昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

小説・二十歳の日記 六月十八日  (晴れ)

2024-08-18 08:00:06 | 物語り

あれほどに降りつづいた雨も、昨夜のうちにすっかり降りつくしたらしく、眩しいばかりに太陽がかがやいている。
きょうという日は、まったく素晴らしい。
なんだか、周りのものすべてが輝いて見えた。
なにもかもが楽しい。
道路のあちこちの水たまりの中に映っている、青空。
石をけると、ポチャン! と、音を立てて青空がゆがんだ。

きのうまでのぼく、まるでぼくではないような。
いや、きょうのこのぼくがぼくでないのかも。
ぼくのことを口舌の人、と決めつけていた先輩でさえも、きょうのぼくに驚いていた。
これほどに楽しいものだとは。
けれども、結局かたおもいに過ぎない。
ただ単に、客席のなかのひとりにすぎない。
いや、このぼくの存在さえ知らないんだ。
なんてこった! 
 



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