタンを押し続けないと巻き戻しが出来ない等、あまり操作が簡単なカメラとは言えません。

で、良くあるのが光線漏れ。現オーナーさんがモルトを貼ってありますが、ここではないと思いますね。

 

じゃぁどこなの? これが意外に特定は難しいのです。一番ありそうな場所はファインダー部分です。光線を通してみると・・

 

まぁ、ここが原因とは特定できません。しかし、いつも思いますが、この部分のモルトはファインダー部分で途切れる構造のため、劣化して消滅している純正モルトの貼り方が気になるのです。しかし、殆どやり直されているしなぁ・・

この個体はカメラ市で入手されたそうですが、その時の整備でしょうか軟質スポンジとモルトを重ねて苦労した形跡があります。

 

れはあとの作業で気づいたのですが、裏蓋のモルトはあまり丁寧でなく貼ってありましたので剥がしましたが、巻き戻しボタン部に遮光材がありませんね。ここは軟質スポンジが貼ってあったような記憶です。

 

厚みの適当な軟質スポンジが手持ちに無いのでモルトで作りました。

 

 

特殊なカメラ形状からモルトも簡単な形状ではありません。それを同じ幅の直線で貼ってありました。場所によって微妙に幅が異なります。しかし、これで遮光漏れが解消したかは分かりません。そういうカメラです。

もう一つの大きな問題はフィルムカウンターの進みが規則的でない。

 

 

過去に同じ現象を改善しようとレバーを曲げたり爪の角度を変えたり、最後はバネの形状まで変えてオリジナルの形が分からなくなっています。只でさえ微妙な組立位置でカウンターの動きが変わってしまうカメラですから、ここまでオリジナルでなくされると熱処理が入っている材質ですから曲げの修正をすると折れる確率が高いです。

裏側のギヤの状態も点検しておきます。

 

 

次の問題はレンズの汚れです。60年代のレンズですので汚れています。生きているセレンとメーターASSY を取り外します。

 

するとこのように見えます。シャッターは単速ですから非常に簡便です。バネをはじくだけ。絞り機構はPEN-EEに似ています。

 

分解の部品展開も何となく似ていますね。3群3枚ですからレンズの清掃は比較的楽に出来ます。

 

すべての清掃を終えて組み立てました。このピンをセレンのダイヤル溝で動かします。

 

ガリレイ式ファインダーもPENに似ていますブライトフレームを消さないように清掃します。

 

裏蓋開閉ボタン赤が落ちていますので入れておきます。

 

 

特徴的な前面ガラスの紫系コーティングが劣化しています。本来はフィルターで作り直した方が実写には良いでしょうね。何とか仕上がりました。

 

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