(六)原則
「若者だって、そのくらいの計算はしているんじゃないか。
どう猛な獣にいたぶられる小動物然として、よろんの同情を買ったのじゃないかな。
だいいち君をして、マスコミに対し悪感情をだいたじゃないか。
若者のためになみだを流したじゃないか。
同世代の純朴な若者が攻撃されたのが、たまらなかったんだろ?」
「それにだ。
わずかではあっても、ヒッピーに対する偏見をとりのぞけらればと思ってのことかもしれないぜ。
ひょっとして……」
「そのものわかりの良さが、だめなんだよ」
新一が私のことばをさえぎって言う。
「流されちゃだめだ。
ものの本質が変わるわけがない」
「原則が大事なんだ。
踊らされちゃだめだって」
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