昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[舟のない港](四十一)

2016-04-27 09:04:29 | 小説
その夜の食事は、今の男が望むべくもないものだった。 この家族に囲まれて育ったミドリだからこその、異性に対して無防備だと思えた。 皆が皆、いい人だった。 人を疑うことを知らない母親。 他人に対して寛容な兄。 開けっぴろげで快活な妹。 そんな四人家族との夕食は、とに角楽しかった。 ミドリだけが 顔を上気させたまま、口数が少なかった。 男の顔をまともに見られなかった。 男にしても多少の罪悪感もあり、 . . . 本文を読む

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