(四)
まるで思い当たらぬことに、少々不安が持ち上がった。
「ま、まさか…。新手の詐欺か? いや昔からある手口だ。
勝手に送りつけて、封を開けたから代金を支払えとかいう。
それとも…あいつらの悪戯か? バツイチになって、もう五年近い。
女っ気がなくては寂しかろうと、飲み会で集まった折にからかう、あの二人の。」
「あたし、さよこともうします。どうぞ、かわいがってください。」
合成音らしからぬ、柔らかい口調に変わった。
実に人間の声と聞き紛う声、といっていいのか。
音と言うべきなのか…。
「ご主人さま、中から出して頂けますか。」
「あ、そうだな。あぁ、分かった。」
さよこなる人形を引っ張り出すと、背丈は…そう、一メートル五十センチほどだろうか。
重さは…軽くはなかった。
相当に力を入れなければ、引き出せなかった。
引っ張り出すという表現は、当たっていなかった。
引きずり出したといった方が当たっている
まるで思い当たらぬことに、少々不安が持ち上がった。
「ま、まさか…。新手の詐欺か? いや昔からある手口だ。
勝手に送りつけて、封を開けたから代金を支払えとかいう。
それとも…あいつらの悪戯か? バツイチになって、もう五年近い。
女っ気がなくては寂しかろうと、飲み会で集まった折にからかう、あの二人の。」
「あたし、さよこともうします。どうぞ、かわいがってください。」
合成音らしからぬ、柔らかい口調に変わった。
実に人間の声と聞き紛う声、といっていいのか。
音と言うべきなのか…。
「ご主人さま、中から出して頂けますか。」
「あ、そうだな。あぁ、分かった。」
さよこなる人形を引っ張り出すと、背丈は…そう、一メートル五十センチほどだろうか。
重さは…軽くはなかった。
相当に力を入れなければ、引き出せなかった。
引っ張り出すという表現は、当たっていなかった。
引きずり出したといった方が当たっている
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