人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小菅優+東京交響楽団でモーツアルト「ピアノ協奏曲第12番K.414」,「同 第9番”ジュノム”K.271」を聴く~モーツアルト・マチネ

2017年08月27日 07時52分10秒 | 日記

27日(日).わが家に来てから今日で1061日目を迎え,北朝鮮が26日午前,性懲りもなく日本海に向けて短距離ミサイルを3発発射した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     散髪だったら虎刈りゴメンで済むけど  ミサイル3発はどこに落ちるかわかんない

 

                                           

 

昨日,ミューザ川崎コンサートホールで東京交響楽団のモーツアルト・マチネ「モーツアルト ✕ ピアニストの挑戦」を聴きました   プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第12番イ長調K.414」,②同「同 第9番変ホ長調K.271”ジュノム”」です   演奏は小菅優さんが東京交響楽団を弾き振りします

 

     

 

「フェスタサマーミューザ」以来のミューザ川崎です   会場には多くのモーツアルト好きが集まりました.自席は1階6列右側です.ステージ上には 演奏曲目がモーツアルトということで総勢24人(うちオーボエ2,ホルン2)のみの小編成です.モーツアルトの時代はこれが普通だったのでしょう   コンマスはグレブ・二キティンです.舞台中央には蓋を外したグランドピアノが,客席に鍵盤が見える向きに設置されています.ピアニストは客席に背中を見せる形で指揮をしながらピアノを演奏します

1曲目は「ピアノ協奏曲第12番K.414」です   ザルツブルクの宮廷音楽家だったモーツアルトは,故郷の大司教コロレド伯とソリが合わず1781年(モーツアルト25歳),遂に宮廷から解雇通告を受けます   彼はウィーンに移り住み,当時としては画期的なフリーランス音楽家として活動を開始します   彼は自らの企画・出演の形で演奏会を開いて収入源としました   その主なレパートリーがピアノ協奏曲でした.ウィーン時代に作曲された17曲のピアノ協奏曲のうち最初の3曲(第11番,第12番,第13番)は1782年から翌83年にかけて作曲されましたが,実質的に最初に書かれたのが第12番でした   この曲について,彼は故郷に居る父レオポルドに宛てた手紙で,「難しすぎず,簡単すぎず,その中間です」と書いていますが,楽譜が多く売れるようにという意図が見られます

よもぎ色のファッショナブルな衣装の小菅優さんが登場,ピアノに向かいます   第1楽章は当時のピアノ協奏曲の”お約束”通り,なかなかピアノが出てきません   小菅さんは座ったまま両手で指揮をします.オーケストラが優雅な主題を奏でた後,やっとピアノが登場します  小菅優さんといえば,パワフルな演奏スタイルを思い浮かべますが,相手はベートーヴェンではなくモーツアルトです.あくまでも優しくまろやかなアプローチを取ります

第2楽章はモーツアルトが尊敬していたヨハン・クリスティアン・バッハの死去(1782年1月)を悼むかのような,祈るような旋律が奏でられます   そして第3楽章では一転,愛らしい旋律で開始され,モーツアルトらしい軽快で優雅な音楽が展開します.小菅さんの演奏は軽快そのものでした

 

     

 

2曲目はモーツアルトが21歳の時に作曲した「ピアノ協奏曲第9番K.271」です   この曲は,1777年の冬にザルツブルクにやってきたフランス人ピアニストのジュノム嬢のために,同年1~2月に書かれたことから「ジュノム」という愛称で呼ばれています   最近の研究で この「ジュノム嬢」は,舞踏家・振付家のジャン=ジョルジュ・ノヴェールの娘ルイーズ・ヴィクトワール・ジュナミのことであることが分かっています   ノヴェールは半年後にパリで再会したモーツアルトにバレエ音楽「レ・プティ・リアン」の作曲を依頼した人です

この曲の特徴は第1楽章にあります 他のピアノ協奏曲が1曲目の第12番と同じようにピアノの登場が遅いのに対し,オーケストラの呼びかけにピアノが即座に応えるような形で,冒頭からピアノが登場するところに特徴があります   モーツアルトのピアノ協奏曲の中でこのスタイルを取るのはこの曲だけです   このスタイルは後のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」や「同第5番”皇帝”」の先駆けとなる形式として重要です   この楽章は独奏ピアノとオーケストラとの掛け合いが楽しく聴けます.ピアノはあくまでもエレガントです

第2楽章の悲痛な音楽を聴くと,なぜか「フィガロの結婚」第4幕におけるバルバリーナのカヴァティーナ「失くしてしまった」の音楽が頭に浮かんできます   曲想としては悲しく,淋しいといった感じの音楽です

楽章間を空けることなく入った第3楽章は一転,エネルギーに満ちた推進力のある曲想です   小菅さんはテンポ感もよく軽快に演奏を進め,輝かしいフィナーレを迎えました

プログラムを見て,最初は「なぜ後から作曲した第12番が先で,先に作曲した第9番が後なのか?」と疑問に思っていましたが,実際に演奏を聴き終わってその理由が分かりました   小菅さんは,この輝かしいフィナーレでコンサートを終わらせたかったのでしょう

ところで,指揮振りする小菅さんの後姿を見ながら思い浮かべたのは,モーツアルトの名手・内田光子さんの演奏姿でした   二人は体形こそまったく違います(華奢な内田さんに対し,たくましい小菅さん)が,いつか映像で観た内田光子さんがモーツアルトのピアノ協奏曲を弾き振りする姿が,小菅さんにダブりました   ひょっとして,小菅優さんは第2の内田光子さんになれる一番近いところにいるのかもしれない,と思いました

最後に,どこかのオケでモーツアルトの「ピアノ協奏曲全曲演奏会」をやってもらえないか,と希望します   なにも小菅優さんに限らずとも,東京交響楽団に限らずとも構わないのですが,せっかく東響は「モーツアルト・マチネ」シリーズがあるのですから,東響でやってもらえたらベストだと思います

コメント
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