昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[お取り扱い注意!] (八)

2013-07-29 09:23:23 | 時事問題
(八)

思いもよらぬ答えが帰ってきた。

「ご主人さま。さよこは、お嫌いですか?」

 哀しげな目を見せる。

「いやいや、嫌いだとか何とか…。
そんなことはないよ。
さよこちゃんは、可愛い。」

「でしたら、お部屋に入れて下さい。
いつまでも玄関先だなんて、さよこ、淋しいです。」

 肩をすぼめて、軽く嫌々をする思わず抱きしめたくなる衝動にかられた。

「そ、そうだな。
ここは寒い、風邪を惹いちゃうね。」

「じゃ、行きましょ。」

今にもスキップを踏みそうに、私の手を引っ張る。

「さよこちゃんの手、暖かいね。」

「でしょ、でしょ。
ご主人さまの心が暖かいと、小夜子も暖かくなるんです。

いい人で良かった、ご主人さまが。
さ、それじゃ、肩揉みしますね。」


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