19日(土).わが家に来てから今日で1053日目を迎え,上野動物園が17日,6月に生まれたジャイアントパンダの雌の赤ちゃんの名前で32万2581件の応募があったと発表した というニュースを見て パンダに似た ”不審人物” を誘導尋問するモコタロです
モコタロ「色は似てるけど パンダじゃないよね」 白黒「名前はニヤニヤだよ」
昨日,夕食に「スタミナ丼」「生野菜サラダ」「冷奴」を作りました スタミナ丼は基本的に豚バラ肉ですが,前日余った鶏モモも使いニラを一緒に炒めました
昨日,東銀座の東劇で「 METライブビューイング アンコール2017」のマスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」とレオンカヴァッロを「道化師」の2本立てを観ました これは2015年4月25日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です.2本ともテノールのマルセロ・アルヴァレスが主役を歌っています この2作品の組み合わせにより2本立てで上演したのは1893年のMETが初めてだったとのことです 随分長い歴史があるものです
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」は,翻訳すると「田舎の騎士道」という身も蓋もない日本語になってしまいますが,レオンカヴァッロ「道化師」とともに,当時流行した真実(ヴェリズモ)主義文学の流れに沿って人々の生活に題材をとり,その現実を描く「ヴェリズモ・オペラ」の傑作と言われています
キャストはトゥリッドゥ=マルセロ・アルヴァレス(テノール),サントゥッツァ=エヴァ=マリア・ヴェストブルック(ソプラノ),アルフィオ=ジェリコ・ルチッチ(バリトン),管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団,指揮=ファビオ・ルイージ,演出=デイヴィッド・マクヴィカーです
全1幕(約70分)のストーリーは次の通りです
「復活祭の日,教会近くの酒場マンマ・ルチアに悲痛の面持ちのサントゥッツァが現れる.彼女はルチアの息子トゥリッドゥと恋人同士だが,最近彼は元恋人で人妻のローラと縒りを戻しているらしい サントゥッツァは現れたトゥリッドゥに泣きつくが,彼は取り合わない 嫉妬に狂ったサントゥッツァはローラの夫アルフィオに,不倫を告げ口する.怒ったアルフィオとトゥリッドゥは決闘になり,トゥリッドゥが殺される」
この公演に当たって,指揮者のファビオ・ルイージは歌手陣に「やり過ぎないように」と注意を促したそうですが,それを忠実に守っていたのがサントゥッツァを歌ったエヴァ=マリア・ヴェストブルックでした 抑制された歌唱と演技が反って現実味を感じさせていました 一方の主役トゥリッドゥを歌ったアルヴァレスは,役柄にのめり込んでいて,やりすぎの一歩手前までいっていました ただ,「役に成りきる」ことが理想の歌手だということなら,彼こそ相応しい歌手でしょう
歌に力があり,説得力があるということで言えばアルフィオを歌ったジョージ・ギャグニッザが一番かも知れません これまでのMETライブで,彼の役柄で一番印象深いのは「トスカ」におけるスカルピア役です いかにも残忍な悪役がピッタリでした
途中でオーケストラによって演奏される「間奏曲」は感動的でした このオペラの悲しさが静かに切々と迫ってきます これは指揮を取るルイージの力によるところが大きいと思います スーザン・グラハムとのインタビューで,彼はこの公演の前日にレハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」(スーザンも出演した)を指揮したとのことですが,日本では考えられません.喜劇の翌日に悲劇を指揮するのですから,並みの指揮者では”切り替え”が困難でしょう
2本目のレオンカヴァッロ「道化師」は1892年に作曲された全2幕のオペラです キャストはカニオ=マルセロ・アルヴァレス(テノール),ネッダ=パトリシア・ラセット(ソプラノ),トニオ=ジョージ・ギャグニッザ(バリトン),管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団,指揮=ファビオ・ルイージ,演出=デイヴィッド・マクヴィカーです
実際に起きた事件に基づいた「道化師」全2幕(80分弱)のストーリーは次の通りです
「旅回り一座の座長カニオは年若い妻ネッダとの間がうまくいっていないことに悩んでいる 実はネッダは村の若者シルヴィオと恋仲なのだが,カニオは知らない 2人が駆け落ちの相談をしているのを見つけた座員のトニオは,ネッダに言い寄って振られた腹いせに,カニオに告げ口をする ネッダの不倫を見たカニオは傷心のまま道化師の衣装を付け舞台に立つ 芝居が始まり現実との区別が付かなくなったカニオはネッダを刺し殺す」
このオペラは座員トニオの「人生のひとコマを描いた現実のお話しです」という「前口上」で幕が開きますが,ギャグニッザは見事に休憩前の「カヴァレリア・ルスティカーナ」の悲劇の登場人物から,一気に喜劇の狂言回し役に転じ,聴衆を「道化師」の世界に引き込みました
この公演では,カニオを歌ったアルヴァレスもネッダを歌ったラセットも役に成りきっていました とくにアルヴァレスが第2幕の直前に歌う「衣装を付けろ」は「これぞヴェリズモ」と言うような迫真の歌唱・演技でした ラセットはいつもは真面目な役柄が多いのですが,ここでは「旅回り一座」の一員ということで,喜劇的な一面も見せ聴衆の笑いを誘っていました
2つのオペラを通じて,ファビオ・ルイージ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団の演奏は,オペラの登場人物の微妙な心象風景を音で表し,見事でした