人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「METライブビューイングアンコール2017」の4枚セット券を取る / 中村文則著「教団X」を読む / 新国立オペラ「避難体験オペラコンサート」(9/7)参加確定

2017年08月20日 08時04分23秒 | 日記

20日(日).わが家に来てから今日で1054日目を迎え,トランプ米大統領が18日,最側近のスティーブン・バノン大統領首席戦略官を更迭した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      政権発足後に辞任・更迭となった政府高官はこれで7人目 次はだれだろうか?

 

                                           

 

9月7日(木)午後3時から開かれる新国立劇場の「第2回避難体験オペラコンサート」に応募しておいたのですが,同劇場からメールが届き,応募者全員が参加できることになったということでした   当日は午前11時から上野で藝大モーニングコンサートがあるので,それが終わってから初台に向かいたいと思います

 

     

 

                                           

 

「METライブビューイングアンコール2017」の4枚セット券を使い切ったので,新たに1セット買いました   単券で4枚買うと12,400円(ワーグナーを観るともっとかかる)ですが,セットでは10,400円と格安になっています.4回以上観る場合はセット券が絶対に得です

 

     

 

     

     

 

                                           

 

中村文則著「教団X」(集英社文庫)を読み終わりました   中村文則は1977年愛知県生まれ,福島大学卒業.2002年「銃」で新潮新人賞を受賞してデビュー.2005年「土の中の子供」で芥川賞を受賞,2010年「掏摸(すり)」で大江健三郎賞を受賞しています

この作品には以前から興味があり文庫化するのを待っていたのですが,読むに当たっては一種の覚悟が必要でした.何しろ595ページの大作です   文末に「解説」があればある程度の文脈を頭に入れたうえで読み進めることが出来るのですが,それがないので自力で最後まで読み進めなければなりません

 

     

 

2つの宗教団体をめぐる物語の大雑把なあらすじは次の通りです

「主人公の楢崎は,付き合っていた女性・立花涼子が突如姿を消したことを不審に思い,調べた結果たどり着いたのが松尾正太郎が率いる宗教団体だった   教祖の松尾はかなりいい加減な人物で,どちらかというと,彼のキャラクターに魅かれて話を聞くために集まってくる緩やかな組織だった   その団体の人たちによると,立花はこの団体にいたことは事実だが,本当は沢渡という教祖が率いる『教団X』の教徒で,松尾の団体を詐欺にかけたうえで姿を消したという   団体を不信に思っていた楢崎だが,録画された松尾の講話を聞くうちに親近感を持つようになる.しかし,松尾に会おうとした間際に『教団X』からの使者が現れ,楢崎を連れて行く   彼はそこで立花や教祖の沢渡に会うことになるが,教団の中ではクーデター計画が進められていた

この小説には「教祖の奇妙な話」というタイトルでいくつかの科学と宗教に関する話が語られますが,私が”なるほど”と思ったのは「輪廻転生」に関する概要次のような話です

「死んだら我々の身体はどうなるか   火葬場で人間の身体が焼かれても,実は消滅しない.人間の身体は全て原子でできている.火葬場で焼かれる時,原子同士の結び付きである分子レベルでの解体は行われるが,そのことによって我々の身体を構成する原子そのものが壊れることはない.もちろん消滅もしない   我々の身体をつくっていた原子は煙の中で空中に拡散する.つまり,この地球上に常に存在し続ける.そして,その原子たちは再び誰かの身体の構成物に成り得る.空気中で何かの原子と結びつき,何かの分子になり,再び生物に取り込まれ,誰かがその生物を食すことによってまた人間の構成物になり得る   地球が誕生して以来,そこにあったあらゆる原子は消滅していない,と考えられている.いわば人間の身体の構成物は,大昔からの使い回しであると言い換えることができる   一方,人間は1年もすれば身体を構成している原子がすっかり入れ替わっている.すなわち,人間の身体の材料は大昔からの使い回しであり,しかもその身体は現在も入れ替わり続けていると言える   我々は,遥か古代から現代まで,常に流れているものの一部である

以上のような「講話」がメインストーリーの合間に展開します   これらの「講話」を読むだけでも,普段は考えないことを考えることになり参考になります

2人の教祖の普段の態度を見る限り,二人ともかなりいい加減な人物だと思いますが,後にそれぞれから語られる「なぜ教祖になったのか」を読むと,宗教というのはいろいろなルーツがあるけれど,この二人に関しては「生」と「性」が深く結びついていることが良く分かります

ところで,ストーリーからは離れますが,この作品の中ではクラシックとジャズの名曲が1曲ずつ出てきます   クラシックの方は,主人公の一人,教団Xの高原が電話を待つシーンで出てきます

「電話を待つだけで本も読めなくなるなんて.高原は椅子から立ち上がり,オーディオのスイッチを入れる.ショスタコーヴィチ『弦楽四重奏曲第1番』.旋律に身を任せようとしたのに,やはり頭痛がする」

もし高原が聴いていたのが第1楽章「アレグロ」だったら,落ち着いて「旋律に身を任せる」ことは出来ないでしょう.何しろせわしない曲想ですから

ジャズの方は,楢崎が教団Xに連れてこられ,ベッドに寝かされているときの回想シーンに出てきます

「驚いたんだよ.怒鳴る上司の声を聞きながら,僕は脳内で音楽を鳴らしていた.ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビイ』」

こちらは,なぜビル・エヴァンスなのかまったく分かりません

最後に,この作品を読んでいて,地下鉄サリン事件を起こしたカルト教団「オウム真理教」の教祖・麻原彰晃のことを考えざるを得ませんでした.いい加減な人物として

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