21日(日)。わが家に来てから255日目を迎え,また”手違いの手”に遭遇するモコタロです。
指が3本しかないし・・・・やっぱり手違いの手だな!?
閑話休題
昨日、午後2時からすみだトリフォニーホールで新日本フィルの第543回定期演奏会を、7時からサントリーホール”ブルーローズ”で「ミロ・クアルテット ベートーヴェン・サイクルⅤ」を聴きました 今日は新日本フィルの定期演奏会の模様を書きます
プログラムはオール・ストラヴィンスキー・バレエ音楽で、①火の鳥、②ペトル―シュカ、③春の祭典で、指揮は秋山和慶です 彼が新日本フィルを指揮するのを見るのは今回が初めてです
ステージ一杯に広がったフル・オーケストラのコンマスは豊嶋泰嗣,隣にはもう一人のコンマス・西江辰郎が控えます ロマンス・グレーの指揮者・秋山和慶が登場し,早速1曲目の「火の鳥」の演奏に入ります
すると,1分も経たないうちに,自席の右側後方で「チリり―ン」というケータイの着信音が鳴りました
すぐに切れたので大事には至りませんでしたが,もう絶滅したかと思っていたのに21世紀の今も生き残っているオオサンショウウオ的な非常識人種の生存に驚きを禁じ得ませんました
「火の鳥」は1909年冬から10年春にかけて作曲され,パリのオペラ座で初演されましたが,この曲は興行師セルゲイ・ディアギレフとバレエ・リュス(ロシア・バレエ)の打ち出すバーバリズム(原始主義)の出発点となりました 台本はロシア民謡に基づく伝説で,魔王に捕らわれた王女と,彼女に恋した王子の危機を,伝説の火の鳥が救うという物語です
秋山和慶は鋭い切り込みで,見事な指揮捌きを見せますが,個人的には「秋山和慶=東京交響楽団」というイメージが固定していて,指揮を見ていると違和感を感じてしまうのです なにせ秋山氏は1964年以来40年にわたり東京交響楽団の音楽監督・常任指揮者を務めてきたのですから
彼は昨年(2014年)に指揮者生活50年を迎えた大ベテランですが,指揮を見ていると,素人が見ても分かり易い指揮ぶりで,楽団員も演奏しやすいのではないかと想像できます
ピアノが指揮台の正面に据えられ,ピアニスト・三輪郁を迎え,2曲目の「ペトルーシュカ」が始まります 曲は「復活祭の市場」「ペトルーシュカ」「ムーア人」「復活祭の市場とペトルーシュカの死」の4つのシーンから成ります
全体の曲想としてはほとんどピアノ協奏曲のような感じです
曲の冒頭,フルートを中心に復活祭で賑わう市場の様子が色彩感豊かに表現されます.曲の中では,フルートの白尾彰,オーボエの古部賢一,ファゴットの河村幹子といった首席クラスの演奏が冴えに冴えわたっています 川瀬達也のティンパ二の連打が効果的です
さて休憩後を飾るのは「春の祭典」です.それまでもフル・オーケストラだったのですが,さらに拡大し100人を軽く超えています この曲が1913年5月29日にパリのシャンゼリゼ劇場でピエール・モントゥーの指揮で初演された際には,賞賛派と反発派が入り乱れ大混乱に陥ったと伝えられています
今でこそ”古典音楽”として人々は違和感なく受け入れていますが,当時その会場に居合わせていたらどういう反応を示していたでしょうか・・・聴衆の多くはいつでも保守的なものです
われわれが学生時代に音楽の授業で習った「音楽の3要素」は「リズム」「メロディー」「ハーモニー」でしたが,ストラヴィンスキーの「春の祭典」は「リズム」をしつこいまでに反復し,それをどこまでも強く”主張する”音楽です ドビュッシーは「現代的快適さをすべて備えた野生の音楽」と表したそうですが,まったくその通りです
冒頭はファゴットによって神秘的なメロディーが奏でられますが,首席ファゴット奏者・河村幹子の演奏は忘れられません アイ・ハブ・ネバー・ファゴットン
あらためて秋山和慶の指揮を見ると,「これが齋藤秀雄の下で指揮法を修めた,いわば”齋藤メソッド”による指揮法なのだな」と思います 素人目にも非常に分かり易い指揮で,一切無駄な動きがありません.最小限の動きで楽譜に書かれている作曲者の意図を的確に演奏者に伝えます
この日の前半は大管弦楽によるリズム中心の曲を3曲聴き,全身に音のシャワーを浴びて気分がスッキリしました この後,錦糸町を後に,地下鉄で六本木1丁目に向かいました
サントリーホール”ブルー・ローズ”でのミロ・クァルテットによる「ベートーヴェン・サイクルⅤ」の模様は明日書くことにします