今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO 56GS揺動レバー交換の巻

2018年02月10日 12時53分28秒 | ブログ

ご常連さんから56GSの揺動レバー交換ご依頼が来ていますが、同時にIWCのSSベルトのコマ移しもご依頼です。しかし、古いSSベルトのコマは組立のピンがネジ式の場合、錆びついてスリ割りが壊れるくらいトルクを掛けても緩めることが出来ないものが多いです。テーパーピンや割ピンだったら打ち抜いてしまえば良いので簡単なんですけどね。高級なモデルほどネジ式なのでしょう。で、すでにスリ割りは笑っている状態で、普通にドライバーで緩めることは不可能ですので、工具を組み合わせてドライバーのビットがスリ割りから滑らないようにします。CRCを塗布してしばし待て。

幸いすべての固着ピンを抜くことに成功しました。で、上のコマを1つ下に移植します。

 

何とかコマ移しが完了しました。古いSSベルトのコマ調整は一番苦手な作業ですね。

 

 

先ほど出かけた帰りに、カミさんにイオンで食玩のエフトイズ「艦船キットコンピレーション」を買ってもらった。http://amzn.to/2BS51WY今日は5%OFFの日だからね。航空母艦「赤城」のフルハルバージョンが欲しかったので、私の手による計測で明らかに重い(と言っても僅かな違い)と思われるものチョイスしましたよ。結果は予想通り「赤城」が出ましたが、フルハルバージョンではなく洋上バージョンでした。残念! 海面を模したプラ板が重かったという落ち。そうか、フルハルだから重いと考える裏をかいているわけですな。

モデルはミッドウェー仕様とのことで、日の丸が描かれています。アメリカの攻撃機からは目標が良く見えた、という証言もあるようですが、これは日本の艦載機が間違ってアメリカの空母に着艦しそうになったため。とか言われていますがホントかいな? あったとしてら深追いして攻撃隊の帰搭に間に合わず、機位を失った戦闘機が殆どでしょう。専門の偵察員を載せた攻撃機と違って、戦闘機搭乗員はヤマ勘航法ですからね。「ワレ機位ヲ失フ」と打電しても、母艦からは敵に位置を知らせることになるので電波を出してやれないのです。しかも、発艦時より母艦は後方に退避しているので、長い距離を帰らなくてはなりませんから日没となれば絶望的です。短時間、母艦から探照灯を真上に投射したことはありましたが、そのうち「ワレ燃料残ナシ天皇陛下万歳」が来て電波が途絶えるのでした。しかし、ミッドウェーまでは帝国海軍の母艦が攻撃されるなどとは考えもしなかったということかなぁ。ちょっとアホだと思いますね。艦尾に「ア」と書かれているのが赤城の印。「カ」は僚艦の加賀。さて、組み立てようか? こんどはシリーズ中では戦艦陸奥が欲しいですが、なぜ長門ではなく姉妹艦の陸奥だけなのかな? 大和も良いけど、戦中の日本国民にとって連合艦隊旗艦と言えば長門で、威風堂々とした美しい艦影は海外でもファンが多いです。http://amzn.to/2BprwRI

分解部分は飛ばして・・ピンセット先がカレンダーの早送りをする揺動レバーですが、竜頭を回しても黒い樹脂製の歯車はスリップして日車を押し切れません。

 

右が取り出した揺動レバーで左は初期型と言われる歯車が金属性のタイプです。こちらは不具合が出ないとして中古部品が高値で取引されています。

 

揺動レバーを交換して竜頭を回すと・・ちゃんと日車が送られていますね。

 

 

文字盤と針を取り付けました。

 

 

揺動レバーより困難だったSSベルトのコマピンが緩められてホッとしましたね。

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委託品のPEN-Wの巻

2018年02月06日 09時04分02秒 | ブログ

オーナーさんが新宿の中古屋さんにあった委託品のPEN-Wを購入して来ましたよ。過去にシャッター不調があって分解修理を受けていますが、ファインダーなど、それ以外のメンテナンスは受けていないという微妙な個体ではあります。レンズは一般的な後玉バルサム劣化は無い代わりに、前玉のコーティングが劣化しています。

PEN-Wでは、経験的に前玉の劣化は少ないのですけどね。

 

 

オーナーさんが気になっているのはファインダーブロックの腐食です。

 

 

ははぁ、気になりますね。

 

 

吊環部に落下による陥没がありますね。

 

 

シューのレール部にクラックが入っています。これは、上から押されて曲がったものを、ペンチで直したためです。PEN-S.WのシューはEE-2のような板材の折り曲げではなく、切削品ですので、曲がりを直そうとすると必ずクラックが入ってしまいます。

ここで問題発生。懸念はしていたのですが、ファインダーブロックをリペイントすると、ブツブツと塗装のトラブルになりました。これは、ダイカストを研磨して、目視上は平滑面となっているようですが、腐食が材質の内部まで浸透していて、空気が入り込んでいるため、焼付をすると高温のため空気が膨張をして膨らんでしまうためです。焼付塗装としてはこのダイカストは使えませんので、別の部品を使うことにします。

結局、塗装に丸一日掛かってしまいました。このぐらいが限界です。結果的に別のファインダーを使ったのですが、現存の部品はどれも塗装剥離がありますので腐食はあって、程度の差はあれ似たり寄ったりなんですね。ウレタン塗料でしたら問題は無いのですが焼付に拘りたいので・・

では、シャッターユニットをオーバーホールしていきます。過去に分解を受けていますが、勘所は分かっていないようです。

 

ふだんスローガバナーの洗浄やメンテナンスは受けていませんね。

 

 

ダイカスト本体を洗浄しますが、モルトは無くなったままですね。

 

 

本体にシャッターユニットを組み込みました。シンクロの同調を確認しておきます。

 

 

ここの部分に貼ってあったはずのスペーサー用ワッシャーが紛失していますね。新たに接着しておきます。

 

ファインダーを組み込んだトップカバーを本体に取り付けました。シューは良品と交換しています。ファインダー塗装の艶は半艶にしましたが、ちょうど良かったようで違和感はないですね。少し使用による小キズが着けば気にならないでしょう。現状は「乞◯が歯を磨いた状態」かな?

 裏蓋の洗浄、圧板の研磨、モルトの交換をしてあります。

 

 

ヘリコンドグリスを塗布してレンズの取付ピント調整をしてあります。シャッタースピードの彫刻文字の色が抜けた部分があるので修正と距離ダイヤルの黒アルマイト剥離部分をタッチアップしてあります。巻上げが重い症状も改善されて軽く巻き上げてシャッターも快調です。

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普通にOM-1nのメンテナンスの巻

2018年02月04日 12時18分38秒 | ブログ

昨日、ミサイ・・もとい、超小型衛星のSS-520-5号機が内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ成功しましたね。固体燃料に意味がある良かった良かった。電信柱サイズのロケットとのことで、映像を見ると、私が小学生の頃に見たカッパやラムダロケットを思い出しました。一式戦闘機「隼」の設計者でもある糸川技師などによってペンシルロケットから開発を進めていたロケットでした。打ち上げ日の新聞夕刊(1面トップ)を見ては「失敗」が続いて子供ながらに残念な気持ちだったことを今でも覚えています。世界的に小型衛星打ち上げの需要は増えており、日本も本格的に打ち上げビジネスに参入して欲しいものです。小型精密なものを作らせたら日本人のお家芸ですからね。潜水艦からも発射できるサイズだし、後は大気圏再突入技術だけか・・

で、普通にOM-1nのメンテナンスをしています。きれいな個体で作動も多少ガバナー泣きはありますが、作動に影響はない程度ですので今回は分解しません。ファインダーの接眼レンズ内側やスクリーンに汚れが目立ちます。OM-1nになるとプリズムカバーや接眼レンズ間の隙間遮光用モルトの貼り方が研究されて、プリズムの腐食は無くなっています。

ペンタプリズムを分離して接眼レンズを清掃します。

 

 

モルトは中途半端な劣化具合ですが新生しておきます。

 

 

この個体は巻き上げレバーのナット及び化粧プレートの締まり接着が強固で、分離には難儀しました。間違っても化粧プレートを痛めることはしませんが・・

 

問題はスクリーンです。右下部分に黒く汚れが見えます。これは、外側で黒い手袋のようなもので強く擦られている感じです。フレネルの谷に入り込んだ汚れを超音波洗浄とハケによって清掃をしましたが、強く圧着されていて樹脂にも影響を与えていることから汚れを落とすことが出来ませんでした。あまり擦ったりするとマット面が光ってしまいますからね。新品に交換しなさいよということだったのでしょうね。


COSINA 35のジャンクを修理するの巻

2018年02月01日 15時33分34秒 | ブログ

珍しいカメラが来たよ。コシナ35ですが、コニカ35に似てますね。販売量は少なかったようで、オーナーさんは是非修理をしたいとのご希望です。しかし状態は良くないですね。ブラックモデルは希少なようですが、上下カバーはアルミのアルマイト仕上げなので強度が無く、細かな傷が多くあります。真鍮製であれば傷は少なかったでしょうね。当時の販売価格はパールアルマイト仕様が15.700円でブラック使用は16.400円だったようです。どちらもアルマイトなのでコストに差があるとは思えませんけどね。で、シャッターは切れるがシャッター羽根は開かない。露出計不動でファインダーは盛大な曇り。トップカバーを外してみるとファインダーガラスが脱落して来ました。かなり厳しい個体。

取りあえずシャッターを分解してみますが、シボ革の接着が強固過ぎて剥離が困難でした。どうも修理歴があるようです。レンズボードを取り去ります。

 

シャッターはコパルのビハインドシャッターです。シャッター羽根に油の付着はないようです。ということはコントロール系かぁ?

 

裏側です。このフライホイルでシャッタースピードを制御しますが、動きが渋いですね。すべて分解洗浄で再組立をして行きます。

 

シャッター羽根。コパルだけにPEN-EEにどことなく似ています。

 

 

露出計不動の原因の1つが電池室の接点腐食もありますね。接点を磨いておきましたが、どうも電池室の形が現在の代用ボタン電池に合わないようで、厚紙などて電池を押えないと接触不良になりますね。

 

ファインダーはコニカと同じで見やすい設計です。

 

 

ASA感度調整のCdsマスクを清掃、クリックボールにグリス塗布。

 

 

フィルムを装填すると表示が白から赤に切り替わる親切設計。

 

 

回路復活により、露出計の針が動いているのか分かりますか?

 

 

モルトは裏蓋側に集中させている設計です。

 

 

 ファインダーブロックを外しているので必ず二重像はズレていますからメクラネジを外して調整をしておきます。

 

 

シャッターユニットがコニカC35と同系なのはコパルの標準品を採用しているからでしょう。コシナがコニカのOEM生産を受けていたかは知りませんが、私の経験では主力製品以外は外注工場に組立移管をするのが普通でしたから、あるいはC35もコシナで生産されていたのかも知れませんね。中央高速で近いですからね。

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