レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「売れっ子」作家になりたい

2017-09-10 05:00:00 | 日記
気に入りのテレビシリーズに、アメリカABC系列の「Catsle」というものがありました。2009年から8シーズン続いたのですが、残念ながら物語りが「続く」のままの感じで、第9シーズンがキャンセルされ終わってしまいました。

どうやら主役の女優さんStana Katicと製作者の間で契約上の問題が起こってしまったようで。残念ですが、確かに最後のシーズンは面白みが減っていたのも確かだと思います。ネタが尽きた、というか...

「キャッスル」とは主役の男優さんの方、Natahn Fillionが演じるNYのミステリー作家で、彼がNYPDの腕利き女性刑事ベケット(Stana)と協力して殺人事件を解決していきます。キャッスルは売れっ子人気作家でシングルファーザー、お金もある時間もあるという羨ましい身分。しかも美人ベケット刑事との関係が段々と深まっていくわけです。

まあ、実際にはありえない設定で、ドラマ性あり、笑いあり、ロマンスもありという面白いシリーズでした。

このシリーズを見ていて、実は「売れっ子の作家」という職業(あるいはステータス)に憧れたわけです。肝心なのは「売れっ子の」というところで、これがない「作家」はダメですよ(失礼、作家の皆さん)。

「著名、裕福、自由」なんという贅沢! 実在の人を考えても、村上春樹さんのようになれたらどんなにいいだろうか、と考えてしまいます。ヒマな時に?は講演会でもすれば、人気歌手並みに人を呼べるし、どこへ顔を出しても「先生」ともてなされるでしょう。いいなあ...

アイスランドへ来られたこともあります。謙虚で礼儀正しかったので、アイスランド人の間で人気が倍増しました。いいですようね、偉くなると。礼儀正しいだけで人気が上がるんですよ。

もちろん、これは端から見て好きなことを言っているだけで、実際にはとてもとても大変な部分があるのであろうことはわかっていますが。単純な憧れと羨望です。

さて百八十度転換して、私自身の牧師としての生活を見てみますと、グレードはずっと下がりましょうが、それでも作家と似ているところがないわけでもない気がします。大方の皆さんには牧師の生活など、皆目見当がつかないでしょうから、多少ご紹介して見たいと思います。

ただし、前置きがあります。これは「私に限って版」のお話しで、どの牧師でも一般に当てはまるものではありませんので。特に日本の教会の牧師さんの生活とはだいぶ違うものがあると思います。
神学校時代の同級生らのFacebookとかを見ていても、本当に忙しくしていらっしゃる。お疲れ様です。




気に入りのシリーズ「Castle」


村上春樹さんを引き合いに出すのは、あまりにおこがましいので、キャッスルと比較して見ますと、まず私もシングルファーザーに類似経験者。これはあまり関係ないか。

財力は比較になりません。著名度も比較になりませんが、アイスランドという小さな村社会の中でなら、私も多少著名な時もあります。キャッスルにとってのベケットのような、素晴らしい相棒はこっちにはないですねえ。これはかなりマイナスだなー...

そういうことを書くつもりではなかった。牧師の生活で多少作家と似ているかなあ、と思うことは「書く」という作業が日常的にあること。そして、いつ書くか、どこで書くか、に関しては相当自由があることです。

まず場所から言うと、私はだいたい説教を書く時は自宅を使います。圧倒的にジャマが少ないですから。人と会う約束がない限り、オフィスへ「出なければならない」ということはありません。自由でしょ?(*^^*)

「書く」というのは、主に礼拝での説教(お坊さんのする講話の教会版と思ってください)なのですが、私の場合は月に一二回のペースでので、それほど過密なスケジュールではありません。

そこれに加えて、週二回平均の「祈りの集い」での「講話」がありますが、これはポイントと荒筋をメモする形のものになります。「祈りの会」の方はパーソナル感の強い集まりなので、その場その場で対話するように話しをした方が良いのです。

「説教」の方は完全原稿を作成します。日本の牧師さんと比べて、ひとつだけ私の方が苦労しているであろうことがあります。こちらは英語、もしくはアイスランド語で書かねばなりませんし、話さなければなりません。

話し言葉としては、英語の方がアイスランド語よりもはるかに容易なのですが、きちんと書いてみろ、という段になると両者とも難しいもので、書き終えた原稿は、必ずネイティブの人に校正してもらいます。

その校正部分の時間も計算に入れて、初稿を完成しなければならいのですが、そういうタイミングを計算しながら、その週の予定を組んでいきます。動かせない会議とかもありますが、日本ほど会議数は多くないです。相談者のための面談とかは、かなり自由に広範な時間帯に散らばります。先方の都合もありますから。

そういう風に、予定がかなりフレキシブルに組めるというのは、牧師稼業の良いところだと思っています。

ただしそれでも難しい時というものはあります。急な事故だ、病気だとかで立て込んでしまうような事態が、説教を書かなければいけないタイミングにぶつかってしまうと、なかなか集中するのが困難になりますね。実は先週前半がそのような状態だったのですが、無事に乗り越えられました。

キャッスルと共通する面があると思う第二の点は、作家と同じく牧師も自分が興味のあるものへアクセスが割と簡単にできます。これはこちらの牧師さんの多くに共通することでしょう。

ある意味では、牧師の仕事は人の社会生活、あるいはプライベート生活全般に関わっていますので、例えば環境問題に口を突っ込みたくなったり、子供の権利問題をフォーカスしたくなった場合には、職務の関わりの中で、そういうテーマを扱う機会を作ることは十分に可能です。

例えば、環境問題に関心のある牧師さんがいたら、「教会から見た環境問題」とか銘打って、識者を招いての講演会を開いたりすることができます。

これはかなりの特権だろうと思いますね。関心あるテーマを少し掘り下げて勉強し、それを仕事にそのまま活かせるなんていう稼業は、そうそう多くはないでしょう。

それと、もう一点キャッスルに共通しているのは「ボスがいない」ということです。実際には牧師は自由業ではありませんし、私にも上司はいますが、年がら年中顔を合わせ、私の職務を監視する、という意味でのボスはいません。これもラッキーといばラッキーですね。というか非常なる特権か?!

というわけで、「時間場所に関してフレキシブル、興味あるものにすり寄れる、しかもボスなし」というようなサマライズが、牧師稼業と作家さんに共通しているのかなあ?という点です。

まあ、正直言って牧師家業をかなりポジティブなメガネを通して見た場合でしょうが...たまには自己を肯定的に捉えないといけないですよ。「隣の芝生は青く見える」のが人の性格なようですからね。時には自分ちの芝生の写真を青で上塗りすることも必要かと... (^-^;


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

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