晴れた空では、どこまでも青い空があり、そこに一つ二つ…と流れる白い雲。
やがて日が暮れるにつれ、赤く染まりゆくすべてのもの。
雨の空では、濃淡のはげしい灰色の雨ー白なのか銀なのか、
はたまた緑……色のあるようなそれでいてないような、絹糸のごとき雨。
そしてなにより興味をひいたのは、雨がにじみゆく大地。
この世のすべてを受け入れ、拒否することのない大地。
しだいにすべてを飲みこんで、その痕跡すら残さない。
とつじょ、なんの前触れもなく――江戸幕府のまえにその威厳をみせつけた黒船の「ドン!」のごとくに、
ぢごくの断末魔と猛々しきしき神々の歓声との交錯する、悲鳴が上がった。
一瞬間、すべてが止まった、凍りついた。
時のながれでさえ止まった。
四方を壁で閉ざされた世界から、すべてが青空のしたに移された。
見渡すところにはなにもなく――またなにかが欲しいと思えばそこにあるような気もする。
そんな世界に移された。
その世界は、一方では貴くそして気高い紫の世界であり、
また一方では人間の持つ主我的という業火の世界であった。
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夕刊の三面の片すみに小ちいく書きこまれているこの記事には、だれひとりとして感慨を持たなかった。
[ 幼少のころに患った小児麻痺により脳に疾患がのこった△△は、
発作的な凶暴性が強いため、××山の中腹にある病院で治療中だったが、
今早朝に看護婦が食事をはこんだ直後に、屋上から飛び降り自○をこころみ、そのまま即○した。
なお、警察当局は、担当看護婦からの証言については、いっさい発表していない ]
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