ではそこでのわたくし、
「人のこころを失ってしまったわたくしでございます。 . . . 本文を読む
しかし片手落ちだと言われても、こちらからお願いしてのことでもなし、勝手に乗りこまれてきたわけですから。正直いえば迷惑なことでしたし。そして今また話を聞いてくれと言われても、といった思いです。「思いだしたぞ! あの青びょうたんの足立三郎の、あのときの小娘か。どうにも見覚えがあるとさっきの婦女子も思ったが、当の本人が現れては間違えようもないわ」
善三さんが、はたとひざを叩かれました。「面白い、実 . . . 本文を読む
「そうか、やっぱりな。あいつが好きなんだ、お前。よしよし、俺が話をつけてやるよ。なあに、大丈夫。あいつだって、まんざらでもないと思うぜ」「ええっ、こまるよ、それは。ぼくは、今のままでいいんだから」 「いいから、いいから。それでもな、はじめの頃のおまえは、イヤな奴だったらしいぞ。最近は、見直したみたいだ。そう言えば、この間ひとりで早く帰ったろう。その時に『どうして今日は来ないのか』って、聞いてたぜ。 . . . 本文を読む
坂田カネの三十三回忌もなんとか終えまして、会食に入ったときのことでした。
とつぜんのちん入事件が起きたことは、先ほどお話しましたとおりです。
妙齢のご婦人がお迎えにみえて、ことは終わったと皆さん安堵されました。 . . . 本文を読む