アイスランドではここ数日間、緊張感のある日々が続いています。今,これを書いているのが八月二十三日土曜日の夜なのですが、私が日本から戻ってきたのが一週間ほど前になります。その翌日辺りからヴァトナヨクトゥル氷河で一日で何百回という地震が観測され、氷河の中にある火山が噴火する可能性が出てきたからです。
始めにちょっと余談です。アイスランドの地名などを日本語表記する時にいつも困るのですが、例えば「ヴァトナヨクトゥル」Vatnajokullの「ヨクトゥル」は「氷河」のことなので「ヴァトナヨクトゥル氷河」というのは実は二重に「氷河」と言ってしまっていることになります。
だったら「ヴァトナ氷河」でいいではないか?となるのですが、それが他の河川や丘陵、渓谷等になってくると地名と一体化しているものも少なくなく、分離するとなんか間が抜けてしまうものが多いのです。ですからここでは二重であることを断ったうえでの「ヴァトナヨクトゥル氷河」です。
さて「アイスランドの火山噴火」で記憶に新しいのが2010年のエイヤフャトゥラヨクトゥル氷河にあるエイヤフャトゥラ山の噴火でした。ヨーロッパの航空機の飛行をとてつもなくかき乱し「世界の迷惑」となりました。この時はエイヤフャトゥラ山が噴火する前には、その近所のフィムヴォルズハウルシという連続した低い峰のようなところで溶岩が噴き出し、これはかなり見ていて楽しい?的な噴火で観光客を呼び込みました。そのあとでエイヤフャトゥルの大噴火となったのです。
そのエイヤフャトゥルヨクトゥル氷河はアイスランドの南海岸に接する小さめな氷河でした。今回問題になっているヴァトナヨクトゥル氷河はアイスランドの島の中南東部に位置する最大の氷河です。
氷河となっているだけあって、この地帯は全て高地なのですが、その広大な氷河の中で頻繁な地震が観測されているのは氷河の一番中央部の北側でバウルザーブンガと呼ばれている地域です。私はちょっと不勉強で、氷河の下にはいくつの火山が埋もれているか定かでないのですが、今現在噴火がありそうなのはふたつの火山のようです。
で、これだけ高原地の内部ですと、当然人の住む集落というようなものはありませんので、そういう面での被害はないだろうと思われます。火山灰はもちろん問題になりますが、現在一番の心配の種となっているのは噴火にともなう雪解けによる洪水です。
前回の2010年のエイヤフャトゥラ山の噴火の際や、その翌年2011年のグリムスヴァトンというヴァトナヨクトゥル氷河南部の噴火の際には洪水は地図の下に向かって、つまりアイスランド南部の海岸線に向かって流れ込みました。
しかし今回はどうやら噴火が氷河を突き抜けて地上に達するにしても、氷河内噴火で納まるにしても、氷河が解けた洪水は地図上部の北部へ流れて行くという予想がなされています。
氷河における噴火で洪水がおきる場合、それは氷の上からは観測できない氷河下で進行します。で、一体どこからその洪水が地表に吹き出してくるか、ということは専門家でも非常に予測が難しいことのようです。はっきり言って「出てくるまで分からない」に近いもののようです。
斜線部分が噴火に伴う洪水が心配される地域
-Myndin er ur Mbl.is-
洪水がどの程度広がるかによって、もちろん被害の度合いが変って来るわけですが、最大級の洪水になってしまった場合、観光地として人気のスポットになっているミヴァトン湖などにも被害が及ぶ可能性があると言われています。
というよりも、この中部の高地はそれ自体人気の観光地で多くの人がハイカーとしても訪れる場所なのです。
そこで問題になっている点がもうひとつ。付近に滞在している外国からの観光客に十分な情報を提供し、危険についての注意を喚起することです。かなり広範な地域が立ち入り禁止地区になっていますが、別に見張りが立っているわけでもなく、入ろうと思えば入れるのです。
先日ニュースで実際に観光客にインタビューしていたのですが「噴火?今,こんなに静かだし、天気も最高だし、ここまで来ていて行かないということはないでしょう」とふたりの男性はハイキングプランの変更は「あり得ない」という感じで答えていました。
そこでアイスランドメディアはようやく「最後の手段」に出たようです。国営放送RUVやVisr.is、さらにはアイスランド語至上主義の牙城のごとくであったモルグンブラージズ紙のネット版でも、火山に関するニュースに関しては英語版も流し始めたのです。これはちょっとビックリしました。
今回の火山活動に関する英語版ニュースはこちら(モルグンブラージズ紙)
Visir.is
国営放送RUV
ツーリストの皆さんも火山を甘く見ず(というか自然は舐めては行かんぜよー、ですね)、十分に注意をして欲しいものです。
これからアイスランドに来られる日本のツーリストの方もあると思います。どうぞニュースにはまめにアクセスし十分な情報を得るようにしてください。
*都合によりしばらくの間、週に一回のブログ更新になります。m(_ _)m
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
始めにちょっと余談です。アイスランドの地名などを日本語表記する時にいつも困るのですが、例えば「ヴァトナヨクトゥル」Vatnajokullの「ヨクトゥル」は「氷河」のことなので「ヴァトナヨクトゥル氷河」というのは実は二重に「氷河」と言ってしまっていることになります。
だったら「ヴァトナ氷河」でいいではないか?となるのですが、それが他の河川や丘陵、渓谷等になってくると地名と一体化しているものも少なくなく、分離するとなんか間が抜けてしまうものが多いのです。ですからここでは二重であることを断ったうえでの「ヴァトナヨクトゥル氷河」です。
さて「アイスランドの火山噴火」で記憶に新しいのが2010年のエイヤフャトゥラヨクトゥル氷河にあるエイヤフャトゥラ山の噴火でした。ヨーロッパの航空機の飛行をとてつもなくかき乱し「世界の迷惑」となりました。この時はエイヤフャトゥラ山が噴火する前には、その近所のフィムヴォルズハウルシという連続した低い峰のようなところで溶岩が噴き出し、これはかなり見ていて楽しい?的な噴火で観光客を呼び込みました。そのあとでエイヤフャトゥルの大噴火となったのです。
そのエイヤフャトゥルヨクトゥル氷河はアイスランドの南海岸に接する小さめな氷河でした。今回問題になっているヴァトナヨクトゥル氷河はアイスランドの島の中南東部に位置する最大の氷河です。
氷河となっているだけあって、この地帯は全て高地なのですが、その広大な氷河の中で頻繁な地震が観測されているのは氷河の一番中央部の北側でバウルザーブンガと呼ばれている地域です。私はちょっと不勉強で、氷河の下にはいくつの火山が埋もれているか定かでないのですが、今現在噴火がありそうなのはふたつの火山のようです。
で、これだけ高原地の内部ですと、当然人の住む集落というようなものはありませんので、そういう面での被害はないだろうと思われます。火山灰はもちろん問題になりますが、現在一番の心配の種となっているのは噴火にともなう雪解けによる洪水です。
前回の2010年のエイヤフャトゥラ山の噴火の際や、その翌年2011年のグリムスヴァトンというヴァトナヨクトゥル氷河南部の噴火の際には洪水は地図の下に向かって、つまりアイスランド南部の海岸線に向かって流れ込みました。
しかし今回はどうやら噴火が氷河を突き抜けて地上に達するにしても、氷河内噴火で納まるにしても、氷河が解けた洪水は地図上部の北部へ流れて行くという予想がなされています。
氷河における噴火で洪水がおきる場合、それは氷の上からは観測できない氷河下で進行します。で、一体どこからその洪水が地表に吹き出してくるか、ということは専門家でも非常に予測が難しいことのようです。はっきり言って「出てくるまで分からない」に近いもののようです。
斜線部分が噴火に伴う洪水が心配される地域
-Myndin er ur Mbl.is-
洪水がどの程度広がるかによって、もちろん被害の度合いが変って来るわけですが、最大級の洪水になってしまった場合、観光地として人気のスポットになっているミヴァトン湖などにも被害が及ぶ可能性があると言われています。
というよりも、この中部の高地はそれ自体人気の観光地で多くの人がハイカーとしても訪れる場所なのです。
そこで問題になっている点がもうひとつ。付近に滞在している外国からの観光客に十分な情報を提供し、危険についての注意を喚起することです。かなり広範な地域が立ち入り禁止地区になっていますが、別に見張りが立っているわけでもなく、入ろうと思えば入れるのです。
先日ニュースで実際に観光客にインタビューしていたのですが「噴火?今,こんなに静かだし、天気も最高だし、ここまで来ていて行かないということはないでしょう」とふたりの男性はハイキングプランの変更は「あり得ない」という感じで答えていました。
そこでアイスランドメディアはようやく「最後の手段」に出たようです。国営放送RUVやVisr.is、さらにはアイスランド語至上主義の牙城のごとくであったモルグンブラージズ紙のネット版でも、火山に関するニュースに関しては英語版も流し始めたのです。これはちょっとビックリしました。
今回の火山活動に関する英語版ニュースはこちら(モルグンブラージズ紙)
Visir.is
国営放送RUV
ツーリストの皆さんも火山を甘く見ず(というか自然は舐めては行かんぜよー、ですね)、十分に注意をして欲しいものです。
これからアイスランドに来られる日本のツーリストの方もあると思います。どうぞニュースにはまめにアクセスし十分な情報を得るようにしてください。
*都合によりしばらくの間、週に一回のブログ更新になります。m(_ _)m
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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今回はどうなるでしょう。火山国の宿命とはいえ・・・心配です。