(二)
大婆のひと声には、誰も逆らえない。
一人の例外、茂作を除いては。
唯それが為に、縁者からの白い目にさらされてはいたが。
しかし本日ただ今よりは、それも笑い話と化してしまうことに。
「先ずもって、村を代表してお礼を言わせてもらいます。
多額の寄付金にとどまらず、奨学金制度まで考えていただいて。
ありがたくお受けさせていただきます。」
顔を赤くして謝辞を述べる助役。
武蔵に酒を勧めた後、今度は大婆に深々とお辞儀をする。
「婆さま、実におめでたいことで。
これで、繁蔵さんの村長就任も決まったようなものですわ。」
「なんの、なんの。
日本一のお婿さんのお陰じゃて。
そんなお婿さんを見つけてきた小夜子のお手柄じゃ。
のぉ、繁蔵。」
皺だらけの顔を、更にくしゃくしゃにしている大婆に、
「村を出ると聞いた時には、澄江の二の舞にならねば良いがと心配しましたがの。
まさかこんなことになるとは。」
と、相好を崩す繁蔵だ。
大婆のひと声には、誰も逆らえない。
一人の例外、茂作を除いては。
唯それが為に、縁者からの白い目にさらされてはいたが。
しかし本日ただ今よりは、それも笑い話と化してしまうことに。
「先ずもって、村を代表してお礼を言わせてもらいます。
多額の寄付金にとどまらず、奨学金制度まで考えていただいて。
ありがたくお受けさせていただきます。」
顔を赤くして謝辞を述べる助役。
武蔵に酒を勧めた後、今度は大婆に深々とお辞儀をする。
「婆さま、実におめでたいことで。
これで、繁蔵さんの村長就任も決まったようなものですわ。」
「なんの、なんの。
日本一のお婿さんのお陰じゃて。
そんなお婿さんを見つけてきた小夜子のお手柄じゃ。
のぉ、繁蔵。」
皺だらけの顔を、更にくしゃくしゃにしている大婆に、
「村を出ると聞いた時には、澄江の二の舞にならねば良いがと心配しましたがの。
まさかこんなことになるとは。」
と、相好を崩す繁蔵だ。
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