前回ハイキング中に悪天候に見舞われ遭難し、行方不明になったポーラン人の女の子について触れました。彼女は幸いにもレスキュー隊の荒天の中での必死の捜索により発見され無事保護されました。
この騒動があったのは北の街アクレイリの近郊なのですが、騒動の直後にアクレイリの観光局の局長が、外国人観光客に対して悪天候の予報をきちんと伝えるようにする必要がある、とラジオで述べました。「観光業に従事しているものの責任だと思う」ということです。
実は先日の荒天の際には、このポーランド人の女の子だけではなく、多数のツーリストの人々があちこちで立ち往生になったりして相当な混乱になってしまったのです。加えてこの夏にもドイツ人の女性が山の天候を軽く見てハイキングコースでレスキュー隊のお世話になる、という出来事が起きていました。
天気予報は新聞でもラジオでも全てアイスランド語です。ストームは前日から予測されることもありますが、アイスランドの天気予報はかなり流動的でむこう一週間の予報が昨日と今日では全く変ってしまうということは珍しくありません。
ですからツーリストが二三日前に天気予報を確認してそれで安心してしまったら困ることになることがあるわけです。アイスランド人であればラジオを聞いていたりテレビのニュースを見て予報をアップデートできますし、あるいは口コミで悪天候襲来の予報を共有できます。ですがツーリストは置いてけぼりを喰らってしまいます。
ちょっと脱線しますが、春先にものすごい強風で学校が休校になり、ラジオで「学校は休み。自宅待機するように」旨ニュースが流されました。ところが外国人家庭の子供たちだけは普通に登校してきた、という笑い話のような出来事もあったのです。アイスランド語と外国人の間には確かに「壁」があるようです。
車の安全に貢献する電光表示板
-Myndin er úr RUV.is-
さてこのアクレイリ観光局の局長さんのコメントに敏感に?反応したのか別の動機があったのかは定かではありませんが、「ヴェーガゲルズィン」という道路管理の公的機関が道路の電光表示板の表記をアイスランド語から英語に変える、しかもすみやかに変える、と発表しました。
電光表示板というのは国道の、特に田舎の方などで設置されているもので、例えば「この先路面凍結」とか降雪などで「この先通行不能」とか、ドライバーに必要な情報を与えるためのものです。
確かにこのような安全に関わる表示がアイスランド語で(のみ)出されているのは好ましいことではありませんね。旅行者にとっては助かることでしょう。
ところがです。
アイスランド語委員会から物言いがつきました。アイスランド語委員会というのは教育文化省によって任命される有識者の委員会で、アイスランド語の維持と望ましい発展を旨として色々な案件の決裁をしたり提言をしたりする委員会です。
物言いは「アイスランド語はこの国の公用語であり、公のサービスはアイスランド語でなされるよう法律に定められている」という主旨でした。
アイスランド語はこの国では他に替えがたいアイデンティティの根拠であることは何度も書いてきましたが、ここでも「やっぱり、また」という感じです。
ヴェーガゲルズィンはこれにはグーの音も出ず、提案を撤回してどうやらアイスランド語と英語の併記を目指すようです。
ただ併記するには表示板を追加して設置するか、システムを変えないといけないように思われます。時間もお金もかかります。それが完了するまでの期間、ツーリストの安全を保証するために何か策を講じる必要があるでしょう。
そういえばネットで見ましたが、東京でもオリンピックを念頭に置いて表示板のアルファベット表示を改良していくようですね。何でも現在では例えば「都庁」などの表示が「Tocho」と単にローマ字で読み方を示しただけのものと、「Metropolitan Government Office」の様にきちんと英語表記したものが入り交じっているとか。
もともとの法律が「アルファベット表記を合わせて表示すること」のように曖昧な表現だったのがこの混乱のもとのようです。しかし「Tocho」とか読み方を示すのが何の役に立つのか?訳が分かんねえ。設置する際、誰も疑問に思わなかったのでしょうか?
これも五輪効果なのでしょうが将来的には英語(と他の言葉)での併記にするようですね。健全な発展だと思いますし、アイスランドも同じ途をたどっているようです。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
この騒動があったのは北の街アクレイリの近郊なのですが、騒動の直後にアクレイリの観光局の局長が、外国人観光客に対して悪天候の予報をきちんと伝えるようにする必要がある、とラジオで述べました。「観光業に従事しているものの責任だと思う」ということです。
実は先日の荒天の際には、このポーランド人の女の子だけではなく、多数のツーリストの人々があちこちで立ち往生になったりして相当な混乱になってしまったのです。加えてこの夏にもドイツ人の女性が山の天候を軽く見てハイキングコースでレスキュー隊のお世話になる、という出来事が起きていました。
天気予報は新聞でもラジオでも全てアイスランド語です。ストームは前日から予測されることもありますが、アイスランドの天気予報はかなり流動的でむこう一週間の予報が昨日と今日では全く変ってしまうということは珍しくありません。
ですからツーリストが二三日前に天気予報を確認してそれで安心してしまったら困ることになることがあるわけです。アイスランド人であればラジオを聞いていたりテレビのニュースを見て予報をアップデートできますし、あるいは口コミで悪天候襲来の予報を共有できます。ですがツーリストは置いてけぼりを喰らってしまいます。
ちょっと脱線しますが、春先にものすごい強風で学校が休校になり、ラジオで「学校は休み。自宅待機するように」旨ニュースが流されました。ところが外国人家庭の子供たちだけは普通に登校してきた、という笑い話のような出来事もあったのです。アイスランド語と外国人の間には確かに「壁」があるようです。
車の安全に貢献する電光表示板
-Myndin er úr RUV.is-
さてこのアクレイリ観光局の局長さんのコメントに敏感に?反応したのか別の動機があったのかは定かではありませんが、「ヴェーガゲルズィン」という道路管理の公的機関が道路の電光表示板の表記をアイスランド語から英語に変える、しかもすみやかに変える、と発表しました。
電光表示板というのは国道の、特に田舎の方などで設置されているもので、例えば「この先路面凍結」とか降雪などで「この先通行不能」とか、ドライバーに必要な情報を与えるためのものです。
確かにこのような安全に関わる表示がアイスランド語で(のみ)出されているのは好ましいことではありませんね。旅行者にとっては助かることでしょう。
ところがです。
アイスランド語委員会から物言いがつきました。アイスランド語委員会というのは教育文化省によって任命される有識者の委員会で、アイスランド語の維持と望ましい発展を旨として色々な案件の決裁をしたり提言をしたりする委員会です。
物言いは「アイスランド語はこの国の公用語であり、公のサービスはアイスランド語でなされるよう法律に定められている」という主旨でした。
アイスランド語はこの国では他に替えがたいアイデンティティの根拠であることは何度も書いてきましたが、ここでも「やっぱり、また」という感じです。
ヴェーガゲルズィンはこれにはグーの音も出ず、提案を撤回してどうやらアイスランド語と英語の併記を目指すようです。
ただ併記するには表示板を追加して設置するか、システムを変えないといけないように思われます。時間もお金もかかります。それが完了するまでの期間、ツーリストの安全を保証するために何か策を講じる必要があるでしょう。
そういえばネットで見ましたが、東京でもオリンピックを念頭に置いて表示板のアルファベット表示を改良していくようですね。何でも現在では例えば「都庁」などの表示が「Tocho」と単にローマ字で読み方を示しただけのものと、「Metropolitan Government Office」の様にきちんと英語表記したものが入り交じっているとか。
もともとの法律が「アルファベット表記を合わせて表示すること」のように曖昧な表現だったのがこの混乱のもとのようです。しかし「Tocho」とか読み方を示すのが何の役に立つのか?訳が分かんねえ。設置する際、誰も疑問に思わなかったのでしょうか?
これも五輪効果なのでしょうが将来的には英語(と他の言葉)での併記にするようですね。健全な発展だと思いますし、アイスランドも同じ途をたどっているようです。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com