大阪のご常連さんは国産カメラの輸出モデルを集めるのがお好き。今回はBell&Howellとのダブルネーム、キヤノネット19#14563XXと予備機の#6017XXが来ています。キヤノネット19の発売は1961年1月(昭和36年)とのことですが、このカメラは製造時期によって少しづつ変更が加えられて行きますね。で、現状はシャッター不動ですが、この時はシャッター羽根の張付きと簡単に考えていたのでした。
まだ、トリガー巻き上げは残っています。カメラ底部に巻き上げレバーがあるのはこの時代の流行りなんでしょうかね? 慣れれば違和感はないです。
後にキヤノン特有のQL(クイックローディング)が装備されたモデルもありますが、この個体はシンプルな構造です。
時代を考慮すれば非常にきれいな個体ですがトップカバー背面にへこみがありますね。真鍮の板厚も厚いですし場所も修正がし難いので触らないことにします。
まず、ファインダーの清掃をと思いカバーを外すとミラーの接着が剥がれています。古い接着剤は長い年月を経ると剥がれてしまうのです。
簡易的にシャッター羽根を洗浄してもシャッターは切れない。よく見るとセルフタイマーがチャージされた状態で止まっています。分解をしてみると、セルフタイマーが固着していギヤが地板に接触していて分離が出来ません。
そこを何とか分離して観察してみると・・あれ、クラッチの円盤が千切れて曲がり隣りのギヤと接触しています。へぇ~、こんなの始めて見ました。
このユニットはネジの組立ではなくカシメで組まれているので分解出来ません。分解してもダメですけど・・では、予備機から調達と取り出してみると微妙に形状が異なります。細かなところで変更されています。
カム盤も違いますよ。右が本務機で左が予備機。シャツタースピードのクリックを作り出す位置も違います。
とりあえずシャッターは切れるようになりましたが、巻上げレバーを目いっぱい巻かないとチャージが完了しない時があります。そこで調整をしておきます。ついでにリンケージの清掃とグリス塗布。
セレンを半田付けしてEE性能をチェックするとEE機構のシャッタースピードとシャツターダイヤルが連動しない。鏡胴部の分解でレバーが↙から外れたため。
他にも細かなことで不具合が出て時間が掛かってしまいました。キヤノネットと軽く見てはいけません。メーカーの位置づけは中級カメラですから、戦略的に価格は安くは発売されましたが、メカは部品点数も多く作りもしっかりとしています。
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