レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「洗濯する国」「洗濯出す国」

2019-10-20 00:00:00 | 日記
十月の中旬を迎えたレイキャビクです。まあ、世界のどこでもそれは同じでしょうが。気温はまだ 10度前後を保ってくれていいます。以前は十月は気温が低くなり、ドカ雪が降るようなことも多かった気がします。十月の一週間が毎日気温0度以下、というのを記憶しています。

ここ数年は、十月をまだ半袖シャツで過ごす、というのが普通のようになってきたようです。これも地球温暖化の表れなのでしょうか?それでも予報を見ると、来週は気温がグッと0度近くまで落ち、かつ雪も降るようです。

先日、車の中でラジオを聴いていたら「クリスマスまであと六十何日」とか言っていてびっくりしました。そうなんだ。あと六十数日するとクリスマス... こんなペースで進んだら、私の残りの人生の「体感長さ」は僅か「数ヶ月」のような気がするのですが... 怖っ!

ここのところ「ジュネーブ」が続きましたので、今回はアイスランドに戻ります。先日ひとつ気になるニュースがありました。「アイスランド、『マネーロンドリーの灰色国リスト』に移動」というものです。




青空の下での洗濯物ー爽やかなイメージでですが...


Financial Action Task Force (FATF) 「マネーロンダリングに関する金融活動作業部会」という国際機関が、アイスランドを「マネーロンドリーに対する取り組みが甘い国」とされる「灰色国リスト」に加えたのです。

このFATFという機関は、Wikipediaによりますと「1989年(平成元年)にフランスのパリで開催されたアルシュ・サミットでの経済宣言を受けて設立された。

当初は麻薬犯罪に関する資金洗浄防止を目的とした金融制度の構築を主な目的としていたが、2001年(平成13年)9月11日のアメリカ同時多発テロ事件発生以降は、テロ組織への資金供与に関する国際的な対策と協力の推進にも取り組んでいる」(Ja.wikipedia.orgより 転載)とのこと。まともな政府間機関であるそうです。

「2000年からはマネーロンダリング対策に非協力的な国・地域を『非協力国』として特定・公表し、是正措置を求めている」とのことで、この「灰色国リスト」というのも、是正を求める対策のひとつのようです。

ということは、つまりアイスランドはマネーロンダリー対策が不十分であり、実際に「不正金の洗濯」に国土が使われている、という判断が下されたということです。

ちなみに、他にどのような国がこの「灰色国リスト」に載っているかというと、アフガニスタン、イラク、ウガンダ。これに今回バハマ諸島、ボツワナ、カンボジア、ガーナ、モンゴル、パキスタン、パナマ、トリニダードトバコ、イエメン、それにジンバブエが、我がアイスランドと共に新たに加わったとのこと。

逆に「お務めを終えて」リストから除外されたのが、エチオピア、スリランカ、チュニジアの三国。おめでとうございます。

ついでに「灰色」のさらに下の「黒リスト」に分類される国もあるそうで、これは北朝鮮とイランの二カ国だそうです。

私は、国際経済とか金融とかに関しては、まったくの無知人間ですので、このFATFなる機関が、どれだけの権威とか、政治的利害に左右されない公正さを持っているのか知らないのですが、このニュースは、ここではやはりショッキングなものとして扱われています。

実際に、このリストに載ることにより、なんらかの通商貿易に関する規則が適用されるらしく、経済、ビジネス上の不利益が発生するとかで、要するに国の利益上からは「好ましくない」ことのようです。




実際にアイスランドで行われているのか?こういう洗濯


ソルディス・コルブルン産業大臣は「リストにあるこれらの国々と私たち(アイスランド)の間に何らかの共通性があるなどと、誰が信じるでしょうか?(FATFの決議権がある)これらの国が、アイスランドをそのようなリストに載せる決断をした理由がわからない」と国会で答弁しました。

今回の「リスト送り」のプロセスでは、EUはアイスランドの側に立って「リスト入り反対」を主張したようです。ヨーロッパの国がリスト入りするのは「恥」というか「沽券に関わる」と思ったようで。

対してアイスランドの「リスト入り」を強く主張したのがイギリスとアメリカだそうです、ニュースによると。

これだけを聞くと、「何を言うか、あのトランプのアメリカが」とか「イギリスはアイスランドに対して2008年の経済恐慌以来の怨念があるのだ」とか、そのまんま感情的対立になってしまいそうです。わからなくはないですけどね。

こちらのメディアでのメインなコメントは、やはり「政治的なジェスチャーだ」「世界が(つまりFATFが)本気なことを示すために、スケープゴートが必要だった。小国のアイスランドが都合の良い子羊だった」等のように、不快感に支配されているように見受けられます。

ただ、二週間くらい前に、アイスランドが関係しているウェッブサイトで麻薬の国際取引がされている疑いがある。なかなか実態が解明されず、FBIが百万(ドル)という単位で捜査資金をアイスランドの警察に提供した、とか読んだ記憶があるのです。

そしてその取引のお金が、どこぞやのテロ組織に流れている疑いがあるとか。そのニュースを読み返そうと思って、Googleしたのですが、見つけられません。で、きちんとご紹介できないのですが、そういうことも多分背景にあるのだろうと、私は想像します。




「FATFの発表を伝えるニュース」を伝えるニュース
Myndin er ur Visir.is


この「リスト入り」の可能性が現実的に浮上してから、アイスランドの政府や関係省庁も「おっとり刀」で、マネーロンダリー対策を強化しようと法律の改正案を国会に提出したりしたのですが、時すでに遅し。少なくとも今後一年間は、アイスランドは「灰色国」リストに甘んじなくてはならない状況です。

と、いうようなことを書きながら、実はやはり実感がないというか、私には関係のないことだ、という気分は否めないですね。何というか、あまり正しい例えではないかもしれませんが、「ハリウッドのスターが三億ドルの邸宅を買った」とかいうのと同じように、ニュースの世界のお話しなのです。

でも、そういうような無関心が、マネーロンダリーを蔓延させて、結局は自分のもとへ災いとなって帰ってくる、ということなのでしょう。ここは関係のオソリティは感情論を克服して、現実的な対策を施行していただきたいと思います。

それにしても「灰色国リスト」の中に、トランプ氏の国はもちろん、南米の国や元ソ連だった大国が入っていないのは???なのですが。

ああ、そういう国は「洗濯をする国」ではなくて、「洗濯物を出す国」ということか?(^-^;


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

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コメント
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