今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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取説付きの三光PENの巻

2019年10月22日 19時00分00秒 | ブログ

「遅れて来たペンマニア」さんからシリアル№が記入されている取説付きの三光PENが来ています。シリアル№はメーカーで記入されたものではなく、当時は紛失時の覚えとして記入を奨励されていたものです。意地悪く考えれば、最近、別に手に入れた取説に手持ちの個体のシリアル№を記入することも可能ではありますが、ブルウブラックインクの万年筆で記入されていますので、まだボールペンが普及する前の頃とすると考証的に当時の本物と判断します。

残念ながらファインダーの縁が欠けています。

 

 

裏蓋底のへこみ。

 

 

レンズの後玉のコーティングがすごいことになっています。

 

 

巻上げダイヤルカバーは初期の熱カシメタイプですが失われています。それより問題は、シャッターユニットが後期のものに交換されているようです。PENの発売は1959年(昭和34年)10月とのことですからシリアルから昭和35年ぐらいの製造のはずですが、昭和40年1月のシャッターが付いています。三光PENはシャッターユニットが安易に後期のものに交換されているケースが目立ちますが、故障は直せばよいのであって交換されてしまうとオリジナルでは無くなってしまうのです。

まっ、先に進めます。熱カシメの軸部分をポンチで抜き出しておきます。

 

 

すべて分解洗浄をしてみると・・あら~、シャッターユニットだけではなく、シャッタースピード環も交換されていますね。COPAL-Xが付いています。道理で洗浄後のメッキの状態が不自然に良いと思いました。目下、オーナーさんが部品を調達中なり

 

作業を再開します。シャッタースピード環はこれを使用します。一部に腐食がありますが、この部品のメッキの質は良くないので時代を考慮すれば仕方がないのです。

 

 

巻上げダイヤルのカバーですけどね。左が三光の初期に使われている熱カシメタイプ、中央はその後に変更されたネジ留めタイプ。右はもっと後期のタイプで、金型も精密になって全体の厚みも薄くなっています。また、時代によってグレーの色にも違いがあります。

 

で、今回の個体は初期の熱カシメタイプなのですが、使用できるストックがありません。左はシリコン型によるレジン複製のための原型として保存しているもの。この時期は上面を研磨してありますね。そのまま組み立てると巻上げダイヤルに接触をしたのでしょう。

 

この個体#1057XXはまだ対物レンズは樹脂製が使われています。

 

 

巻上げダイヤルカバーですが、今回はネジ留めタイプを改造をして取り付けました。

 

 

対物レンズ部分には遮光紙が貼られていたはずなので追加しておきます。

 

 

これで本体にセットします。

 

 

こんな感じ。

 

 

「遅れて来たペンマニア」さんの元箱取説付きコレクションもずいぶんと増えて来ましたね。

 

 

取説と一緒に「オリンパスカメラの歌」という歌詞カードが付いていましたので紹介しちゃいます。作曲はいづみ・たくさんなんですね。この頃は永六輔などと人気の作曲家でしたね。

 

楽譜の読める方は演奏してみてください。

 

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