これは高そうだなぁ。初期型のジャーマニーにもブラックモデルがあるんですね。#30107XXというと1966年発売が#3000201~1971年までが#3311000となっていますから1966年か67年ぐらいの製造?良く知らんけど・・当時のオリジナルかは不明ですがソフトケースとストラップ付です。過去に分解は受けていて、ネジが痛んでいるのが気になりますが、大きな不具合はないようです。
クロームもジャーマニーなんですけど、圧板のバネが違いますね。本当の初期のみの仕様のようです。
ジャーマニー製はファインダーはプリズム製ですが、前から見て素通しの仕様と思っていましたが、この個体はシンガポール製などと同じ鏡のように反射するタイプです。ローライ35のファインダーの仕様は沢山あって正確には分かりません。
スプール軸上部のギヤが組立式ですね。パーツリストによると1967年までで、それ以降は一体物になるように記載されています。各部軸受けの清掃注油とスローガバナーの洗浄をしておきます。
トップカバーの材質はアルミで塗装ではなく黒アルマイトですね。洗浄をしてみると何やら文字らしきものが浮かんできましたよ。たぶん名前入りのテープのようなものが貼ってあったのでしょう。露出計の窓は再接着をされていましたが接着剤により曇っていますので一度分離をして研磨をします。
トップカバー横の留めネジはスリ割りネジのはずですが、こちら側だけ+ネジになっていましたので手持ちの純正ネジと交換しておきました。
レンズを下にすると沈胴が下降してしまいますね。分解調整が必要です。
沈胴のチューブを分離しました。摩耗やスリ傷もなくきれいです。
マウントの内周に入っているフェルトがヘタっているので取り出して調整をします。
チューブを挿入するチューブスライダー?を製作しておきましたので挿入は簡単です。ローライの工場でも多分同様なSST を使用していたはずと思います。これがないと挿入するのは困難です。本来はジュラコン材で製作したかったのですが、管理が悪くストックが見つからないので塩ビで作りました。まぁ。どっちゃでも機能はします。
密閉性の悪いシャッターユニットですからどうしてもレンズにはチリが付いていますので分解清掃をします。ピンセットの部品は以後の標準とは形状が異なりますね。
シャッターユニットを組み込んでフィルムレールを取り付けます。
ここのネジは殆ど緩んでいます。力の掛かるネジがM1.4では緩みます。
フィルムカウンターの作動をテストすると14枚から先に進みません。初期型には補助バネが入っていないのです。で、製作して取り付けました。
で、実際にフィルムを入れて36枚まで巻き上がるかのテストをしました。合格です。ただし、現在は36枚まで巻き上がらなくても・・その他、シューのレールが曲がっていましたので修正をしてあります。初期は巻き戻しレバーの座が黒ではないのですね。
これは次のジャーマニーです。電池室の絶縁フィルムがすごい色をしています。電池の液漏れがあったようですが、幸いひどいことにはなっていませんでした。清掃をして新しいフィルムに交換しておきます。
いつものメンテナンスをしてシャッターのテストをすると、B(バルブ)が止まらずにシャッターが切れてしまいます。原因はここのレバーの固着です。
正常に作動することを確認して前面カバーとダイヤルを取付けて行きます。
たま~にあるんですが、レンズ前面のカバーリングが強いすり鉢状に癖が付いているものがあります。ここは将来メンテナンスで必ず分解をするので再分離が困難なほどの強力な接着剤を使用することが出来ません。よって一番目立つ体裁面ですからこのような変形リングを接着するのに苦労するのです。
これはまた別のジャーマニー。←の角にアタリがあって出来るだけ修正を試みるのですけど、この部分にアタリがあるとファインダー窓が変形するのです。これを修正することは非常に困難です。
最後の5台目はローライ35Sのブラックですが、目立った不具合はシャッターの低速不調ぐらいですので通常のメンテナンスをして行きます。
スプール軸の清掃注油、ファインダーの分解清掃、スローガバナーの清掃注油、チャージギヤ軸の分解清掃、メーター窓のモルトの修復、電池室の絶縁フィルム貼りなどを洗浄をしたトップカバーをセットします。この後はシャッターユニットを分離してレンズの清掃などをして完成します。