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今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ズイコー38mmパンケーキの巻

2019年10月20日 18時00分00秒 | ブログ

短くUPします。38mmパンケーキは現存数も少なく益々貴重となって来ましたね。この個体は殆ど使用された形跡がありませんが、そのような長期保管をされたレンズはコーティングなどにトラブルが出ているものがあります。周辺がかなり曇っていますね。

 

問題は中玉です。コーティングが汚れているのか? 変質か? 内側の汚れもあります。

 

 

清掃後。意外に悪くはありませんね。

 

 

曇りも改善しています。

 

 

後玉も清掃しておきます。

 

 

 

前玉を清掃後、組立て完成。使用された個体はヘリコイドの短さからグリスが抜けている場合が多いですが、この個体は殆ど使われていないので抜けていません。作動の点検をして終了。

 

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ローライ35Sは続くの巻

2019年10月19日 21時20分00秒 | ブログ

三光PENのオーナーさんにジャンクを調達して頂きましたが、巻上げダイヤルカバーの熱カシメタイプが調達出来ないため予定が狂いました。熱カシメタイプは初期型にのみ使われているタイプですが取付強度が弱いため、使用過程で破損により本体から欠損している個体が多いのです。で、並行でローライ35系の作業もしています。この個体はローライ35Sですが、修理カルテには露出計が入っていませんでしたが動きません。回路を点検していくと・・ここです。半田部分が酸化して外れています。半田面を研磨して半田付けをしておきます。

シャッターやファインダーのメンテナンスはすでに終了しています。こちらも指摘はありませんでしたが、ピントリングが1.5m以下に回りませんよ。ヘリコイドの回転も異常に重いです。そもそも、曲がってない?

 

ヘリコイドにも問題ありですが、沈胴を引き出す黒い指標部が曲がってねじ込まれているのです。これが簡単に緩んでくれません。

 

 

何とか分離しましたがネジ部が損傷しています。どんなバ◯力でねじ込んだんだか・・

 

 

沈胴部のフェルトがへたって緩くなっていますが、そもそも、オリジナルではなく途中で汎用のフェルトに交換されたようです。ベースの帯紙は調整のためか切られています。これは作り直して組みます。

 

鏡胴部。複雑な切削加工ですが非常に精密に仕上げられています。背面に別パーツを圧入で一体物としています。

 

 

フィルムレールを取り外すとスプロケット上部の遮光紙が脱落して来ますので失わないように。

 

 

結局、ダブルヘリコイドの調整間違いにより1.5mまでしか回らなかったのですね。曲がりもなくヘリコイドの回転も正常になりました。

 

 

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MINOLTA PROD-20Sのシボ革剥離の巻

2019年10月14日 13時18分37秒 | ブログ

まず、今回の台風19号により甚大な被害を受けられた方々にお見舞い申し上げます。地球温暖化の影響か海水温度の上昇により台風や集中豪雨の被害が増えて来ました。しかも、毎年ブログに書いていることですが、今頃発生する台風は私の住んでいる関東地方を目指して北上するコースを辿ることが多くなりました。台風の進路は地球の自転や偏西風の影響とか言われてもね。楽しみにしていた令和元年度観艦式が中止となったのは残念ですが行方不明者の捜索に全力で当たることは当然の判断と思います。

で、INOBOOさんからミノルタ・プロッド20Sというのかな? 一見バルナック風の外観をしたカメラが来ています。シボ革が剥がれて来たとのことですが、調べてみると1990年頃の発売のようですから、意外に時間が経過をしているのですね。シボ革の剥離前の画像が、何故か消えてしまって先日SDカードを新しくSandiskに変えてからカメラとの相性が良くないようです。

この頃はすでにシボ革の接着は両面テープが普通になっていた頃ですけど、私は両面テープというものは信用しません。まず接着力が弱いことと経時的に糊が変質して接着力を失うからです。しかし、このカメラは本体が樹脂製ですからゴム系接着剤は溶剤分が樹脂を溶かしてしまうため両面テープで貼るしか方法が無いのです。接着力が落ちるのをメーカーは承知していて、剥がれやすい端部は接着剤を併用しています。(画像)

両面テープの接着力低下の他に、問題はシボ革の材質が硬化することです。端からめくれ上がって来て、この力を押さえることは両面テープでは無理なのです。

 

 

このシボ革のパターンは昔、「バルナックライカ用」として流通していたものと同じ型だと思います。たぶんシボ革メーカーさんが一緒なのでしょう。このパターンはシボの形と艶消し具合が絶妙で好きな生地です。現在は流通していないのが残念ですが、当時買い込んで私のところにはかなりストックを持っています。

20Sというからにはバルナックライカをイメージしたデザインでしょうか。面白いとは思いますが普通のコンパクトカメラを欲しいだけの方は買わないでしょうし、マニア向けとしてもイマイチと中途半端な企画になってしまったのは残念でしたね。で、貼りましたけど将来また剥がれますよ。定期的に貼り替える心がけが必要です。

 

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フジカミニは小さいの巻

2019年10月10日 09時18分07秒 | ブログ

ローライ35の御一行様はお帰りになりました。北海道のINOBOOさんからフジカミニが来ていましたがかなりガタです。シャッターユニットの留めネジが緩んでいるようでユニットがグラグラ遊んでいます。

 

フジカミニに多い現象が巻き取りスプールの滑り。縦軸スプロケットが省略されているのでスプールに負荷が掛かるのでしょう。現状はフィルムを巻き上げることが出来ない状態です。それと、フィルムカウンターがクリック感がなく、クルクル回ってしまいます。巻き戻し軸を外そうと無理をしたようで、フィルム室の塗装を痛めています。

 

デザインが似ていますけどローライ35より一回り小さいです。

 

 

幸いシャッターユニットは良好で、シャッター羽根に錆はありません。洗浄とモルト交換で大丈夫です。

 

 

フィルムカウンターの不具合を見ます。巻上げダイヤルは中央のプレートを剥がします。ダイヤルはコイルスプリングにより反時計方向の回転は噛み合い時計方向はフリーとなる。海外や国産の古いカメラによく使われている機構。

 

送りギヤを制御するロック爪がフリーになっています。

 

 

油とホコリで汚れている内部を探すと折れたバネが見つかりました。

 

 

洗浄注油をしたシャッターユニットを組み込みました。1/125単速のシンプルなシャッター。

 

 

シャッターユニットの上にレンズを取り付ける地板をセットします。ㇾリースレバーも付いています。

 

 

PEN-EEによく似たレンズ設計ですね。レンズは曇りもなくきれいな方です。

 

 

ファインダーは小型ですがしっかりとしたダイカスト製。清掃をして取り付けます。

 

 

問題のフィルムカウンターの調整。地板の留め位置によってギヤ送りの爪の係り位置が変わって、最悪ギヤを送れなくなります。

 

 

巻き戻しダイヤルはトップカバーの中にギリギリの寸法差で収まります。設計者は考えましたね。

 

 

巻き戻しは中間ギヤがバネで押し込まれることでフリーとなります。

 

 

フジカミニを組む時にいつも迷うのは紫色コートのフィルター?の裏表。面取りの大きい方が表。パッキンはエンジンなどではガソリンの部分に使う赤いパッキンだなぁ。すでに硬化変形(縮み)していて形状を直すと折れてしまいそうですので程々で使います。

 

裏蓋の遮光は上端部はテレンプでサイドと底部がモルト。テレンプは問題なしでモルト部分のみ交換。

 

 

開閉ボタンの赤の色入れが抜けていますので入れ直しておきます。

 

 

専用のチェーンストラップを無くしている個体も多いですが、この個体は幸運にも付いています。フジカミニは現存の個体数が少なくなっていますのでジャンクでも復活させていくことが大切です。相場も上がり気味ですね。あっ、いけね。巻上げダイヤルの中央カバーを付けてないや。

 

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ローライ35が団体様の巻

2019年10月05日 19時56分22秒 | ブログ

PENファンの方たちには申し訳ありません。ここのところPENの修理ご依頼が少なくなっていまして、その代わりにローライ35系が団体様でお越しになっています。私も何台目を直しているのか分からなくなりましたので、個体に関係なく気になった点をUPして行きます。これはローライ35Sですが、未分解のシャッターを分解してみると・・あれ、シャッター羽根端の穴付近が凹んでいますね。これは相手の突起に正確に合っていない状態でネジを締めたんですね。これで良く良品として作動していたものです。シンガポール製です。

PEN-FTなどにもフィルムレールが腐食をしていて残念なボディーがありますけど、ローライ35の場合は別部品の組立式ですから、腐食をしたら交換することが出来ますね。なぜか腐食している個体は見ませんけどね。

 

中古カメラ店様のご依頼なので打痕の修正などは整備項目には入っていないのですが、やっぱり気になりますね。修正をしますので工数は赤字になります。

 

 

これはドイツ製の初期型のファインダーですが、プリズム一体式です。当然重いですね。接眼部の樹脂がクラックで脱落して来ましたので接着をして再使用します。

 

レンズの清掃やピント調整には前面の化粧リングを剥がす必要がありますが、アセトンなどを使うと距離リングは樹脂製のため溶けてしまう危険性があります。

 

ここのところ集中的にローライ35のメンテナンスを実施してみて修正が出来ないのは沈胴のガイドレールでした。修理項目に「沈胴の引っ掛かり」があって、観察すると先端部分がガタガタになっています。たぶん、沈胴時のセオリーを守らずに強引に捻じったのでしょう。レールは組立式なので、新品の部品が有れば交換で直りますが、そんなものあるわけない。削れた部分に充填剤を盛って対応します。部品の製作も検討した方が良いですね。

で、かなりの個体で巻き上げレバーの当たり(ボッチ)が欠落しています。取付けをご希望ですが、そんな部品あるわけないです。で、また応急で作りましたが、これも本格的に作らないとダメのようです。しかし、適当な材料が無いのです。材料として5φ程度の黒樹脂の丸棒が必要なのですが、どなたか適当なものの心当たりがないでしょうか?

この個体も頭が取れて芯だけ残っていました。意外に巻き上げレバーのリターンの打撃で割れてしまうようです。また作ります。角が凹んでいますね。なるべく修正をしておきます。

 

フィルムカウンターは底部ですが、カウンター数字と指標が合っていない個体が多くあります。

 

 

元々の品質基準がアバウトのような気がしますが、本体歯車とプレートは両面テープ接着で、位置決め用の出っ張りがありますが、隙間が多いため貼られている位置で指標との位置が変わって来ます。

 

その両面テープが古くなってベトベトになり、それが側面に出て来てカウンターの戻り不良となります。

 

 

どのカメラにもいろいろなウィークポイントがあるものですね。で、次の個体はまた初めから・・同様の作業が続く場合は書くこともありませんのでUPは出来ないかもしれません。申し訳ありません。

 

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