19日(金).名古屋の出張から帰った娘の”おみや”はウイロウです 暇つぶしにひつまぶしを食べたいと思っていましたが,外れました
名古屋だけにこれで期待はオワリです
ということで,わが家に来てから253日目を迎え,大きな手に遭遇して戸惑うモコタロです
誰か手を落としていかなかった? なに,手違いだって?
閑話休題
昨夕,サントリーホール”ブルーローズ”でミロ・クァルテットの「ベートーヴェン・サイクルⅣ」を聴きました プログラムはベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第15番イ短調」と「同第13番変ロ長調(大フーガ付)」です.これは「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン2015」の一環として開かれた「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会」の第4夜のコンサートです
自席はRb2列6番,会場はほぼ満席です このシリーズはベートーヴェンの弦楽四重奏曲を作品番号順ではなく,実際の作曲順に演奏するもので,この日は最初に第15番イ短調・作品132番を,後から第13番変ロ長調・作品130番を演奏します
さらに付け加えれば,第13番には2つの第6楽章が存在しますが,ベートーヴェンが最初に作曲した”大フーガ”を置いたオリジナル・バージョンで演奏します
拍手の中,ミロ・クァルテットのメンバーが登場します 第15番は第12番までの4楽章形式から離れ,5つの楽章から成ります.演奏時間にして約50分かかる大作です
この中で最も印象的なのは第3楽章「モルト・アダージョ」です.この楽章はベートーヴェン自身の言葉によって「病より癒えたる者への神への聖なる感謝の歌」と表現されています
ベートーヴェンは当時,一時死を覚悟するほどの腸炎に罹っていました
同時期に,18歳になる甥のカールを巡る家庭問題も抱えていてストレスは極限に達していました
それにも関わらず,彼は一時的に回復した際に,神への感謝の音楽を作ったのでしょう
ミロ・クァルテットは神への感謝の気持ちを切々と歌い上げます
休憩後は第13番「大フーガ付」です.この作品もそれまでの作品と違い6つの楽章から成ります 第2楽章「プレスト」などはたったの3分足らずの曲で,数あるベートーヴェンの作品の中で最も短い楽章です
初期の弦楽四重奏曲なら1曲まるまる収まる演奏時間です.反対に第6楽章の「大フーガ」などは20分もかかる大作です
誤解を恐れずに言えば,この曲はバラエティーに富んでいて実に楽しい曲です
私が好きなのは後半の3つの楽章です.第4楽章は楽しい舞曲で,微笑ましいチャーミングな曲です
第5楽章の「カヴァティーナ」はベートーヴェン自身もお気に入りだったようですが,第15番第3楽章「モルト・アダージョ」と相通じる性格を持った「神への感謝の歌」といった穏やかで神々しい曲想です
あらためて最後の「大フーガ」を聴いて感じたのは,顰め面をしたベートーヴェンばかりではなく,まるでジャズのような曲想が顔を出したりして”多面的な”ベートーヴェンが詰まっているということです 先日も書きましたが,ベートーヴェンの音楽の特徴は”多面性”ではないか,と思います.ミロ・クァルテットの面々はその魅力を十分に引き出していました
この作品も約50分かかる大作ですが,まったく飽きません.それは作品に力があるからであると同時に,演奏が素晴らしいからです
ミロ・クァルテットのベートーヴェン・サイクルもあと1回を残すのみとなりました 第14番作品131,第16番作品135,そして「大フーガ」の代わりに作曲された第13番の第6楽章です
これらの作品は20日(土)午後7時から演奏されます.楽しみです