人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

鈴木秀美+神奈川フィルでメンデルスゾーン「序曲:フィンガルの洞窟」「イタリア」,ハイドン「ロンドン」を聴く~フェスタサマーミューザ

2017年08月07日 07時57分28秒 | 日記

7日(月).わが家に来てから今日で1041日目を迎え,新聞を遠目に見ながら独り言を言っているモコタロです

 

     

       トランプ大統領が夏休みに入ったからネタがなくて困る  米国民にはラッキーだけど

 

                                           

 

昨日,ミューザ川崎で神奈川フィル「シンフォニーで,ヨーロッパ旅行」公演を聴きました   これはフェスタサマーミューザの一環として開かれたコンサートです.プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」,②同「交響曲第4番”イタリア”」,③ハイドン「交響曲第104番”ロンドン”」です   指揮はオーケストラ・リベラ・クラシカ創立者の鈴木秀美です

午後3時からの開演に先立って,2時半から指揮者の鈴木秀美氏によるプレトークがありました   この日演奏する3曲について解説しましたが,印象的だったのは,メンデルスゾーンの「イタリア交響曲」について,鈴木氏の知人が「この曲は,秋から始まる『四季』を表している,つまり第1楽章『秋』,第2楽章『冬』,第3楽章『春』,第4楽章『夏』だ」と言っていたという話です   これは本番で聴いてから改めて判断しようと思います

 

     

 

さて,本番です.オケのメンバーが配置に着きます.弦楽器の並びは中央奥にコントラバスが横に4本並び,前に左から第1ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります   7月23日の井上道義+オーケストラ・アンサンブル金沢と同様,コントラバスの人数が少ないのでこのような配置にしたと思われます   コンマスはウェールズ弦楽四重奏団のヴァイオリニスト 崎谷直人です.ステージに登場してからチューニングの指示を出して着席するまでの彼の仕草・物腰が,同フィルのソロ・コンマス 石田泰尚 によく似ているなと思いました.そっくりです まさか「遺伝性コンマスポーズ症」か

さて,この日のプログラムはメンデルスゾーンとハイドンですが,つながりは1809年です   ハイドン(1732年生まれ)が死去したのが1809年,そしてメンデルスゾーン(1847年没)が生まれたのも1809年でした

1曲目はメンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」です   この曲は,メンデルスゾーンが1829年夏に旅行したスコットランドのへブリディーズ諸島の印象をもとに書かれたものです   鈴木秀美+神奈川フィルのあいさつ代わりの演奏ですが,個人的なことを言えば,神奈川フィルの演奏はほとんど聴く機会がないので,どうもしっくりきません   管楽器は特に優れているといった演奏がありません.全体に溶け込んでいるといえばそうなのかも知れませんが

2曲目はメンデルスゾーン「交響曲第4番”イタリア”」です   この曲はメンデルスゾーンがイタリア旅行中に書かれました.第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」,第2楽章「アンダンテ・コン・モート」,第3楽章「コン・モート・モデラート」,第4楽章「サルタレッロ(プレスト)」の4つの楽章から成ります

この曲では,プレトークで言われていた「四季」を頭の隅の置いて聴きましたが,そう言われてみれば なるほど第1楽章は「天高く馬肥える秋」だな,と思いました   第2楽章は一転,憂いを帯びた曲想で冬ごもりを連想します   第3楽章は優雅でいかにも春めいています   中間部のホルンとファゴットによる曲想は春の到来を告げるファンファーレのようでした   第4楽章はヴィヴァルディの「四季」の「夏」の世界に通じる世界で,「夏の嵐」を感じさせる激しい音楽です   これはイタリアの舞曲「サンタレッロ」様式が導入されていると言われていますが,第4楽章にきてやっとイタリアらしい演奏になりました

 

     

 

プログラム後半はハイドン「交響曲第104番”ロンドン”」です   この曲は交響曲だけでも生涯に108曲を書き「交響曲の父」と呼ばれているヨーゼフ・ハイドンが,ロンドン滞在に当たって作曲したことから「ロンドン」の愛称で知られています   多くの作品にニックネームが付けられていますが,これらはハイドンの付けたものではありません   冷静に考えてみると,100以上も交響曲があると,それぞれにニックネームでも付けないと分別できません.後世の人たちの気持ちがよく分かります   この曲は第1楽章「アダージョ ー アレグロ」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「メヌエット:アレグロ」,第4楽章「フィナーレ:スピリトーソ」の4つの楽章から成ります

第1楽章が重心の低い堂々たる序奏で開始された時,前半の”普通の”演奏から脱却して一段上のレヴェルに達したな,と思いました   早い話が,これでこの演奏は成功した,とさえ思いました   この楽章は途中から一転,軽快な音楽に転換し,いかにもハイドンらしい明るい曲想になります   フルート,オーボエといった木管楽器が冴えています.第2楽章は,鈴木氏がプログラム掲載のインタビューで述べているように,短い音と休符が多用されていて,まるでハイドンが何かを語り掛けているように聴こえました   第3楽章は力強いメヌエットです.第4楽章はハイドンらしい明快で推進力のあるフィナーレです

前半の演奏と比べると,これが同じオケの演奏だろうか,と思うほど生き生きとした演奏が展開し,「現代に息づくハイドン」を感じさせました   これはもちろん,オケを鼓舞し 持てる力を最大限 引き出した鈴木秀美氏の力によるところが大きいですが,それに応えた神奈川フィルの熱演があってこそです

繰り返されるカーテンコールで呼び戻された鈴木氏は,拍手を制して,

「メンデルスゾーンがバッハを蘇演しなければ,現代のわれわれはバッハの偉大な音楽を聴くことが出来なかったと言えます   そういう意味で 私は,メンデルスゾーンの曲を演奏するたびに,メンデルスゾーンに感謝しつつ,バッハの音楽を紹介したくなります   アンコールにバッハのカンタータ第107番からコラール『主よあなたの栄光を与えてください』を演奏します

とアナウンスし,演奏に入りました 補足すると,メンデルスゾーンは1825年(16歳)に祖母のベラ・ザロモンから,当時ほぼ忘れられていたバッハの「マタイ受難曲」の草稿の写譜を入手し,1829年(20歳)に自らの指揮ベルリン・ジングアカデミーの演奏により蘇演を果たしています   1750年にバッハが没してから初となるこのコンサート(79年後!)は大成功を納め,ドイツを越えて広くヨーロッパ諸国にも輪が広がりました   鈴木氏の指摘のように,この蘇演がなければ今ほどバッハの偉大な曲の数々は知られていなかったかもしれません

最近では,自ら主宰する「オーケストラ・リベラ・クラシカ」の定期演奏会以外に,在京各オーケストラへの客演など,鈴木秀美氏の活躍が目立ちますが,彼の指揮するバッハ,ハイドン,ベートーヴェンは本当に素晴らしいと思います

 

     

 

 

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コメント (2)
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