人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「METライブビューイング アンコール2017」で ワーグナー:舞台神聖祝祭劇「パルシファル」を観る / 鈴木秀美氏の言葉~朝日朝刊「折々の言葉」から

2017年08月23日 08時07分02秒 | 日記

23日(水).朝日新聞朝刊第1面掲載の「折々のことば」が昨日,チェリスト・指揮者の鈴木秀美氏の次の言葉を紹介していました

「個々の楽器がそれぞれ十分に鳴っているのが全体にとってベストとは限らない」

これについて,このコラムの執筆者・鷲田清一氏は次のようにコメントを書いています

「通奏低音とは『響きの土台』を作るもの.旋律を支える低音に和音をつけてゆく.そして上声部が自由に歌えるよう緩急をつけ,間合いをとる   『一つになって聞こえる』こと,そのために何を優先するかの判断が重要で,自分の楽器がちゃんと鳴っているかは二の次,三の次だとチェリストは言う.人の集団でもしんがりや黒衣,縁の下役が大事(『通奏低音弾きの言葉では,』から)」

「18世紀オーケストラ」「ラ・プティット・バンド」「バッハ・コレギウム・ジャパン」など,世界的な古楽器集団で首席チェリストを務めた鈴木秀美氏の言葉には説得力があります   上に紹介された言葉を読むと,同氏がチェリストだけでは物足りなくなり,オーケストラ全体の音のバランスを取りながら理想的な音楽を作っていく指揮者の道に足を踏み入れたことが理解できるような気がします

というわけで,わが家に来てから今日で1057日目を迎え,トランプ米大統領が21日,アフガニスタンから駐留米軍の拙速な撤収はせず,関与を継続するとテレビで語った いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ大統領の当初の公約は「自国第一主義」だったよね 聞いてんの? キミ!

 

                                         

 

昨日,夕食に「さっぱりトマトバンバンジー」「生野菜サラダ」「冷奴」を作りました 夏はバンバンジーがいいですね

 

     

 

                                           

 

昨日,東銀座の東劇で「METライブビューイングアンコール2017」のワーグナー:舞台神聖祝祭劇「パルシファル」を観ました   これは2013年3月2日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画映像です   キャストは,パルシファル=ヨナス・カウフマン,クンドリ=カタリーナ・ダライマン,アンフォルタス=ペーター・マッテイ,グルネマンツ=ルネ・パーペ,クリングゾル=エフゲニー・二キティン,管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団,指揮=ダニエル・ガッティ,演出=フランソワ・ジラールです

「パルシファル」(全3幕)のあらすじは次の通りです

「舞台は伝説の中世スペイン.キリストを刺した聖槍とその血を受けた聖杯を護る騎士団の長アムフォルタスは,聖槍を魔術師クリングゾルに操られた魔性の女クンドリに奪われ,その槍で傷を負っている   この傷を治すには『無拓な愚者』の登場を待つしかない   ある日,臣下の老騎士グルネマンツは白鳥を矢で射た若者パルジファルと出会い,彼こそが王を救う『無拓な愚者』であると考えるが,若者は聖杯の儀式の意味が理解できない   パルシファルはクリングゾルの城を訪れ,クンドリの誘惑を受けるが,それに屈することなく,彼女の接吻で悟りを開く   クリングゾルはパルシファルに聖槍を投げつけるが,槍は彼の頭上で止まる   時を経て,パルシファルは聖槍を手に王の元に帰ってくる.パルシファルがアムフォルタスの傷口に聖槍を当てると,傷はみるみる消える.パルシファルは聖杯の王となり,聖杯は輝く

 

     

 

2013年3月のライブビューイングの時に この作品を見逃してしまったので,私が「パルシファル」を観るのは2014年10月2日に新国立劇場で上演された飯守泰次郎指揮東京フィルのバックでクリスティアン・フランツがパルシファルを歌ったプルミエ公演(飯守氏の新国立劇場オペラ部門 芸術監督就任披露公演)以来です 

指揮者ダニエル・ガッティがオーケストラ・ピットに入り.前奏曲の演奏が始まります   この序曲は魔力がありますね.大好きです   ステージは砂漠のような荒涼とした土地の上に男たちがスーツ姿で登場しています.ジラールの演出は舞台を現代に移しているようです   かと思っていると,彼らは上着を脱ぎ,靴と靴下を脱いで裸足になります   中央には奥から客席に向かって細い小川が流れています.第1幕では老騎士グルネマンツ役のルネ・パーペの出番が多く,深みのある低音の魅力を発揮します   新王であるアムフォルタス役のペーター・マッテイは脇腹に槍の傷を負っている設定なので,終始痛々しい演技のまま歌うので気の毒になるほどです   彼はMETライブでは「セヴィリアの理髪師」でのフィガロ役が適役だと思っていましたが,この手負いの王の役も堂に入っていました   この第1幕だけで正味2時間弱かかります   クラシックコンサート1回分が終わりです

以前このブログでも書きましたが,ワーグナーのオペラ・楽劇を生演奏で聴く時は絶対に遅刻してはなりません   たとえばこの「パルシファル」の場合で言えば,開演時間を1分でも遅刻したら休憩時間までは入場できず,残り2時間近くをロビーのモニター画面を観て過ごすことを強いられます.ワーグナーのオペラは休むことなく鳴り続ける「無限旋律」であることを忘れてはなりません

第2幕は,ステージが血の海になっています   花の乙女たちが「けがれ無き愚者=パルシファル」を誘惑するシーンですが,ステージは赤い水で満たされ,何十人ものロングヘアで顔を隠した女性たちが うなだれるような恰好で立っているシーンは,まるで「リング」の貞子が大勢いるようで不気味でした   この幕ではクンドリ役のカタリーナ・ダライマンが迫真の演技で歌い上げます   また主人公のパルシファル役のヨナス・カウフマンもこの幕から本領を発揮します   クリングゾル役のエフゲニー・二キティンは出番が少ないのですが,存在感抜群の歌唱力を発揮しました   この幕は約70分です

第3幕は,再びステージが荒涼たる砂漠のような土地に戻ります   この幕はまさに主人公パルシファルの独壇場です.カウフマン絶好調です   また,手負いのアムフォルタス役のペーター・マッテイも最後の力を振り絞ります   この幕は約80分です

驚いたのは,幕間のインタビューでバスのオーウェンスが指揮者ダニエル・ガッティに「客席側からは分かりにくいかも知れませんが,あなたはこの長時間公演を暗譜で指揮していましたね」と問いかけたことです   ガッティは「スコアを見て指揮する人にも素晴らしい演奏を引き出す人が多くいます   大切なのは,スコアを見るかどうかではなくて,いかに作品を解釈するかです」と答えていましたが,正味4時間半の作品を最初から最後まで譜面を見ないで指揮するなんてとても信じられません   ガッティの頭の中の構造はどうなっているのでしょうか

午後3時に始まった「パルシファル」が終わったのは夜8時35分でした   上映時間は休憩・インタビュー等を含めて5時間35分(正味の上演時間=4時間25分)でした   終演後のカーテンコールを観ながら思ったのは,「ああ,ワーグナーの長い旅が終わった」ということでした

 

     

コメント
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