昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

愛・地獄変 [父娘の哀情物語り] (十六)

2010-11-15 21:18:50 | IT技術
お饅頭類だけでは
先細りになりはしないかと考えまして、
妻の反対を押し切って
醤油煎餅を作ってみたのでございます。
しかしお客さまのお口に合わなかったようでして・・。
いえいえ、
きっと買ってくださるはずでした。

ある夕暮れどき、
初めて売れましてございます。
思わず小躍りしてしまうほどでした。
「あなたには負けたわ。
それじゃその、
新しく作られたお煎餅を頂こうかしら。」

妻の押し付けがましさは
我慢なりませんです、
はい。
きっと
売れるはずなのでございます。

それが証拠に
「美味しかったわよ、
又頂くわ。」と
仰って頂けるお客さまが、
日に日に増えているのでございますから。

「奥さんの太鼓判ですもの、
美味しいはずよね。」などと、
お客さまにおべっかを遣わせるとは、
まったく不届き千万でございます。

それにしても
厭味な妻でございます。
今日も今日とて、
これみよがしに
大声を張り上げているのでございますから。

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